4.0
虚実の振れ幅
自らが「都市伝説」になる、という妄念に憑りつかれた男の話。
私がどうかしているのかもしれないが、主人公の気持ちは、何となくわかる。
私も都市伝説になりたーい。
ただまあ、主人公の狂気のリアリティーにはそれほど説得力がなく、はっきり言って、客観的に見れば嘘臭いことこの上ない話なのだが、何となく勢いで押しきられてしまった感がある。
そういう意味では、力のある表現だったのだろう。
これは原作がそうなのだろうが、現実と妄想が虚実ないまぜになった作品世界を、とても上手に構築していると感じた。
読み終えて、いったいどこまでが現実だったのだろう、と考え出すと、その振れ幅は0から100まであるような気さえしてきて、それがちょっと、怖かった。
「現実か妄想か」みたいな作品はそれほど珍しくはないけれど、ここまで異様な振れ幅を持った作品というのは、あまりない気がする。
ラストの返し技もなかなか上手く決まっていて、短くて良質なものを読んだな、という気分に浸れた。
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フクロウ男