5.0
漫画の可能性
高校のとき、この漫画を読まなかったなら、私は今ほど漫画を読むようにはなっていなかったと思う。
十代の自分が「寄生獣」から感じたのは、一言で言えば、可能性だった。
おいおい、漫画ってこんなことが表現できるのかよ、という可能性である。
それを、手塚治虫から感じた人もいるだろう。
鳥山明から感じた人もいるだろう。
私にとっては、それが「ジョジョ」と「寄生獣」だった。
本作は、「ET」的な不思議な友情の物語でもあり、「ジョジョ」的な頭脳戦のバトル漫画でもあり、答えのないかもしれない問いを投げかける哲学的な作品でもあった。
それは例えば、曖昧な結末を読者に丸投げするのとは、ちょっと違う。
だって新一は、自分の答えを出したから。
でも、私たちの答えは、どうだろう。
優れた作品は、いつだって、答えではなく、問いを残す。
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寄生獣