5.0
もっと弱いところを見せて良いんだよ
…長女だから、いつも毅然と在れ、オルドランド侯爵夫人として、その名に恥じぬような立派な淑女にならなければならない…と、6歳の頃から婚約者がいて、繰り返しまるで“洗脳”のように言われ続けて来た。
そんなクロエに、それ以外の選択肢など無いまま婚期が過ぎた。
この中世ヨーロッパ時代の貴族間の結婚に対する考え方は、愛よりも家同士の政略結婚が優先されていた。
そして成人が18歳で、婚期のピークの年齢だった。クロエは婚約者エルネストから2年待って欲しいと言われて、婚期を過ぎた20歳で、婚約破棄を相手から突き出された…。何故か、、、クロエの妹エミリィと婚約者エルネストが好き会っていて、エミリィが今年18歳になるのを待っていたからだった。早く言えば妹に婚約者を取られた。だったら、2年前に婚約破棄してくれた方が良心的なものを…。
それを見逃さず、ずうっと、クロエに思いを寄せていたレオネルが、シスレー公爵家からの正式な結婚申込みをクロエの父親に申し出た。
だけど、クロエはレオネルを初めて見たから、「もし私に選選択肢があるなら、愛して欲しい…」と、遠回しのお断りを言った。身分の上のレオネル家に身分の下のクロエ側からは断れないからだった。その要求を受け入れたレオネルは、婚約式が3ヶ月後の短期間でクロエに頻繁に会いに来た。
慌ただしい3ヶ月の間に、政略結婚だと分かっていても、レオネルに心を開いて行くクロエだけど、長年心に刻まれた葛藤を拭いきれないままでいた。
どうしても身構えて頑張って毅然とするクロエを見たレオネルは「もっと弱いところを見せて良いんだよ」と…。
無事婚約式も終えて、初夜も…?無事かな…?のままで、クロエは朝目を覚ました時は一人だった…。
だけどクロエが知っている以上にクロエを思っているレオネルはクロエを深く愛して幸せにしてくれると思う。
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私は選ばれない