4.0
ホラーとギャグと
もともと、ホラーとギャグとは、線引きの難しいものだと思う。
小さい頃に怖くてしょうがなかった「ホラー漫画」が、今読むとことごとくギャグだったりする。
この作者はそれをよくわかっていて、本作では確信してギャグの方向に振り切っていると思う。
絵が「古きよき」ホラー漫画タッチであることもあり、妙にノスタルジックな味わいがあった。
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91位 ?
もともと、ホラーとギャグとは、線引きの難しいものだと思う。
小さい頃に怖くてしょうがなかった「ホラー漫画」が、今読むとことごとくギャグだったりする。
この作者はそれをよくわかっていて、本作では確信してギャグの方向に振り切っていると思う。
絵が「古きよき」ホラー漫画タッチであることもあり、妙にノスタルジックな味わいがあった。
当たり前のことなのだが、世の中には、本当に色んな漫画の表現があるんだな、と感じた。
ストーリーはあってないようなもので、アメリカのB級ホラー映画の表面をなぞった程度のものだが、そのB級スラッシャーに、この絵で挑んだことに意味がある。
例えて言うなら、ディズニーがB級スプラッターのアニメを制作したような感じである。
もちろんディズニーは、そんなもの、作らない。
だからこの漫画は、ちょっとした発明なのではないかと思う。
個人の好みは置いておくとして、漫画の可能性を感じさせてくれる作品に出会えるのは、嬉しいことである。
基本的にはB級テイストだが、意外と丁寧に組み立ててあるし、終盤のどんでん返しも上手く決まっていたと思う。
ただ、この手の漫画は主人公サイドに感情移入できる対象がいないと、どうにもテンションが上がらない。
その点は、残念。
あと、仮にも一人の一般ピーポーの悪霊だか怨念だかが、あそこまで派手になるのはいかがなものか。
サラッと読める、ライトな復讐もの。
それが長所でもあるし、短所でもある。
このジャンルも漫画の世界でかなりメジャーになり、色々と凝った作品が生まれている中で、今、この漫画が、どうなのか、と。
この軽さを「逆に新鮮」ととるか、「物足りない」と感じるかは、あなた次第。
ストーリーが本格的に動き出すまでにやや時間がかかるが、それもこの漫画の計算にきちんと組み込まれている気がした。
世界観も物語も、実に緻密に組み立てられており、静かだが、非常にスリリングで、サスペンスフルである。
また、島の描写も、極めて丁寧で美しい。
「設定ありき」で、作品の全貌が決まらない中で見切り発車し、挙げ句に迷走する、というような漫画が多々ある中、この緻密さは称賛に値する。
主人公は魅力に乏しい反面、瀬里沢の冷徹な強さは、際立ってカッコいい。
ノれる曲とノれない曲って、やっぱりある。
「ノリのいい曲」だからって、ノれるとは限らない。
このリズムに、メロディに、ノれる人がいるのはわかるけど、自分はノれない。
そういうことって、ある。
それが、好みというものである。
そんな音楽と一緒で、「ノれれば楽しいんだろうな」と思いつつ、私は、ライブハウスの片隅でしらけているタチの悪い観客のような位置で、この漫画を眺めていた。
どう考えても「そこまでやる必要あるか?」という漫画だけれど、やりすぎの美学みたいなものがあって、その過剰さに乗っかれれば、とても楽しい作品だと思ったし、無視できないオリジナリティーのある漫画だとも感じた。
皮肉でも嫌味でもなく、ノれなかった自分が、残念だ。
個人的に、都市伝説の類は非常に好きである。
漫画としては、都市伝説を上手に広げて、ストーリーにした印象。
既存の都市伝説だけでなく、オリジナルも入っていて、新鮮味はある。
各エピソードにはちょっとしたひねりが加えられていて、退屈せずに読めた。
ただ、安心して読める反面、都市伝説に対するあっと驚くような新解釈や、ぞっとするような「踏み込み」には乏しく、もう少しおどろおどろしいものが読みたかった気もする。
あくまで、都市伝説をモチーフにした、ライトなホラー、という位置づけか。
画力は完全にマイナス。
だが、絵柄はホラーに合っている。
特にホラーやサスペンスの場合、技術的な問題とは別に、絵柄の「合う・合わない」があり、その点は、セーフではなかろうか。
ホラー部分とミステリ部分のバランスがよく、怖がらせる一辺倒になっていたらグダグダになっていたところを、上手く回避した。
荒削りではあるものの、荒削りゆえの洗練されないパワーを感じる、なかなかパンチのきいたホラー。
最近よくある「ゲームもの」の中でも、際立って空っぽ。
個々の死には何の重みも価値もドラマもなく、「ゲーム」の真意も狙いも冗談みたいなもので、「意味づけ」を徹底して拒否しているように思える。
特に「バスケ少年」のシーンなんかは、漫画におけるドラマチックな死、に対するアンチテーゼのようだった。
それを薄っぺらさと感じるか、潔さと感じるか。
まあ、短い間ドキドキして、後には何も残らない、そういうジェットコースターみたいな漫画も、あっていいと思う。
少年漫画のヒーローの、現実には出来ないような大冒険や武勇伝を読んで、少年たちは、胸がスカッとする。
それとこの漫画は、本質的には同じ構図ではないかと思った。
ただ、対象が女性で、大人だ、ということであって。
駄目男をバッサリ成敗するのは、現実ではなかなか難しい。
殺傷力の高い言葉が上手く出てこなかったり、決まったと思ったらカウンターを食らったり、切る決心をしたはずなのにズルズル続いてしまったり。
そんな、駄目男に対するイライラと同時に、駄目男を見事にやっつけられない自分自身へのモヤモヤも、晴らしてくれるような漫画なのではないかと感じた。
ただ、私は愚かな男性の側なので、そこまで感情移入は出来なかった。
性差についてあまり語りたくはないが、私が女性であったなら、評価は違っていただろうと思う。
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