rokaさんの投稿一覧

投稿
747
いいね獲得
20,500
評価5 20% 147
評価4 28% 211
評価3 31% 229
評価2 17% 124
評価1 5% 36
41 - 50件目/全150件
  1. 評価:3.000 3.0

    焦点はどこに

    特にストレスなく、テンポよくサクサク読めた。
    その点はよし。

    ただ、ミステリとしては圧倒的に薄い。
    いや、もちろん、本作がそもそも「本格ミステリ」みたいな路線を志していない、ということは百も承知である。
    しかし、それにしたって、とは思う。

    また、ミステリ的な部分よりも、人の死を巡る人間ドラマとか、人の死を見送る職業の人間がとらえた機微とか、そういう部分が焦点なのだとしても、その掘り下げや広がりも物足りず、特にこれ、といった魅力を見出せなかった。

    • 2
  2. 評価:3.000 3.0

    少年時代の終わりに

    週刊少年ジャンプで本作の連載が始まったのは、私の大好きだったジャンプのギャグ漫画「王様はロバ」と「すごいよ!!マサルさん」の連載が相次いで終わり、「幕張」もピストルズのように消え失せて、少し経った頃だったように記憶している。
    私は十代の終盤で、そろそろ「少年」ではなくなりかけていた。

    週刊少年ジャンプの歴史的に見れば、上記の作品たちに続く「ギャグ枠」における重要作品が、「ボボボーボ・ボーボボ」になるのではないかと思う。

    残念ながら、私は全く笑えなかった。

    この頃から私がジャンプを離れたのも、おそらく本作に全く入ってゆけなかったことと無縁ではないように思われる。
    申し訳ないが、若い心で思った。
    天下のジャンプのギャグ枠が、これなのか、と。

    「つまらねえから笑えねえんだよ」と本作を切り捨てたわけではない。
    私が感じたのは、何か決定的なズレだった。

    笑えなかったのは、理解できなかったからだ。
    こういうことを書くと、誰かが言うのだろう、「わけがわからないけど面白いのがボーボボなんだよ」と。

    違う。

    そんなこと言ったら、「マサル」だって相当わけがわからなかった。
    だから、ややこしい言い方になるけれど、「わけのわからなさが面白い、という作品であることは理解できるけれど、ボーボボのわけのわからなさの面白みが、私には理解できなかった」ということになる。
    シュールだとかナンセンスだとか、言葉はどうでもいいのだが、「マサル」のそれは笑えたのに、「ボーボボ」のそれは笑えなかった。
    その差がどこにあるのか、私にはわからない。
    それは多分、言語化不可能な感覚的なものであり、つまり、致命的なものだったのだと思う。

    私の好きな小説の中に、「若い世代の音楽を理解できないと感じたら、それは自分たちの世代が次の世代に時代の松明を譲り渡した最初の合図だ」みたいな言葉がある。
    多分、そういうことなのだろう。

    「ボボボーボ・ボーボボ」は、私の少年時代の終わりとして、ひとつのサインだったような気がする。

    少年はいつか、少年ではいられなくなる。
    別に悲しくはない。
    ただ、終わってしまった少年時代について考えるとき、私はときどき、「ボボボーボ・ボーボボ」のことを思い出す。

    • 3
  3. 評価:3.000 3.0

    毒気と中毒性

    同じ作者の「怨み屋」シリーズはかなり読んでいるが、基本的な作品の構成は似ていて、形容するなら、「毒気のない怨み屋」、「ライト版怨み屋」、といった感じになるかと思う。

    「怨み屋」が基本的には陰惨な話ばかりであるのに対して、本作は爽やかで、「そんなに上手くいくんかいな」と思うところもあるけれど、まあ、平和でいいんじゃないか、と。

    ただ、「怨み屋」シリーズのレビューの中で、私は奇妙な中毒性がある、という意味のことを書いたが、本作からはその中毒性を全く感じなかった。
    してみると、「怨み屋」の中毒性のひとつの要因は、本作から抜かれた毒気の部分でもあったのかな、と思うし、そういう意味では、いかにも物足りない漫画ではあった。

    • 2
  4. 評価:3.000 3.0

    普通中の普通

    家に来た家政婦が何かおかしい、という話。

    いやもう、びっくりするくらい普通。
    昨今のサスペンスは、やたら凝った設定や展開ゆえに破綻する例も多いが、そういう中で、ここまで普通なのも珍しい。

    このへんはまあ、良くも悪しくも、というところだ。
    家政婦の狂気のあり方には何の説得力もないが、下手に論理をこねるより、いたいけな少年少女がイカれた家政婦に追い回される、頑張れ少年少女。
    という具合に、「ホーム・アローン」的なシンプルな読み方が出来る漫画、という点では、いいのかもしれない。

    ただ、筋としてここまでシンプルならば、展開としてもう少し工夫は欲しかったところで、あまりに平坦な印象は拭えない。

    罵詈雑言を吐いてけなされるような漫画ではないものの、賞賛すべき点も特にない。
    まさに普通、としか表現のしようがなく、星の数も三つ以外にはあり得ない。
    「五段階で三の評価を狙って漫画を描け」というお題のもとに作られたならば、大したものだけれど。

    • 8
  5. 評価:3.000 3.0

    消費される貞ちゃん

    私は中学生のときに小説「リング」に衝撃を受け、劇場に映画を観に行った貞子世代である。

    ギャグ漫画として、それなりの出来だとは思った。
    貞子の特徴や、「もはやVHSの時代ではない」という時代背景を踏まえて、まずまず上手く作ってあるとも思った。
    貞子を単なるネタとして雑に扱うのではなく、そこに一定のリスペクトや愛着も感じることは出来た。

    しかし、あの清く正しく恐ろしかった貞ちゃんが、こういう形で「消費」されてゆくことに関しては、一抹の寂しさも感じた。
    貞子世代としてはね。

    まあ、これを「消費される」と捉えるのか、姿かたちを変えて現代に生き残っていると捉えるのかは、難しいところなのだけれど。

    • 2
  6. 評価:3.000 3.0

    漫画として、絵本として

    おそらく、絵本作家エドワード・ゴーリーの影響を受けているのではなかろうか。

    牧歌的な世界にダークファンタジーを落とし込んだような雰囲気は魅力的で、その雰囲気を楽しむ漫画、もっと言えば、「絵本」として見るならば、なかなか完成度は高いと思った。

    しかし、「漫画」として、となると、どうだろう。
    私が非常に気になったのは情報量の圧倒的な少なさで、読めども読めども話は進まない。
    それは単に、本作が、作品の尺に比して語るべき情報を持っていないからである。
    その全てを非難する気もないのだが、情報量が少ないなら少ないで、もう少しコンパクトに収めてほしかったとは思う。

    • 2
  7. 評価:3.000 3.0

    ギャップの恐ろしさ

    眠る度に異世界にワープするという、「エルム街の悪夢」的なSFサバイバル。

    設定としては悪くないと思うのだが、何しろサバイバルするのが夢の中なので、日常は日常としてあり、夢は所詮夢であって、どうしても緊張感に欠ける。
    サバイバルというジャンルにおいて緊張感以上に大切なものは多分ないので、そういう意味では、致命的である。
    このあたり、もう少し何とかならなかったのか、というもったいなさは感じた。

    ただ、のんびりとした牧歌的な作品の絵柄やテイストに比して、モンスター的な存在の描写はかなり力が入っており、正直、私は怖かった。
    ホラーなりサバイバルなり、もっと「いかにも」的なトーンで来てもらえれば、こちらとしてもそれ相応の準備というものを無意識にするのだが、本作の場合、ノーガードで殴られるようなダメージがあり、恐怖描写のインパクトは相当なものであった。

    それだけに、うーん、もったいない。

    • 2
  8. 評価:3.000 3.0

    小綺麗ではあるけれど

    ジャンルとしては一応、SFということでいいのだと思う。
    ロボット、アンドロイド、崩壊した近未来、という王道のモチーフである。

    それなりに見せ場もあり、グッとくるような展開もあり、派手な破綻もなく、結末もひねりが利いていて、小綺麗にまとまってはいる。
    しかし、上手く言えないが、作者はSFを描きたかったのだろうな、という感じは全くしない。
    「そこに世界を創る」のがSFだと私は思うが、そういう志みたいなものは皆無であって、SFは単なる具材に過ぎず、描きたかったものは何か別のところにあるのだろう、とは思った。
    ただ、じゃあ何を描きたかったんだ、ということになると、正直、よくわからない。

    小綺麗で形は整っているけれど、どこか空虚な印象が終始付きまとい、私はそれが苦手であった。

    • 2
  9. 評価:3.000 3.0

    その謎は煌めいているか

    映画でも小説でも漫画でもそうなのだが、ある種の曖昧さや抽象性というものを保持したままで作品を閉じる、つまり、話の筋について「何が起きたのか」について明確な答えを提示しない、ということ自体は、私は否定しない。
    映画の例で言うと、デイヴィッド・リンチという監督の一連の作品なんかはその最たるものだと思うが、私は大好きである。

    ただ、この種のアプローチには間違いなく弊害もあって、どこの誰が発明したのかは知らないが、実際は大した話ではない、それどころか、下手をすればそもそも結末を考えていない、にもかかわらず、「とりあえず曖昧にしといたらええんやろ?」とばかりに結末を濁すことで、何かそこに深みのようなものを感じさせてやろう、という作品が生まれ得てしまうことも事実である。
    それはちょっとまあね、ずるいわよね。

    本作がそうだ、と断定したわけではない。
    正直、私にはわからなかった。
    そこに何かあるのか、それとも、何もないのか。
    ただ、いずれにしても、こういうタイプの作品は、「そこにあるかもしれない何か」を探り当てたい、という読者の思いを喚起させられなければ、やはり成功とは言い難いのではないか。
    謎の答えがどうであれ、その謎自体は、煌めいて見えなければならないのだと思う。

    まあ、ショートムービーのような洒落た雰囲気、海中の描写の美しさには感心したけれど。

    • 2
  10. 評価:3.000 3.0

    設定の機能

    自ら怪異を体験することによってホラー漫画を描く鬼才の漫画家と、その助手みたいな役どころを務めることになった少年の話。

    ホラー漫画としては、上記の設定の部分がアイデンティティーかと思われる。
    が、いかんせん、それだけでは「弱い」という印象は拭えなかった。
    ホラー描写も、漫画家のキャラクターも、特段魅かれる部分がなく、残念ながら、設定が上手く機能しているようには思えなかった。

    • 2

設定により、一部のジャンルや作品が非表示になっています