rokaさんの投稿一覧

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281 - 290件目/全512件
  1. 評価:4.000 4.0

    両親を殺されて以来、雨の日限定で、人の背後に「殺_人の履歴」が見える能力を身につけてしまった主人公の少年と、殺_人者の肉を食べて生きている謎の少女の、変則バディー漫画。

    展開はスピーディーでスリリング、没入感はなかなか高い。

    面白いのは、二人の価値観や利害が、必ずしも一致してはいないところ。
    少年には、両親を殺した犯人に復讐するという大義があり、ノーマルな倫理観も持ち合わせているが、少女の方は人でなしもいいところで(多分、人じゃないんだろうけど)、例えば、たくさん人を殺した人間の肉のほうが美味しいからという理由で、平気で目の前の殺_人を看過しようとする。

    この二人の関係性がどう変化していくのか、弱々しい主人公がどう成長していくのかも、見どころだろう。

    • 2
  2. 評価:4.000 4.0

    毒をもって毒を制す

    学校にはびこる様々な問題を、一見普通の教頭にしか見えない主人公が、ギリギリの(というか完全にアウトの)手段で解決していくストーリー。

    基本的にはシリアスな路線だが、教頭のキャラのギャップが強烈に過ぎ、見方によってはギャグ、という結構きわどいところを攻めていて、なかなか面白い。
    だいたい、「地獄の教頭」って。
    「地獄の門」とか「地獄の黙示録」とかならあれだけど、「地獄の教頭」って。
    それはもう、「地獄先生ぬ~べ~」のノリに近いだろう。

    一説によると、学校の教師が一番やりたくないポジションが「教頭」らしい。
    それくらい、微妙で、わりに合わない役職なのだろう。
    そんなポジションを敢えて主役にもってきたところにも、本作の面白味があると思う。

    • 13
  3. 評価:5.000 5.0

    料理漫画界の異端児

    主人公が悪漢である、という漫画は、特別に珍しくもない。
    しかし、それが料理漫画となると話は別だ。

    料理漫画の主人公は、料理を美味しく食べてもらいたい、純粋・素朴・爽やか系のキャラが普通だ、というか、そうであるべきだろ。
    審査員にマジック_マッシュルームを食べさせて幻覚を見せ、謀略によって対戦相手を陥れ、「料理は勝負だ!勝てばいいんだよ!」などと叫ぶ山猿のような面構えの悪漢が主役を張る料理漫画なんて、そうそうあるはずがない。

    何が凄いって、この漫画には、五番町霧子と小此木タカオがいることだ。
    名門料理店の志高き跡継ぎと、料理は素人だが好感度は抜群の好青年。
    普通の料理漫画なら、この二人のどちらかを主人公にする。
    しかし、その二人を蹴散らして、秋山醤(ジャン)、なのである。
    何だよそのチョイス。

    しかし、秋山醤、この異端児が、たまらなく魅力的である。

    それはもちろん、彼が作る料理の抜群のインパクトも理由ではある。
    羊の脳味噌を使った茶碗蒸しだの、鳩の血の卵だの、読んだのは十年以上も前なのに、醤が「魔法」とうそぶいた料理の数々は、今でも鮮明に思い出せる。
    ちなみに、この漫画の料理には、突飛ではあるが、決して出鱈目ではない、と思わせる説得力があり、その点もポイントが高い。

    また、脇役がパリッと立っていることも大きい。
    前述の霧子や小此木もあるが、凄まじいのは蟇目檀や五行道士といった悪役の造形で、彼らの存在によって、醤がきちんとヒーローになれている部分は大きい。
    毒をもって毒を制す。

    そして、賢明な読者であれば、気づく。
    どれほど口と態度と性格が悪くても、醤もまた、料理を愛しているのだ、ということに。
    ただ、例えば霧子とは、その愛し方が違うだけなのだ。
    例えば素行と発言は最悪でも、リアム・ギャラガーが、確かに音楽を愛していたように。

    料理漫画としては完全に異端だが、私は、最も好きな料理漫画である。

    • 3
  4. 評価:5.000 5.0

    異形の傑作

    作品を支えるバックグラウンドの知識量、情報量が圧倒的である。
    考古学、民俗学、宗教学、あと何なのか知らないが、漫画としてはほとんど常軌を逸したレベルだと思う。

    正直、あまりに情報量が多すぎるゆえ、どうしても「文字」に頼った説明が過多になっている感はあり、「漫画」としてはどうなんだ、と感じるところもあった。
    そういう点で言えば、例えば「ギャラリーフェイク」という漫画なんかは、確かな含蓄がありながら、マニアックに走りすぎないバランス感覚があった。
    本作は、違う。
    ひたすらマニアックに、振り切っている。
    しかし、ここまで徹底されると、一種の敬意を込めて、「あり」と認めるしかないとも思った。

    絵の表現は、決してわかりやすい上手さではないが、有無を言わさぬ妙な迫力と説得力があり、作品のトーンには、非常によくマッチしていると思う。

    ずば抜けた含蓄に裏打ちされて、もはや漫画ではない別の何かであるかのような妖気の漂う、異形の傑作。

    • 7
  5. 評価:5.000 5.0

    少年ホラー漫画という発明

    ホラーと相性がいいのは基本的に少女漫画であって、少年漫画ではないと思う。
    いくぶん偏見込みで言えば、おどろおどろしい情念や執着みたいなものは、やはり、女性のほうがよく似合う。
    「幽霊」と聞いてパッと思い浮かべる絵というのは、多くの人が、女性なのではなかろうか。
    そういうことである。

    単純に、絵の問題をとっても、「少年漫画の絵」でホラー、というのは難しい。
    鳥山明や尾田栄一郎や青山剛昌の絵で描かれたホラーなんて、何かピンとこない。
    ちなみに、荒木飛呂彦はピンときすぎて困る。

    だから、この漫画は異色であり、傑作であると思う。
    はっきり言って、「ぬ~べ~」なんか(というのは失礼だが)より怖いホラー漫画や面白いホラー漫画は、腐るほどある。
    しかし、ホラー漫画というジャンルを、少年漫画のフォーマットにこれほど見事に落とし込んだ作品というのは、他になかったのではないか。

    あくまで「少年漫画の絵」であり、極めて典型的な、そして健全な、少年漫画としてのヒーロー像があり、バトルがあり、ギャグがあり、ラブコメがあり、しかし、ギリギリのところでホラー漫画でもあるという、その奇異でとっちらかったバランスは、非常に素晴らしい。

    夢中になれた少年時代の感謝を込めて、星をひとつ足した。

    • 12
  6. 評価:3.000 3.0

    ここまでか、こんなもんか

    主人公の親友がいわゆる悪女で、主人公の好きな男を…という話。

    展開はスピーディーでテンポよく読めるが、ちょっと性急に過ぎる気もする。
    このあたりは、賛否あるだろう。

    悪女の造形も、好みが分かれると思う。
    悪女だけどしたたかで魅力的だ、とか、悪女を演じているけれど健気だ(ピンとこない方は中島みゆきの「悪女」という曲を聴いて下さい)、とか、そういう女ではなく、要するに、ただ顔が可愛いだけの嫌な女である。

    しかし、その「ただ顔が可愛いだけの嫌な女」に引っかかるのが、男というものなのだ、残念ながら。

    「カジノ」という古い映画の中で、シャロン・ストーンがたいそうな悪女を演じており、ロバート・デ・ニーロ演じる主人公が、その虜になる。
    私の妻はそれがどうしても理解できないと言っていた。
    何であんな女に引っかかるのか、と。
    私は、男は阿呆だから、「何であんな女に」という女に引っかかるものなのだ、と解説したが、「あなたもそういう女に引っかかるのか」と妻の機嫌を損ねただけだった。

    何が言いたいのかというと、私は、男の愚かさをよく自覚しているつもりだ、ということだ。

    だが、その私であっても、この漫画に関しては、さすがに「男はここまで阿呆だろうか」と首をひねった。
    いくら何でも、十五のガキじゃあるまいし、悪女のこんなに露骨な策略にはまるだろうか。
    うーん。
    でもまあ、こんなもんかなあ、男は。

    • 136
  7. 評価:4.000 4.0

    ギリギリの勝負

    小泉ジュンイチローや麻生タローが、国家の命運を左右するレベルの諸々を賭けて、ブッシュやプーチンや北の金将軍らと麻雀で対決する、という、何かもう色々な意味でギリギリの漫画。

    一応、麻雀を扱ってはいるものの、盲牌の際に指の力で表面を削り取って「白」に変える、という次元の技が炸裂する、麻雀漫画の皮をかぶったギャグ漫画なので、麻雀を知らない読者でも、ほとんど問題ないかと思う。

    各方面から苦情や圧力がなかったのか、ただただそれが気にかかる、実に下らなくて、楽しい漫画であった。

    • 3
  8. 評価:5.000 5.0

    夢の後で

    二十年前、オリジナルの金田一少年が大好きだった。
    あらゆる意味で、私にとって特別な漫画だった。
    漫画のキャラクターの中で、本当に友達のように感じられたのは、金田一君が最初で最後だったんじゃないかと思う。

    本作の中で、金田一君は、私と同じように歳をとっていた。
    かつての金田一ファンからの厳しい声は、もっともであるとも思う。
    「わざわざ37歳にした意義を感じない」、
    「金田一の歳のとり方に魅力がない」、
    「17歳から進歩がない」、
    「17歳ならいいけどこんな37歳は嫌だ」、
    「美雪と結婚していないことに失望した」、
    「金田一の人生に夢がない」、
    そういう批判、全て、理解できる。

    でも、どうだろう。
    37歳になった私たちは、かつて自分が思い描いていたほど、立派な大人になれただろうか。
    野球部のエースはメジャーリーガーとして海を渡っただろうか。
    クラスのマドンナは大女優になっただろうか。
    「いや、漫画なんだから、もっと夢があってもいいじゃん」。
    そうかもしれない。
    しかし、この金田一は、もう少年漫画ではない。
    夢に向かってどう生きるか、という漫画である必要はないと私は思う。
    夢の後をどう生きるか、という漫画であっても、いいのではないか。
    だって、ほとんど全ての人々にとって、「夢の後」の人生の方が、ずっと長いのだから。

    いつの間にか、周囲の期待からも漠然と描いていた夢からも遠く逸れて、私たちはそれでも、あの頃とは別の何かを懸命に守ったり、日々の中から小さな幸福を拾い上げたりしながら、生きているのではなかろうか。
    私には、敏腕探偵にもエリート刑事にもならなかった金田一君が、ブラック企業の中間管理職を務めるクソ面白くもない日常の中で、埋もれたり流されたりしながら、それでも必死にもがいて、懸命に生きようとしているように見えた。
    それは、いつの間にか37歳になった私の姿であり、私たちの姿であるような気がした。

    「もう謎は解きたくない」、あの金田一君がそんなことを言うなんて、余程のことがあったのだろう。
    だが、ある意味では、私たち皆がそうだ。
    二十年の間に、皆、色々あったのだ。
    でも、ともかく、生きている。

    私も、金田一君も、かつて持っていたものの多くを失い、残されているのは、欠片くらいのものかもしれない。
    でも、欠片はまだ、残っている。
    ならば、その欠片が、全てではないか。

    • 271
  9. 評価:3.000 3.0

    その復讐はもはやギャグ 

    いじめが原因で命を落とした兄、それをきっかけに崩壊した家族。
    その復讐を果たすため、優等生だった兄になりすまして高校に入った不良の弟の壮絶なリベンジが…などと書くともっともらしいが、いや、兄が死んだのばれてないんかーい。
    とか、全国模試で上位にいるような優等生の兄が、不良の巣窟みたいな高校に通ってたんかーい。
    とか、もう、設定段階からゆるゆるである。

    復讐の舞台となる高校も、フリーザみたいな不良のボス(こいつがなぜか敬語でしゃべるものだから、余計にフリーザを彷彿とさせる)がいて、やれ親衛隊だの、やれナンバーズだのと、今どきRPGでもやらないんじゃないかという設定具合で、シリアスな復讐物語、という作品の方向性は完全に死んでいる。
    これをギャグでやっているならハイセンスだが、大真面目だから、寒い。

    個人的な加点ポイントは、絵だ。
    賛否あるだろうが、「雑なデッサンをカラーにした」という感じのザラッとした絵柄は、なかなか魅力的に映った。
    逆に言えば、この絵を受けつけない読者にとっては、本作を読む価値は皆無に近いと思う。

    ただ、主人公の復讐劇が、基本的に暴力を行使するものである以上、殴るシーンに全く迫力がないのは、いささか致命的に思われた。

    • 56
  10. 評価:4.000 4.0

    異様な絵

    いわゆる「世にも奇妙な物語」的な作品。

    基本的に救いのないストーリーが特徴だが、何といっても凄いのは、その異様な絵である。
    漫☆画太郎から技術と滑稽さを取り払ったような絵だ。
    こう書くと「それじゃ何も残らないじゃん」と思われるかもしれないが。

    ホラー漫画以外では成立しない類の絵であり、こういう作品を読むと、特にホラー漫画では、上手い・下手以上に、「合う・合わない」が大事であることがよくわかる。

    • 2

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