3.0
一般ピーポーの悪霊
基本的にはB級テイストだが、意外と丁寧に組み立ててあるし、終盤のどんでん返しも上手く決まっていたと思う。
ただ、この手の漫画は主人公サイドに感情移入できる対象がいないと、どうにもテンションが上がらない。
その点は、残念。
あと、仮にも一人の一般ピーポーの悪霊だか怨念だかが、あそこまで派手になるのはいかがなものか。
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23位 ?
基本的にはB級テイストだが、意外と丁寧に組み立ててあるし、終盤のどんでん返しも上手く決まっていたと思う。
ただ、この手の漫画は主人公サイドに感情移入できる対象がいないと、どうにもテンションが上がらない。
その点は、残念。
あと、仮にも一人の一般ピーポーの悪霊だか怨念だかが、あそこまで派手になるのはいかがなものか。
サラッと読める、ライトな復讐もの。
それが長所でもあるし、短所でもある。
このジャンルも漫画の世界でかなりメジャーになり、色々と凝った作品が生まれている中で、今、この漫画が、どうなのか、と。
この軽さを「逆に新鮮」ととるか、「物足りない」と感じるかは、あなた次第。
ストーリーが本格的に動き出すまでにやや時間がかかるが、それもこの漫画の計算にきちんと組み込まれている気がした。
世界観も物語も、実に緻密に組み立てられており、静かだが、非常にスリリングで、サスペンスフルである。
また、島の描写も、極めて丁寧で美しい。
「設定ありき」で、作品の全貌が決まらない中で見切り発車し、挙げ句に迷走する、というような漫画が多々ある中、この緻密さは称賛に値する。
主人公は魅力に乏しい反面、瀬里沢の冷徹な強さは、際立ってカッコいい。
ノれる曲とノれない曲って、やっぱりある。
「ノリのいい曲」だからって、ノれるとは限らない。
このリズムに、メロディに、ノれる人がいるのはわかるけど、自分はノれない。
そういうことって、ある。
それが、好みというものである。
そんな音楽と一緒で、「ノれれば楽しいんだろうな」と思いつつ、私は、ライブハウスの片隅でしらけているタチの悪い観客のような位置で、この漫画を眺めていた。
どう考えても「そこまでやる必要あるか?」という漫画だけれど、やりすぎの美学みたいなものがあって、その過剰さに乗っかれれば、とても楽しい作品だと思ったし、無視できないオリジナリティーのある漫画だとも感じた。
皮肉でも嫌味でもなく、ノれなかった自分が、残念だ。
個人的に、都市伝説の類は非常に好きである。
漫画としては、都市伝説を上手に広げて、ストーリーにした印象。
既存の都市伝説だけでなく、オリジナルも入っていて、新鮮味はある。
各エピソードにはちょっとしたひねりが加えられていて、退屈せずに読めた。
ただ、安心して読める反面、都市伝説に対するあっと驚くような新解釈や、ぞっとするような「踏み込み」には乏しく、もう少しおどろおどろしいものが読みたかった気もする。
あくまで、都市伝説をモチーフにした、ライトなホラー、という位置づけか。
画力は完全にマイナス。
だが、絵柄はホラーに合っている。
特にホラーやサスペンスの場合、技術的な問題とは別に、絵柄の「合う・合わない」があり、その点は、セーフではなかろうか。
ホラー部分とミステリ部分のバランスがよく、怖がらせる一辺倒になっていたらグダグダになっていたところを、上手く回避した。
荒削りではあるものの、荒削りゆえの洗練されないパワーを感じる、なかなかパンチのきいたホラー。
最近よくある「ゲームもの」の中でも、際立って空っぽ。
個々の死には何の重みも価値もドラマもなく、「ゲーム」の真意も狙いも冗談みたいなもので、「意味づけ」を徹底して拒否しているように思える。
特に「バスケ少年」のシーンなんかは、漫画におけるドラマチックな死、に対するアンチテーゼのようだった。
それを薄っぺらさと感じるか、潔さと感じるか。
まあ、短い間ドキドキして、後には何も残らない、そういうジェットコースターみたいな漫画も、あっていいと思う。
少年漫画のヒーローの、現実には出来ないような大冒険や武勇伝を読んで、少年たちは、胸がスカッとする。
それとこの漫画は、本質的には同じ構図ではないかと思った。
ただ、対象が女性で、大人だ、ということであって。
駄目男をバッサリ成敗するのは、現実ではなかなか難しい。
殺傷力の高い言葉が上手く出てこなかったり、決まったと思ったらカウンターを食らったり、切る決心をしたはずなのにズルズル続いてしまったり。
そんな、駄目男に対するイライラと同時に、駄目男を見事にやっつけられない自分自身へのモヤモヤも、晴らしてくれるような漫画なのではないかと感じた。
ただ、私は愚かな男性の側なので、そこまで感情移入は出来なかった。
性差についてあまり語りたくはないが、私が女性であったなら、評価は違っていただろうと思う。
三億円事件の真相には諸説あるが、「過激派を一掃するための国家規模の陰謀」というのは、さすがにやりすぎの感が強く、説得力には欠ける、と個人的には思う。
まあ、それはいい。
基本は少年少女の逃亡劇で、個々のキャラクターにそれぞれカラーが出ていて、ハラハラしながら楽しめた。
時系列を操作するのはこの作者の得意技なのか、「クダンノゴトシ」でもそうだったが、交錯する現在と過去が、よりいっそうスリルを高めていると感じた。
陰謀渦巻く三億円事件という「大きな」ストーリー。
その主人公には、普通にいけば、老練な刑事や探偵が相応しいように思えるが、敢えて「小さな」主人公を設定している。
それによって、多少の無理は出てしまっているが、少年漫画的な盛り上がりを獲得しているとも思う。
ただ、個人的にどうにもひっかかるのが、二点。
ひとつは、夏美の関口に対する母性の覚醒。
高校一年だろ。
いくらなんでも無理がある。
もうひとつは、ラストの大和の選択。
そこで、死のうとするか?
倫理的に、とかではなく、物語的に、どうにも腑に落ちなかった。
この二点は、どちらも「子ども」をメインの登場人物にした弊害だと思う。
夏美の件はもちろん、大和の件も、例えば主人公が「熱心に事件を追うが、どこか死に場所を探しているようにも見える、悲しげな目をした刑事」だったら…まあ、それじゃ全然違う話になっちゃうんだけど。
私の大好きな映画「セブン」と似ていた、というか、似すぎていた。
悪く言えば模倣、よく言えばオマージュ。
私は、好意的に受け止めたい。
漫画として、とても面白かったから。
基本的な作品のトーンやモチーフは「セブン」を踏襲しつつ、パリッとオリジナルな部分も光る。
そして、ところどころで、とても「映画的な」表現がある。
特に(ネタバレギリギリだが)、「彼氏」のシーンや「背中」のシーンなんかは、映像化することを念頭に置いて描いたのではないかと勘繰りたくなるくらい、しびれた。
映画の表現を、漫画に活かす。
それは、手塚治虫がやったことでもある。
余談だか、その「背中」のシーンは実写映画版ではカットされており、何やってんだ制作者、とひどく失望した。
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切子