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作品レビュー
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271 - 280件目/全498件

  1. 評価:4.000 4.0

    ギリギリの勝負

    小泉ジュンイチローや麻生タローが、国家の命運を左右するレベルの諸々を賭けて、ブッシュやプーチンや北の金将軍らと麻雀で対決する、という、何かもう色々な意味でギリギリの漫画。

    一応、麻雀を扱ってはいるものの、盲牌の際に指の力で表面を削り取って「白」に変える、という次元の技が炸裂する、麻雀漫画の皮をかぶったギャグ漫画なので、麻雀を知らない読者でも、ほとんど問題ないかと思う。

    各方面から苦情や圧力がなかったのか、ただただそれが気にかかる、実に下らなくて、楽しい漫画であった。

    • 3
  2. 評価:5.000 5.0

    夢の後で

    二十年前、オリジナルの金田一少年が大好きだった。
    あらゆる意味で、私にとって特別な漫画だった。
    漫画のキャラクターの中で、本当に友達のように感じられたのは、金田一君が最初で最後だったんじゃないかと思う。

    本作の中で、金田一君は、私と同じように歳をとっていた。
    かつての金田一ファンからの厳しい声は、もっともであるとも思う。
    「わざわざ37歳にした意義を感じない」、
    「金田一の歳のとり方に魅力がない」、
    「17歳から進歩がない」、
    「17歳ならいいけどこんな37歳は嫌だ」、
    「美雪と結婚していないことに失望した」、
    「金田一の人生に夢がない」、
    そういう批判、全て、理解できる。

    でも、どうだろう。
    37歳になった私たちは、かつて自分が思い描いていたほど、立派な大人になれただろうか。
    野球部のエースはメジャーリーガーとして海を渡っただろうか。
    クラスのマドンナは大女優になっただろうか。
    「いや、漫画なんだから、もっと夢があってもいいじゃん」。
    そうかもしれない。
    しかし、この金田一は、もう少年漫画ではない。
    夢に向かってどう生きるか、という漫画である必要はないと私は思う。
    夢の後をどう生きるか、という漫画であっても、いいのではないか。
    だって、ほとんど全ての人々にとって、「夢の後」の人生の方が、ずっと長いのだから。

    いつの間にか、周囲の期待からも漠然と描いていた夢からも遠く逸れて、私たちはそれでも、あの頃とは別の何かを懸命に守ったり、日々の中から小さな幸福を拾い上げたりしながら、生きているのではなかろうか。
    私には、敏腕探偵にもエリート刑事にもならなかった金田一君が、ブラック企業の中間管理職を務めるクソ面白くもない日常の中で、埋もれたり流されたりしながら、それでも必死にもがいて、懸命に生きようとしているように見えた。
    それは、いつの間にか37歳になった私の姿であり、私たちの姿であるような気がした。

    「もう謎は解きたくない」、あの金田一君がそんなことを言うなんて、余程のことがあったのだろう。
    だが、ある意味では、私たち皆がそうだ。
    二十年の間に、皆、色々あったのだ。
    でも、ともかく、生きている。

    私も、金田一君も、かつて持っていたものの多くを失い、残されているのは、欠片くらいのものかもしれない。
    でも、欠片はまだ、残っている。
    ならば、その欠片が、全てではないか。

    • 182
  3. 評価:3.000 3.0

    その復讐はもはやギャグ 

    いじめが原因で命を落とした兄、それをきっかけに崩壊した家族。
    その復讐を果たすため、優等生だった兄になりすまして高校に入った不良の弟の壮絶なリベンジが…などと書くともっともらしいが、いや、兄が死んだのばれてないんかーい。
    とか、全国模試で上位にいるような優等生の兄が、不良の巣窟みたいな高校に通ってたんかーい。
    とか、もう、設定段階からゆるゆるである。

    復讐の舞台となる高校も、フリーザみたいな不良のボス(こいつがなぜか敬語でしゃべるものだから、余計にフリーザを彷彿とさせる)がいて、やれ親衛隊だの、やれナンバーズだのと、今どきRPGでもやらないんじゃないかという設定具合で、シリアスな復讐物語、という作品の方向性は完全に死んでいる。
    これをギャグでやっているならハイセンスだが、大真面目だから、寒い。

    個人的な加点ポイントは、絵だ。
    賛否あるだろうが、「雑なデッサンをカラーにした」という感じのザラッとした絵柄は、なかなか魅力的に映った。
    逆に言えば、この絵を受けつけない読者にとっては、本作を読む価値は皆無に近いと思う。

    ただ、主人公の復讐劇が、基本的に暴力を行使するものである以上、殴るシーンに全く迫力がないのは、いささか致命的に思われた。

    • 56
  4. 評価:4.000 4.0

    異様な絵

    いわゆる「世にも奇妙な物語」的な作品。

    基本的に救いのないストーリーが特徴だが、何といっても凄いのは、その異様な絵である。
    漫☆画太郎から技術と滑稽さを取り払ったような絵だ。
    こう書くと「それじゃ何も残らないじゃん」と思われるかもしれないが。

    ホラー漫画以外では成立しない類の絵であり、こういう作品を読むと、特にホラー漫画では、上手い・下手以上に、「合う・合わない」が大事であることがよくわかる。

    • 2
  5. 評価:4.000 4.0

    いるはずのない彼ら

    この作者の「幽霊塔」という漫画は、それはもう、夢中で読んだのだが、本作にはどうにも入り込めなかった。

    安定してクオリティは高いし、サイコキラーとの心理戦は実にスリリングで、漫画としての見せ方も抜群に上手いと思う。

    しかし、申し訳ないが、根本の設定に、どうしても冷めてしまった自分がいる。
    「連続殺_人犯から情報を聞き出すために獄中結婚する児童相談所の職員」。
    そんな奴、いるわけねえのである。

    そしてそのサイコキラーは、女性だ。
    ちなみに「殺_人ピエロ」と呼ばれた連続殺_人犯は、アメリカに実在した。
    ジョン・ウェイン・ゲイシーは、普段はパーティーなんかでピエロの格好をして子どもを楽しませていた地元の名士だったが、三十人以上の少年たちを殺めたサイコ野郎だった。
    もちろん、男性である。
    ピエロに扮して次々と男を葬る女性のサイコキラー。
    これまた、いるわけねえのである。

    これがファンタジーの世界ならいい。
    不気味で可愛らしい女性のサイコキラーがいても、魅力的で破天荒な主人公がそのサイコキラーと結婚しても、構わない。
    しかし、本作はあくまで「現実枠」内の物語である。
    そういう種類の漫画において、「いるわけねえ」主人公(しかも二人)というのは、私にとっては致命的であり、そこにどっぷり浸かって夢中になれるほど、私に読者としてのキャパはなかった。

    • 8
  6. 評価:5.000 5.0

    優しく楽しい嘘のミステリ

    人の嘘が「聞こえて」しまう能力を持つ少女が、探偵の助手として活躍するストーリー。

    設定だけ聞くと、「嘘を見抜けるなら事件は秒殺で解決だろ」という反則レベルの特殊能力なのだが、そのあたりはなかなか巧妙に練られていて、変則ミステリとして非常に面白い。

    また、嘘がテーマの作品だけあって、作中で描かれる嘘は実に多様で、単に「暴かれるべき悪」としての嘘ばかりでなく、いくつもの優しい嘘、楽しい嘘が、全編を彩る。

    私は絵に関しては門外漢だが、それでも、本作の細やかな美しさと可愛らしさには感心させられた。

    ミステリとしては「甘め」で、本格推理モノ、というわけでは決してないのだけれど、作品の雰囲気にはマッチしていて、ちょうどいい塩梅である。

    いやはや、実に楽しい、嘘の話であった。

    • 22
  7. 評価:4.000 4.0

    奇妙な中毒性

    昭和の映画や漫画のパロディの寄せ集めで成り立っているような作品。
    だいたい絵柄からして、水木しげるのパロディ、というかハイレベルな「模写」なので、もう、パロディというか、何なのだ、という作品。

    こんな漫画を今どき描いても、元ネタに「わかる!」となる読者は少なそうだし、そういう読者層がターゲットとも思えない。
    しかし、「細かすぎて伝わらないモノマネ」的というか、「別にわかってもらえなくてもいい」というスタンスで描いている気がする。
    そういう意味では、結構とがった漫画である。

    正直、明確に「面白い!」と言える作品ではなかった。
    だが、妙な中毒性があるのも事実で、「大して面白いとも思えないのに気がついたら全て読んでしまった」、そういう意味では、節分の豆のような漫画である。

    私は水木しげるの信奉者なので、この絵柄が現代に存在しているだけで嬉しくなってしまう。
    そんなわけで、私の評価は甘いかもしれない。

    • 4
  8. 評価:4.000 4.0

    筋の通ったギャグ漫画

    ほとんど出オチのような設定勝負の漫画であり、「やったもん勝ち」的なところはあるけれど、その設定を実に巧みに活かしきっている。
    このあたりはもう、センスと言う他にない。

    滅茶苦茶な設定でありながら、そこから紡がれる話は決して滅茶苦茶ではなく、まるで極道そのもののように、一本筋が通っている。
    そういう意味では、パリッとした、実に清々しいギャグ漫画である。

    • 2
  9. 評価:5.000 5.0

    反則か、発明か

    ごく短いエピソードの寄せ集め的な漫画、と書くと短編集かと思われるかもしれないが、違う。
    こんなものは「短編」とすら呼べない。
    ストーリーはないに等しく、誤解を恐れずに言えば、ほとんど漫画の体をなしていない。
    反則ギリギリの作品であり、これを受け入れられない読者はたくさんいると思う。

    だが、怖い。

    この作品は、「瞬間」を捉えることに特化している。
    それによって、ホラー漫画として稀有なリアリティーを獲得することに成功している。

    世の中には色んなホラー漫画がある。
    街にゾンビが溢れたり、心霊スポットで貞子ちゃんみたいなのが出てきたり、排他的な村でレザーフェイスみたいなのに襲われたり、何でもいいのだが、いくら作品が魅力的で、それに没入できたとしても、ふと我に返ると、いい大人であれば、誰もが思ってしまう。
    「でもまあ、こんなこと、現実にあるわけないねんけどな」と。

    だが、この作品は、違う。
    ストーリーを放棄しているがゆえに、「何かわけのわからないものが見えた」という「瞬間」だけを描いているがゆえに、「こんなことなら、あるかも」という実に気味の悪いリアリティーを生んでいる。

    ずるいだろ、そんなの。
    一方では、そう思う。
    「反則」と書いたのはそういう意味だ。

    しかし考えてみれば、タイトルからもう、作者はそれを表明している。
    これは「物語」などではなく、あくまで「種」なのだ、と。

    その種は、漫画の中ではなく、私たちの現実の中で芽を出し、日常のふとした瞬間を侵食する。
    私たちは、夕闇の帰り道に、深夜のベランダに、カーテンの隙間に、この漫画で見た、幽霊かどうかも不確かな、何かわけのわからないものの影を見るだろう。

    その仕掛けはほとんど発明と言って然るべきで、ムカつくほど感心した。

    • 9
  10. 評価:3.000 3.0

    尖ったものが

    いじめられている主人公の高校にミステリアスな転校生がやって来て、主人公を救い出してくれるのだが、どうやらその転校生が尋常ではなくヤバい人だ、という話。

    「サエイズム」という漫画からコメディ要素を排除したような感じで、決してつまらなくはなかったのだけれど、終始「どこかで見た感じ」がつきまとってしまうのはなぜだろう。

    ストーリー展開にも、登場人物の造形にも、一度もハッとするような部分がなかった。
    手堅いと言えばそうなのかもしれないが、何もかもがあまりに類型の域を出ないと、読んでいてがっくりきてしまう。

    読者のワガママだが、何かひとつくらいは、尖ったものが欲しかった。

    • 2
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