5.0
揺さぶられる感傷
昔読んだ小説の中で、語り手が「今までの人生で得たものと失ったもののリスト」を作ろうとするくだりがあった。
まだまだ長い人生だ(と思う)が、私はこれから、何を得て、何を失って、生きてゆくのだろう。
そして、死んでゆくのだろう。
この漫画を読んで、そんなことに思いを馳せた。
「うせもの」は「失せ物」である。
「探し物」ではないのだ、本来は。
だから、私たちはその多くを、見つけられない。
取り戻せない。
でも、永久に失ってしまった何かと、誰かと、もう一度、向き合うことが出来たなら。
せめて、この世の別れの際に。
そんな感傷を、ぐらんぐらんに揺さぶられる作品。
駄目だ、涙なしには読めなかった。
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7
うせもの宿