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作品レビュー
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81 - 90件目/全107件

  1. 評価:5.000 5.0

    不謹慎すら引き受けて

    いじめというデリケートな問題を「ホラーの題材」になんて不謹慎だ、という批判も理解はできるし、そのあたりは、難しい。
    ただ、そういう不謹慎すら引き受けて、マジなホラーをやろうとしたのではないか、と。
    私としては、丁寧に作り込まれた作品に尋常ではない気合いを感じ、批判する気にはなれなかった。

    もう、序盤からやられた。
    一度希望という餌を与えてから絶望を叩きつけるとか、そんなハイレベルな小学生のいじめ、ありかいな。
    でも、現実に、ありなんだろうな。

    読み進めるうちに、気づく、というか、思い知る。
    ああ、これが続くんだ、と。
    希望の影がちらつく度に、絶望への予感に包まれる。
    その読者サイドの絶望は、作中の登場人物たちの絶望とシンクロする。
    もう終わってほしい。
    これ以上読みたくない。
    それでも読ませる吸引力の恐ろしさ。
    これが一級のホラーでなくて、何だろう。

    • 4
  2. 評価:5.000 5.0

    ルールの発明

    既にルールの決まっているゲームをモチーフに作品を描く人はたくさんいる。
    というか、普通はそうだ。
    スポーツというゲーム、バトルというゲーム、恋愛というゲーム。
    その制約の中で、いかに優れた作品を編み出すか、という勝負が、普通だ。
    でもこの作者は、次から次へと、新しいゲームのルールを編み出す。
    その点においては、ちょっと追いつける人がいないんじゃないかと思う。

    • 8
  3. 評価:5.000 5.0

    漫画と映画

    私の大好きな映画「セブン」と似ていた、というか、似すぎていた。
    悪く言えば模倣、よく言えばオマージュ。
    私は、好意的に受け止めたい。
    漫画として、とても面白かったから。

    基本的な作品のトーンやモチーフは「セブン」を踏襲しつつ、パリッとオリジナルな部分も光る。
    そして、ところどころで、とても「映画的な」表現がある。
    特に(ネタバレギリギリだが)、「彼氏」のシーンや「背中」のシーンなんかは、映像化することを念頭に置いて描いたのではないかと勘繰りたくなるくらい、しびれた。
    映画の表現を、漫画に活かす。
    それは、手塚治虫がやったことでもある。

    余談だか、その「背中」のシーンは実写映画版ではカットされており、何やってんだ制作者、とひどく失望した。

    • 2
  4. 評価:5.000 5.0

    飽き飽きしているあなたに

    正直、「ゲームもの」の漫画には、飽き飽きしていないだろうか。
    「またそういう系ね」と思いつつ惰性で読んでしまう自分に、うんざりしていないだろうか。
    そんなあなたに、「今際の国のアリス」。

    とにかくひとつひとつのゲームがよく練られていて、完成度が高い。
    緊張感も半端じゃない。
    子どもの頃のかくれんぼに感じたような、無邪気なドキドキを思い出した。
    アイデアの数々と確かなクオリティーでもって、最近の「ゲームもの」への失望感を完全に蹴散らしてくれた。
    感謝したいくらいである。

    結末は賛否両論あると思うが、私はこれ以上のオチも浮かばないし、特に文句はない。
    ただまあ、途中のスピンオフはちょっと多すぎる気もする。

    そして、いかんともしがたい、「今際の国」への憧れ。
    学校や職場や家庭がそれなりに充実していたりして、「まあ、幸せだよな」と感じていたりなんかして、決定的な不満や致命的な欠陥が日常にあるわけでもなくて。
    それでも。
    心の片隅に、魂の奥底に、もしかしたら、潜んでいないだろうか。
    現実の日常の秩序が全て崩壊した世界に対する、ないものねだりの妄想や、渇望が。
    私にも、もしかしたら、あなたにも。
    そんなあなたに、「今際の国のアリス」。

    • 8
  5. 評価:5.000 5.0

    矢吹丈の哀しみ

    読んだのは高校生の頃だった。
    魅力的なキャラクターの造形、ボクシングの試合の描写のシンプルなエキサイトも印象に残るが、最も忘れがたいのは、矢吹丈という男の哀しげな目だった。
    子ども心に、「この人は、究極的には、誰ともわかり合えないのではないか」と感じたのを覚えている。
    私は矢吹丈に強く憧れながら、同時に、決定的に拒絶されたような気持ちで、ずっとこの漫画を読んでいた。
    そのようなことを漫画の主人公に対して感じたのは初めてだったし、以来、一度もない。

    • 6
  6. 評価:5.000 5.0

    私の青春漫画

    私の青春漫画。
    ミステリ部分が単純に面白かったことはもちろんだが、だらしない金田一少年が不意に見せる、「妙に出来た人間」としての顔が好きだった。
    「異人館村」で犯人に放った絶叫、
    「飛騨からくり屋敷」のラスト、ある意味での「共犯者」への捨て台詞、
    「黒死蝶」で燃える館を見ての呟き、
    「雪影村」のスタンド・バイ・ミー的なモノローグ。
    嗚呼、思い出は尽きない。

    昔は、ドキドキしながら読んだ。
    今では、昔の友人に会うような、不思議なノスタルジーが込み上げる。

    • 27
  7. 評価:5.000 5.0

    祭りの前の怖さ

    今のところ、だが。
    幽霊も吸血鬼も出てこない。
    狂った、というほど異常な人間も見当たらない。
    何より、まだ、何も起きていない。
    なのに、怖い。
    平坦にすら見える日常が、怖い。
    そこに、どうにも破綻の予感がして仕方がない。
    何かとんでもなく不幸なことが、いずれ起こるに違いない、という予感的な怖さ。
    不穏、という言葉が一番近いのか。
    でも、それでも足りない。
    これは、漫画でしか描けない種類の怖さである気がする。

    この作者は、「漂流ネットカフェ」や「ハピネス」のような、現実の枠を超えたストーリーよりも、日常を舞台にする方が、本領発揮となるのではないかと感じた。

    余談だが、群馬県出身の私にとっては、登場人物たちの群馬弁はすっと入ってくるし、郷愁を誘われるものであった。
    ちょっと得をした気分である。
    だが、その郷愁すら、うすら寒い恐怖を連れてくる。
    何てことだ。

    この怖さは、素晴らしい。
    これからきっと、何かが起こるのだろう。
    そうなったときにも、どうか素晴らしい漫画であってほしい。
    「祭りは準備をしているときが一番楽しい」などというが、それを超える祭りがこの先にあることを願ってやまない。

    • 106
  8. 評価:5.000 5.0

    理想的な少年漫画

    「胸が熱くなる」とは、こういう漫画のためにある言葉ではないか。
    たったひとつ残念なのは、少年時代に読まなかったことだ。
    それでも、熱くなれる。
    「HUNTER×HUNTER」と双璧をなす、理想的な少年漫画だと思う。

    • 13
  9. 評価:5.000 5.0

    時代性と普遍性

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    ネット配信を利用した愉快犯による劇場型の犯行、という極めて現代的な舞台装置だが、核のところにあったのは、時代性などとは無縁の、人間の普遍的な強さや美しさみたいなものだった。
    時代に乗っかって始まり、時代に左右されない核心にたどり着く。
    その返し技があまりに綺麗に決まりすぎていて、ちょっとムカつくほど感心した。

    • 12
  10. 評価:5.000 5.0

    この世とあの世と死役所と

    「この世」と「あの世」の間に設けられたモラトリアムのような世界を舞台に綴られる、様々な人間たちの死に様と生き様。

    まず、ひとつひとつのエピソードの完成度が非常に高く、読み手に喚起する感情も実に多様だ。
    温かさ、哀しさ、怖さ、悔しさ、切なさ、やりきれなさ。
    死の物語でありながら、そこにあるのは、私たちが生きてゆくことにまつわる全てであるように思う。
    いかに死んだかということと、いかに生きたかということは、ある意味では、きっと、等価なのだろう。

    また、基本的には短く完結する短編集的な作品でありながら、死役所の職員たちの背景を少しずつ描いていくことで、読者の関心を持続させているのもポイントが高い。
    特に、シ村の生前に何があったのか、という謎の吸引力は素晴らしく、これほど続きが気になるオムニバスもあまりないだろうと思う。

    • 279
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