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作品レビュー
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231 - 240件目/全498件

  1. 評価:4.000 4.0

    死者を抱えて

    子どもの頃、従姉の家に大量にあった、今はなきホラー漫画雑誌で読んだ。
    当時、私は何となく、この漫画が苦手だった。
    この漫画の持つ、何となくもの悲しい空気が、ホラーとは別の意味合いで、怖かったのだと思う。

    大人になって読み返してみて、この漫画で描かれている悲しみというのは、死者を抱えて生きることの悲しみではないか、と思った。
    そして、その悲しみは、この漫画の主人公のように、霊を見ることの出来る人間だけが背負う悲しみではない。
    私たちの誰しもが、いずれは、死者を抱えて生きるしかないからだ。
    そういう意味では、特殊な能力を持つ人間を主人公にしながら、とても普遍的なことを描いた漫画である、と言えるかもしれない。

    幼い私には、いつかは自分も死者を抱えて生きてゆかなくてはならないのだ、という真実は、いささか重すぎたのかもしれない。

    • 6
  2. 評価:4.000 4.0

    その罪が愛ならば

    表題作「月光」と「LOVER SOUL」の二本立て。

    「よろこびのうた」を読んだ後、本作を読んだ。
    「よろこびのうた」では、認知症、老老介護、児童虐待、といった現代の問題が題材だったが、本作では監_禁、殺_人、そして即身仏である。
    やはり、ポップな絵柄からは想像しにくい、ヘビーなモチーフを描いている。

    共通するテーマは「罪」ではないかと思った。

    「よろこびのうた」も「月光」も「LOVER SOUL」も、登場人物たちは皆、罪に手を染める。
    それは、現代の日本の法律の中では確かに「罪」なのだけれど、読む人がその罪を簡単に否定できないような世界を、この作者は漫画の中に構築する。
    その罪が、優しさであるとき。
    その罪が、慈しみであるとき。
    その罪が、使命であるとき。
    そして、その罪が、愛であるとき。
    私たちはそれを、どう感じ、どう受け止めるのか。
    そんなことを、ずしりと重く、それでいてポップに、読者に提示するこの作者が私は好きだし、今後どんな作品を届けてくれるのか、とても楽しみである。

    • 6
  3. 評価:2.000 2.0

    タイトルが…

    ネタバレ レビューを表示する

    内容はもう、「因・果・応・報!起・承・転・結!」と呪文でも唱えればそれで終わり、というような代物で、特筆すべき点もないが、大きな破綻もない。
    ただ、それをダラダラ引っ張らず、2話完結でサクッと読めるのは評価点。

    しかしまあ、タイトルはもう少し何とかならなかったのか。
    確かに本編に大したサプライズはないけれど、それにしたって、タイトルの段階で完全にネタバレしているのもどうかと思う。
    最後まで読んで、「ああ、やっぱりね」と感じるのと、「いや、知ってたし」と思うのでは、やはり、だいぶ違う気がする。

    • 8
  4. 評価:4.000 4.0

    ループする孤独

    コンパクトな尺の中に、ループすることの絶望感や孤独感が、上手く収められていると思った。

    特に孤独感の表現は出色で、「自分だけが今日という日を知ってしまっている」というある種の特権が、実のところひどい重荷である、という描写には説得力があった。

    そして、二つの孤独が出会うことで生まれ、育まれる感情。
    そこから安直なラブストーリーに流れなかった点も買えるし、ラストの切ない切り返しも切れ味が鋭い。

    本当の絆というのは、互いに孤独を知る者の間に生まれるのかもしれない、と、私はそんなことを考えていた。

    • 6
  5. 評価:3.000 3.0

    加害者になる可能性

    「犯罪を論じるときは、自らが被害者になる可能性だけではなく、加害者になる可能性も考えなければならない」と何かの本で読んだ。
    私はその主張に完全に同意したわけではないが、その言葉は、ずっと私の中に引っかかっていた。

    被害者サイドに立って復讐をする人物を描いた漫画は、いくつか読んだことがある。
    しかし、本作のように加害者サイドの家族にスポットを当てた漫画は初めてで、新鮮さは感じた。

    その上で、犯罪者を手軽な正義感で裁こうとする社会の狂気は、加害者以上にたちが悪いのではないか、という現代への警鐘を、さらっと鳴らしている。
    その挑戦的な姿勢も、嫌いではなかった。

    反面、被害者サイドの描写はおろそかで、この漫画のスタンスがフェアだとは言いがたい。
    ただ、この立脚点の斬新さと一種の勇気は、評価したいと思った。

    • 7
  6. 評価:3.000 3.0

    サイコキラーの許容範囲

    学生時代に犯罪心理学をちょっとかじって、古今東西のサイコキラーの書物を読んでいた。
    「美しきサイコキラー」なんて、滅多にいない(テッド・バンディなんかは例外だろうけど)。
    「美しき女性のサイコキラー」となると、私の知る限り、一人もいない。
    別に、現実にいない人物が漫画にいちゃいけないわけではないが、美女のサイコキラーという設定に、私は冷めてしまった。
    ファンタジーではなく、あくまで「現実」を舞台に展開する漫画には、こういう逸脱をしてほしくない。
    美女のサイコキラーなんかよりも、コナン君の「怪盗キッド」の方が、まだ現実として許容できる。

    • 7
  7. 評価:4.000 4.0

    色々なブルー

    それぞれの短編で舞台は全く違うが、どれも「ブルー」なのだろうと思う。

    ブルーというのは不思議な色で、空と海の色、爽やかで雄大で、若さを表したりもするけれど、憂鬱な気分の象徴だったりもする。
    晴れ晴れとしたブルー、切ないブルー、淡くて微妙なブルー、そんな様々なブルーを、どれも心温まるタッチで描いた作品集。

    私は、表題作の「ブルー・サムシング」が一番好きだった。

    • 7
  8. 評価:4.000 4.0

    B級の王道

    この人の漫画は、「キング・オブ・B級」という感じで、何とも独特の楽しさがある。

    こういう言い方はとても失礼だけれど、本格のホラーも一級品のアクションも切れ味のあるコメディも描けなくて、それでも漫画が大好きで、必死で生きる道を探して辿り着いたような、素晴らしいB級であると思う。

    映画でも漫画でも、作品に対する愛情を感じるB級は、どれほど血が飛び散るホラーであっても、どこか、温かい。

    • 6
  9. 評価:5.000 5.0

    理想的な少年漫画

    「胸が熱くなる」とは、こういう漫画のためにある言葉ではないか。
    たったひとつ残念なのは、少年時代に読まなかったことだ。
    それでも、熱くなれる。
    「HUNTER×HUNTER」と双璧をなす、理想的な少年漫画だと思う。

    • 13
  10. 評価:3.000 3.0

    残念な着地点

    ネタバレ レビューを表示する

    都市伝説を調査する部署が警察にある、しかも主人公は不死身の刑事、という無茶な設定だが、何だかんだで結構読んでしまった。

    話の基本線は、「都市伝説の正体が実は人間」というもので、この着想自体は面白いというか、個人的に好みで、ワクワクした。
    ときには「現実的な文脈で説明がついたけれど、ひょっとしたら…」とオカルトを匂わせるような結末もあり、私はこのパターンが盲目的に好きなので、それもよかった。

    しかしまあ、肝心の「正体」の部分があまりパリッとせず、感嘆するような発想や意外な広がりや掘り下げには欠け、無理矢理な印象もちょくちょく受ける。
    スタート地点はよいものの、着地点はイマイチ、という感が否めなかった。

    • 6
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