rokaさんの投稿一覧

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421 - 430件目/全511件
  1. 評価:1.000 1.0

    承認欲求・表現の稚拙さ

    承認欲求は、私にもある。
    例えば、仕事で認められたい。
    例えば、妻にカッコいいと思ってほしい。
    それは「リアル」での話じゃん、というならば、ネット上の話でもいい。
    例えば、このサイトで自分のレビューに「参考になった」が入れば、嬉しい。
    それは、SNS(私はやらないが)での承認欲求と、本質的にはさして変わらないと思う。

    ネット上での承認欲求は、無自覚に生まれやすいし、手軽に自分を偽れるぶんだけ、歪んだり、現実と乖離していく怖さがあるし、程度によっては現代の病の一種だろうから、上手く描けば面白いテーマだと思う。

    ところが、この漫画はびっくりするほど面白くない。
    理由は色々あるけれど、ひとつには、あまりに表現が稚拙すぎる。
    絵の上手い・下手については触れないが、要するに、登場人物の感情をモロに文字で書く以上の表現が、この漫画には何もない。
    小学生の作文じゃあるまいし、例えば漫画の主人公が「俺は今、嬉しいぞ!」とか「うおー!悲しいぜ!」とかしか言わなかったら、そんなもの、もはや表現とは呼べない。

    • 159
  2. 評価:5.000 5.0

    揺さぶられる感傷

    昔読んだ小説の中で、語り手が「今までの人生で得たものと失ったもののリスト」を作ろうとするくだりがあった。
    まだまだ長い人生だ(と思う)が、私はこれから、何を得て、何を失って、生きてゆくのだろう。
    そして、死んでゆくのだろう。
    この漫画を読んで、そんなことに思いを馳せた。

    「うせもの」は「失せ物」である。
    「探し物」ではないのだ、本来は。
    だから、私たちはその多くを、見つけられない。
    取り戻せない。
    でも、永久に失ってしまった何かと、誰かと、もう一度、向き合うことが出来たなら。
    せめて、この世の別れの際に。
    そんな感傷を、ぐらんぐらんに揺さぶられる作品。
    駄目だ、涙なしには読めなかった。

    • 7
  3. 評価:4.000 4.0

    なかなかドラマチック

    設定勝負の一発ものかと思いきや、なかなかどうして、ひとつひとつのエピソードはドラマチックである。
    奇抜な設定だけで引きつけて、中身は空っぽ、という作品ではなく、あくまで描きたいドラマがあり、それを引っ張り出すために設定がある、という印象を受けた。

    トリガーの制度は、設定自体は非現実的だが、おそらく多くの人が一度は抱いたことのあるであろう「こいつ、誰か殺してくれねえかな」という感情に基づいており、それが一種のカタルシスに繋がっているのだろう。
    私たちの中にある、感情的に歪んだ「正義」を利用した漫画であり、その計算は、実に巧妙である。

    • 4
  4. 評価:3.000 3.0

    ジャンルの変更

    つかみはなかなか面白かった。
    ただ、「クライムサスペンス」というスタート地点から、途中で「バトルアクション」にジャンルが変わっている。
    バトルアクションとしても悪くはないのだが、勝手に期待していたものとのズレが大きく、私はそのジャンル変更に上手く乗れなかった。

    • 3
  5. 評価:4.000 4.0

    B級の王道

    この人の漫画は、「キング・オブ・B級」という感じで、何とも独特の楽しさがある。

    こういう言い方はとても失礼だけれど、本格のホラーも一級品のアクションも切れ味のあるコメディも描けなくて、それでも漫画が大好きで、必死で生きる道を探して辿り着いたような、素晴らしいB級であると思う。

    映画でも漫画でも、作品に対する愛情を感じるB級は、どれほど血が飛び散るホラーであっても、どこか、温かい。

    • 6
  6. 評価:5.000 5.0

    漫画の可能性

    高校のとき、この漫画を読まなかったなら、私は今ほど漫画を読むようにはなっていなかったと思う。

    十代の自分が「寄生獣」から感じたのは、一言で言えば、可能性だった。
    おいおい、漫画ってこんなことが表現できるのかよ、という可能性である。
    それを、手塚治虫から感じた人もいるだろう。
    鳥山明から感じた人もいるだろう。
    私にとっては、それが「ジョジョ」と「寄生獣」だった。

    本作は、「ET」的な不思議な友情の物語でもあり、「ジョジョ」的な頭脳戦のバトル漫画でもあり、答えのないかもしれない問いを投げかける哲学的な作品でもあった。
    それは例えば、曖昧な結末を読者に丸投げするのとは、ちょっと違う。
    だって新一は、自分の答えを出したから。
    でも、私たちの答えは、どうだろう。

    優れた作品は、いつだって、答えではなく、問いを残す。

    • 14
  7. 評価:4.000 4.0

    なんてったってホラー

    あまり期待せずに読んだが、とてもまっとうなホラーで、楽しかった。

    他の方のレビューにもあるが、確かに結末はすっきりしないし、伏線も綺麗に回収されない…というか、伏線らしい伏線もない。
    しかし、この「何だかよくわからない感じ」が、まさにホラーだと思う。

    明確な原因があって、結果がある、そうではなくて、理由も経緯もわからないままに、何か恐ろしいことに巻き込まれる。
    それは不意に始まり、また、不意に終わる。
    ホラーっていうのは、そういうことなのではないかと。

    • 7
  8. 評価:4.000 4.0

    「そこそこ」の遠さ

    ダメ人間ばかりの話。
    ただ、その描き方のさじ加減は巧妙で、
    「現実には人間なんてこんなものかもしれない」と、
    「いや、いくらなんでもこれはないわ」と、
    「あれ、ダメ人間にしてはやるじゃん」の間を、登場人物たちは浮遊する。
    リアルな共感性と、漫画としての演出のバランスが秀逸で、小気味良く読める。

    その中で、「そこそこでいい」というトビオのリアリティーがいい。
    この価値観を漫画の主人公に置いたのは、現代漫画のひとつの発明かもしれない。

    しかし、トビオは知る。
    「そこそこ」は、すごく難しい、ということを。
    それは多分、今の時代、多くの若者がぶち当たる壁なんじゃないか。
    この漫画ほど派手にじゃなくても。
    そういう意味では、すごく時代性をとらえた漫画だと思う。

    • 5
  9. 評価:3.000 3.0

    汚ならしさという魅力

    一種の「汚ならしさ」が、ホラーを引き立てることって、あると思う。
    映画「悪魔のいけにえ」なんか、そうじゃないかな、と。
    小綺麗な漫画が多い中、そういう「汚ならしさ」には独特のものを感じた。

    しかし、島の住人サイドがあまりにぶっ飛びすぎていて、少々しらけてしまった。
    「レザーフェイス」じゃないけれど、もう少し「普通」だったら、すんなり作品に入り込めたと思うのだが。

    • 2
  10. 評価:4.000 4.0

    異次元の挑戦

    登場人物(?)たちの会話のギャグセンスは流石の一言。
    スタートは完全に「いつもの古谷実」かと思いきや、とんでもない異次元に飛んでいきやがった。

    きっと、挑戦だったのだと思う。
    それが今回、成功したとは言いがたい。
    しかし、いつの日か、「あのとき、ゲレクシスがあったから」という作品を、描いてくれるに違いない。
    私は古谷実という漫画家を、そんなふうに信じている。

    • 5

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