rokaさんの投稿一覧

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評価1 5% 35
271 - 280件目/全506件
  1. 評価:4.000 4.0

    パロディとしての神と人間

    千年に一度の神々のサミットみたいな場で、「人類はもう滅亡させたほうがいいだろう、地球によくないし」という結論になり(まあこれはもっともな話かもしれない)、人類滅亡が決定されるのだが、何だかんだあって、人類代表の13人vs神代表の13人(と数えていいかは知らないが)でタイマンをやって、人類の存亡を決めようじゃないか、という話になり、そこから始まるバトル漫画。

    当然、設定段階から荒唐無稽もいいところで、対戦カードは、呂布奉先vsトール、アダムvsゼウス、佐々木小次郎vsポセイドン、切り裂きジャックvsヘラクレス…といった具合なのだが、この滅茶苦茶っぷりが、バトル漫画としてはなかなか面白い。

    人間の側も神の側も、キャラ設定の面では突っ込みどころが満載だけれども、パロディ・バトル漫画として、あまり深くは考えずに楽しむのがよろしいかと思う。
    逆に言えば、時代考証や宗教的な考察にこだわる読者には、あまり向かないかもしれない。

    • 19
  2. 評価:3.000 3.0

    悪の所在

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    前半は、かなり興味深く読んだ。
    夫の浮気に悩む妻の心の微妙な動きが、なかなか繊細に、リアルに、表現されていると思ったからだ。

    (ここからネタバレ)

    しかし、夫の浮気相手が実は妻の友人で、こいつがとんでもない女で、しかも夫は浮気をしてすらいなかった、という展開には、私は冷めてしまった。

    そりゃ、サプライズはあった。
    あったけれど、この女があまりに圧倒的な悪役すぎて、主人公の夫婦は単なる「被害者」みたいな位置になり、漫画の文脈が、変質してしまったように感じた。

    私は、何となく、主人公の夫婦が、お互いの悪を抱えて、それをいかに許し、乗り越えるのか、ということに注目していたのだと思う。
    もちろん、それは勝手な期待なのだが、この展開になってしまうと、もう別の漫画じゃん、というか、何やらそこまで積み上げてきたものが崩れて台無しになってしまったように感じた。
    要するに、裏切られたみたいな気分になったのだろう。

    だってもう、夫婦が乗り越えなくてはならない問題なんて、ハナからなかったってことじゃん。
    悪いのはこの女だけじゃん。
    それがわかった後でも主人公はまた悩むけど、それは、何だかなあ。

    • 872
  3. 評価:3.000 3.0

    ホラーとミステリの難しさ

    冥婚、という(現代日本の通常の感覚で言うと)奇妙な風習をモチーフにしたホラー漫画。

    実質、ホラー・ミステリ、というような感じで、初期の「リング」的というか、恐怖の正体を探る展開は、なかなか面白かった。

    イマイチ高く評価できなかったのは、ホラー漫画としての「画」のインパクトが薄かったのと、ホラーとしてはちょっと因果関係みたいなものがカッチリし過ぎているように感じたからだ。

    ミステリは大いに結構なのだが、そのアプローチは、意外と、ホラーとの相性は難しい。
    原因があって、結果があって、つじつまが合う。
    それは、ホラーとしては、微妙なのだ。
    わけがわからないことほど恐ろしいことは、ないからである。

    • 9
  4. 評価:2.000 2.0

    どうしても駄目だ

    モンスターパニック漫画。

    モンスターの造形は結構、迫力があって、なかなか魅せる。

    ところで、どういうわけか、見ているだけでムカついてくる顔の人って、いませんか?
    特に人相が悪いとか、あり得ないくらい不細工だとか、そういうわけではないのに、なぜか、なぜかですよ、もう、前世からの因縁か何かだとしか思えないくらい、見ているだけで殴りたくなってくるような顔の人。

    私にとっては、この漫画の絵が、そういう感じである。
    本当に申し訳ないのだが、どうしても駄目だった。
    モンスターの造形はいいのだけれど、人間の顔が、どうしても駄目だった。

    • 5
  5. 評価:4.000 4.0

    両親を殺されて以来、雨の日限定で、人の背後に「殺_人の履歴」が見える能力を身につけてしまった主人公の少年と、殺_人者の肉を食べて生きている謎の少女の、変則バディー漫画。

    展開はスピーディーでスリリング、没入感はなかなか高い。

    面白いのは、二人の価値観や利害が、必ずしも一致してはいないところ。
    少年には、両親を殺した犯人に復讐するという大義があり、ノーマルな倫理観も持ち合わせているが、少女の方は人でなしもいいところで(多分、人じゃないんだろうけど)、例えば、たくさん人を殺した人間の肉のほうが美味しいからという理由で、平気で目の前の殺_人を看過しようとする。

    この二人の関係性がどう変化していくのか、弱々しい主人公がどう成長していくのかも、見どころだろう。

    • 2
  6. 評価:4.000 4.0

    毒をもって毒を制す

    学校にはびこる様々な問題を、一見普通の教頭にしか見えない主人公が、ギリギリの(というか完全にアウトの)手段で解決していくストーリー。

    基本的にはシリアスな路線だが、教頭のキャラのギャップが強烈に過ぎ、見方によってはギャグ、という結構きわどいところを攻めていて、なかなか面白い。
    だいたい、「地獄の教頭」って。
    「地獄の門」とか「地獄の黙示録」とかならあれだけど、「地獄の教頭」って。
    それはもう、「地獄先生ぬ~べ~」のノリに近いだろう。

    一説によると、学校の教師が一番やりたくないポジションが「教頭」らしい。
    それくらい、微妙で、わりに合わない役職なのだろう。
    そんなポジションを敢えて主役にもってきたところにも、本作の面白味があると思う。

    • 12
  7. 評価:5.000 5.0

    料理漫画界の異端児

    主人公が悪漢である、という漫画は、特別に珍しくもない。
    しかし、それが料理漫画となると話は別だ。

    料理漫画の主人公は、料理を美味しく食べてもらいたい、純粋・素朴・爽やか系のキャラが普通だ、というか、そうであるべきだろ。
    審査員にマジック_マッシュルームを食べさせて幻覚を見せ、謀略によって対戦相手を陥れ、「料理は勝負だ!勝てばいいんだよ!」などと叫ぶ山猿のような面構えの悪漢が主役を張る料理漫画なんて、そうそうあるはずがない。

    何が凄いって、この漫画には、五番町霧子と小此木タカオがいることだ。
    名門料理店の志高き跡継ぎと、料理は素人だが好感度は抜群の好青年。
    普通の料理漫画なら、この二人のどちらかを主人公にする。
    しかし、その二人を蹴散らして、秋山醤(ジャン)、なのである。
    何だよそのチョイス。

    しかし、秋山醤、この異端児が、たまらなく魅力的である。

    それはもちろん、彼が作る料理の抜群のインパクトも理由ではある。
    羊の脳味噌を使った茶碗蒸しだの、鳩の血の卵だの、読んだのは十年以上も前なのに、醤が「魔法」とうそぶいた料理の数々は、今でも鮮明に思い出せる。
    ちなみに、この漫画の料理には、突飛ではあるが、決して出鱈目ではない、と思わせる説得力があり、その点もポイントが高い。

    また、脇役がパリッと立っていることも大きい。
    前述の霧子や小此木もあるが、凄まじいのは蟇目檀や五行道士といった悪役の造形で、彼らの存在によって、醤がきちんとヒーローになれている部分は大きい。
    毒をもって毒を制す。

    そして、賢明な読者であれば、気づく。
    どれほど口と態度と性格が悪くても、醤もまた、料理を愛しているのだ、ということに。
    ただ、例えば霧子とは、その愛し方が違うだけなのだ。
    例えば素行と発言は最悪でも、リアム・ギャラガーが、確かに音楽を愛していたように。

    料理漫画としては完全に異端だが、私は、最も好きな料理漫画である。

    • 3
  8. 評価:5.000 5.0

    異形の傑作

    作品を支えるバックグラウンドの知識量、情報量が圧倒的である。
    考古学、民俗学、宗教学、あと何なのか知らないが、漫画としてはほとんど常軌を逸したレベルだと思う。

    正直、あまりに情報量が多すぎるゆえ、どうしても「文字」に頼った説明が過多になっている感はあり、「漫画」としてはどうなんだ、と感じるところもあった。
    そういう点で言えば、例えば「ギャラリーフェイク」という漫画なんかは、確かな含蓄がありながら、マニアックに走りすぎないバランス感覚があった。
    本作は、違う。
    ひたすらマニアックに、振り切っている。
    しかし、ここまで徹底されると、一種の敬意を込めて、「あり」と認めるしかないとも思った。

    絵の表現は、決してわかりやすい上手さではないが、有無を言わさぬ妙な迫力と説得力があり、作品のトーンには、非常によくマッチしていると思う。

    ずば抜けた含蓄に裏打ちされて、もはや漫画ではない別の何かであるかのような妖気の漂う、異形の傑作。

    • 5
  9. 評価:5.000 5.0

    少年ホラー漫画という発明

    ホラーと相性がいいのは基本的に少女漫画であって、少年漫画ではないと思う。
    いくぶん偏見込みで言えば、おどろおどろしい情念や執着みたいなものは、やはり、女性のほうがよく似合う。
    「幽霊」と聞いてパッと思い浮かべる絵というのは、多くの人が、女性なのではなかろうか。
    そういうことである。

    単純に、絵の問題をとっても、「少年漫画の絵」でホラー、というのは難しい。
    鳥山明や尾田栄一郎や青山剛昌の絵で描かれたホラーなんて、何かピンとこない。
    ちなみに、荒木飛呂彦はピンときすぎて困る。

    だから、この漫画は異色であり、傑作であると思う。
    はっきり言って、「ぬ~べ~」なんか(というのは失礼だが)より怖いホラー漫画や面白いホラー漫画は、腐るほどある。
    しかし、ホラー漫画というジャンルを、少年漫画のフォーマットにこれほど見事に落とし込んだ作品というのは、他になかったのではないか。

    あくまで「少年漫画の絵」であり、極めて典型的な、そして健全な、少年漫画としてのヒーロー像があり、バトルがあり、ギャグがあり、ラブコメがあり、しかし、ギリギリのところでホラー漫画でもあるという、その奇異でとっちらかったバランスは、非常に素晴らしい。

    夢中になれた少年時代の感謝を込めて、星をひとつ足した。

    • 11
  10. 評価:3.000 3.0

    ここまでか、こんなもんか

    主人公の親友がいわゆる悪女で、主人公の好きな男を…という話。

    展開はスピーディーでテンポよく読めるが、ちょっと性急に過ぎる気もする。
    このあたりは、賛否あるだろう。

    悪女の造形も、好みが分かれると思う。
    悪女だけどしたたかで魅力的だ、とか、悪女を演じているけれど健気だ(ピンとこない方は中島みゆきの「悪女」という曲を聴いて下さい)、とか、そういう女ではなく、要するに、ただ顔が可愛いだけの嫌な女である。

    しかし、その「ただ顔が可愛いだけの嫌な女」に引っかかるのが、男というものなのだ、残念ながら。

    「カジノ」という古い映画の中で、シャロン・ストーンがたいそうな悪女を演じており、ロバート・デ・ニーロ演じる主人公が、その虜になる。
    私の妻はそれがどうしても理解できないと言っていた。
    何であんな女に引っかかるのか、と。
    私は、男は阿呆だから、「何であんな女に」という女に引っかかるものなのだ、と解説したが、「あなたもそういう女に引っかかるのか」と妻の機嫌を損ねただけだった。

    何が言いたいのかというと、私は、男の愚かさをよく自覚しているつもりだ、ということだ。

    だが、その私であっても、この漫画に関しては、さすがに「男はここまで阿呆だろうか」と首をひねった。
    いくら何でも、十五のガキじゃあるまいし、悪女のこんなに露骨な策略にはまるだろうか。
    うーん。
    でもまあ、こんなもんかなあ、男は。

    • 133

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