5.0
ハッとするほど心に残る美しい作品
登場人物全員が立場や運命などなんらかのしがらみがあり、すべては物語の因果律に組み込まれている。主人公も別の世界からきた異邦人であり、悪女のエリスの身体にはいる。そして因果律からのがれ、自分の世界にもどるために奔走する。その中で愛されキャラのヘレナやヘレナを愛する男性らにキツイ言葉を投げかける場面があるが、真にそれを受け止め理解したのはヘレナだけだったと思う。エリスとヘレナは正反対のキャラだが、どちらも周囲の男性に勝手に決められているという共通した部分も感じられた。他に、父親に虐待されていたキンティア、夫である王に長男を殺された皇后など、登場する女性はなんらかのストレスを受けている。さらに最高のストレスを受けた時に魔女の力を得た魔女達も。そんな登場人物の女性達の中において、エリスの自分の世界への帰還は、自分を貫き自由に生きていけるという、メッセージ性も含まれていると思う。ざまぁものというだけではない考えさせられる作品でした。
作中のエリスやヘレナの顔がハッとするほど美しく、ただの美しさだけでなく、内面の強さも表現されていて、読み終わった後も心に残りました。
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悪女を殺して