5.0
本当に素敵【ネタバレあり】
夫に離縁を切り出された王太子妃の、新しい生活と出会いの物語。
もう興味がない、なんて酷い言葉なんですけど、読み進めていくと元夫であるカロルの言い分というか、苦しい本音も見えてきます。
精霊の加護に国力を左右される、という物語の設定から、何の力もないヒロインのヴェラから作物の実りを約束する夏の加護を受けた女性を伴侶に乗り換えるという判断は、王太子としては間違ってないのかもしれません。
ただ、この後釜さん、加護はあっても他の能力、たとえば妃としての心構えとか、人に対する接し方、他国の王族とのコミュニケーションスキルとか、全く足りてない。妃教育もはかどらず、それを指摘すればメソメソ泣くヘタレなわけです。ゲンナリするカロルさんですけど、自業自得なんでまったく同情はできない。
で、王宮から追い出されたヒロイン、ヴェラの新生活は、粗末ながら心満たされる穏やかなものでした。
そこで彼女は、カロルの実兄で元王太子だったアランと出会います。
アランは冬の加護を受けた人物です。
彼が触れるもの、それはたとえ人間であっても即座に凍ってしまうため、彼は王宮を離れ、ヴェラが暮らす片田舎の領地に引きこもっていたのでした。
夫にもういらないと捨てられたヴェラと、望まぬ力のために王太子の地位を捨てざるを得なかったアラン。
2人は似たような境遇であることから、自然に仲良くなります。
不思議とアランの冬の力が、ヴェラにはあまり効かないんですよね。彼女が編んだ膝掛けが、帰宅してもずっとあたたかかった、と喜ぶアランを見るとなんだか切なくなります。眠る時も何をしていてもいつも冷たかった体が、ヴェラの膝掛けのぬくもりに癒されたんだろうな、と。
この漫画、特に説明っぽいセリフがないんですよね。人物の仕草、表情で見る人の心に伝えてくる。ホント、繊細で素敵な話運びなんです。
読んでいくと何となく、ヴェラにも何らかの能力があるのが窺えます。全てのものを凍らせてしまうアランが誤って彼女に触れてしまっても凍りませんでしたし。
能力発現して以来、初めて、他人の肌に触れることができたアランの涙のシーンは、こちらも目が潤みました。
派手なシーンはないのに、心に激しく熱いものを伝えてくる、そんな名作だと思います。本当にお勧めです。
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もう興味がないと離婚された令嬢の意外と楽しい新生活