5.0
矢吹丈の哀しみ
読んだのは高校生の頃だった。
魅力的なキャラクターの造形、ボクシングの試合の描写のシンプルなエキサイトも印象に残るが、最も忘れがたいのは、矢吹丈という男の哀しげな目だった。
子ども心に、「この人は、究極的には、誰ともわかり合えないのではないか」と感じたのを覚えている。
私は矢吹丈に強く憧れながら、同時に、決定的に拒絶されたような気持ちで、ずっとこの漫画を読んでいた。
そのようなことを漫画の主人公に対して感じたのは初めてだったし、以来、一度もない。
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あしたのジョー