5.0
孤独死のさみしさ
誕生を描く漫画があり、終末医療を描く漫画があり、そして、孤独死の後の物語。
命を題材にした漫画が多くある作者さんですが、そのなかで最も静かな命との対話でした。
すでにこの世にいない誰かの、汚れた暮らしのうつわ。
ものに溢れていようとも、命は空っぽの部屋。
ほとんど私物のない病院で、命が生まれ、終わる物語たちに溢れる生命の騒がしさが、この漫画にはなくて、それを淡々と見つめる冷静で穏やかな目が映し出す現実には主役だったはずの命がない。
騒がしく生者が声を荒らげ、慌ただしく清掃が行われるけれど、死者はただ静かで、だからこの作品から受ける印象は静寂のなかにあり、命の終わりの悲しい一面を垣間見ることができます。
孤独死はさみしい。
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不浄を拭うひと