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作品レビュー
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221 - 230件目/全498件

  1. 評価:4.000 4.0

    京都へのこだわり

    骨董品店のオーナーの孫と、ひょんなことからその骨董品店でバイトをすることになった女子高生が、様々な依頼を解決していく話。
    原作の小説は未読。

    あらすじだけ紹介するとミステリっぽいが、正直、ミステリ色は薄く、そこはちょっと拍子抜けした。
    硬派な(?)私には、主人公二人のラブコメ的文脈も正直、邪魔臭く、「いや、そういうのいいから」と思った。
    ただまあ、これも軽度なものである。

    そういうわけで、ミステリとしてもラブコメとしても何だか薄い。
    重厚な人間ドラマ、ということもない。
    じゃあ何の漫画なのか、ということになるが、これは、京都の漫画だと思う。

    学生の頃、私は四年、京都に住んでいた。
    就職して離れたが、今でもときどき、好きで京都を訪れる。
    だから、半端な知識で京都を利用したくらいの作品は偽物と見破れる自信があるが、本作は、違った。
    漫画の中でこれほどきちんと京都を描いた作品を、私は他に知らない。
    まあ、原作の利なのだろうが、それを画として表現するのには、おそらくかなりのリサーチがあったことが想像される。

    作品トータルとして見れば、決して好みではなかったが、京都という町を漫画作品の中でここまでしっかり描写し得たこと、その一点は、素晴らしい。

    • 6
  2. 評価:4.000 4.0

    抜群の展開力

    ネタバレ レビューを表示する

    壮絶ないじめを受け、挙句の果てには屋上から落とされた主人公が、落下地点で教師と激突し、その教師と精神が入れ替わる、というところから始まる復讐の物語。
    うんざりするほど量産されてきた典型的な「いじめ→復讐」系の漫画ではあるのだが、烏合の衆とはレベルが違い、これがもう、滅法面白い。
    完全にハマってしまい、最新話まで一気読みした。

    細かい点を見れば、教師の肉体で女子生徒と関係を持ってしまう主人公の行動原理だとか、無能すぎる警察だとか、特に後半では「精神の入れ替わり」を周りの人間があっさり信じてしまうとか、突っ込みどころは豊富にあるのだが、そんなものは些事に過ぎないと断言したくなるほど、本筋がマジで面白すぎる。

    本作の突出した魅力は、その「展開力」だと思う。
    緻密な構成力、というのではなく、どちらかと言うと荒っぽいのだが、とにかく話を勢いよく転がしていくのが、上手い。
    その展開力、ストーリーの推進力を支えているのは、キャラクターのドラスティックな変貌ぶりで、メインの登場人物の多くが、作品開始時とはまるで違う印象になる。
    半端な変化ではなく、熱血漢の教師が極悪人のサイコ野郎になり、いじめに加担していたクズ女がヒロインになり、役立たずの端役が女神になる、という具合である。
    しかも、それらに決定的な違和感がない。

    いやー、久しぶりに漫画で少年時代のワクワクを思い出した。
    これほどまでに手垢にまみれたジャンルで、今更これほど胸が高鳴ろうとは、驚きであると言う他にない。
    ありがとうございました。

    • 6
  3. 評価:5.000 5.0

    芸としての短編

    高校生探偵マーニーが、「コナン君」とか「金田一少年」みたいな大袈裟な事件ではなく、もっと小規模な日常の事件を解決してゆく連作短編。

    いやーもう滅法面白かった。
    「フランケン・ふらん」にしても、一話完結の短編ということに関して言えば、この人はもう達人の域なんじゃないかと思う。

    まず、作品の雰囲気がいい。
    この作者の漫画は何ともセンスが欧米的で、日本の漫画とはちょっと違う文脈、古きよきハリウッド映画のそれに近い文脈で作品世界を作っているようなところがあり、独特の味わいがある。
    こういう漫画を描く人って、なかなかいない気がする。

    そして、何が凄いって、その尺の短さである。
    正直、最初は、短い一話の中で性急に話が進みすぎる気もしたが、そのリズムに慣れてくると、非常に心地よいものに感じた。

    この制約のなかできっちり起承転結を編み上げる技術というのは、ひとつの芸と言って差し支えないかと思う。

    削ぎ落とせるものは全て削ぎ落とし、それでいて、本質は確かにそこにあり、可笑しさや哀愁が薫っている。
    そんなのもう、ほとんど短歌とか俳句の世界であって、そういう意味では、欧米的なセンスによって描かれながら、何とも日本的な芸でもって成立しているような、奇異なバランスの光る作品。

    素晴らしい。
    本物の芸に触れるというのは、とてもいいものだ。

    • 5
  4. 評価:3.000 3.0

    爬虫類の必然性

    ある日突然、飼っているヒョウモントカゲモドキが半擬人化した男の話。

    はっきり言って面白かった。
    ぐいぐい読まされたし、ラストはちょっと感動すらしてしまった。
    でも、ふと我に返って、思った。
    これって、爬虫類である必要、あったんだろうか、と。

    500近いレビューを書いてきて初めてこのことに触れるが、私は爬虫類を2匹飼っている。
    そして、彼らを溺愛している。
    爬虫類飼育者の読者の立場からものを言うと、本作における爬虫類に対する考察や洞察というのは、はっきり言って全然物足りない、というか、ないに等しい。
    かといって、爬虫類をまるで知らない人にとっては、わかりにくい、という感想になるだろう。
    そうすると結局、どっちつかずの中途半端なところに落ち着いてしまっている、という印象を持った。

    また、ヒョウモントカゲモドキやニシアフリカトカゲモドキやニホンヤモリといった、それぞれの爬虫類の特徴が、キャラクターメイキングにはそれほど生かされていないことも気になった。
    それゆえ、先に述べた「爬虫類である必要あるか?」という感想になる。
    別にこれが、犬や猫、ウサギやハムスター、あるいは昆虫であっても、ほとんど変わらない作品になったのではないか、という気がしてしまう。

    爬虫類という、ある程度マニアックな(時代的に、これからはそうでもなくなっていく気はするのだが)生物を扱いながら、作品自体はそれほどマニアックな方向に振り切れていない、という思い切りの悪さみたいなものは、終始、違和感として付きまとった。
    他作品と比較するのはフェアではないかもしれないが、私に多大な影響を与えた「秘密のレプタイルズ」と比べると、爬虫類に対する造詣の深さも、偏執的と言っていいほどの愛着も、まるで勝負にならない。

    爬虫類に対して愛情のない作者ではないと思う。
    しかし、作品からその発露をあまり感じられなかったのは、残念と言う他にない。

    この漫画を読み終えた後で、私は飼っている爬虫類に向かって「君たちもそう思うかい?」と尋ねてみたが、彼らは私のことをちらりと見ることさえしなかった。
    何しろ、爬虫類は、なつかないので。

    • 7
  5. 評価:4.000 4.0

    尖った細部

    引っ越した家に座敷わらしが三人(?)住んでいて、それと同居することになったミステリ作家の話。

    話としては、倫理観を微塵も持たない残虐な座敷わらしたちとのドタバタコメディ、という感じで、それ自体もなかなか面白かったのだが、本作の尖ったところは、むしろ細部にあると思う。

    まず、タイトルである。
    B級ホラー映画(というかB級以下なのだが)に通じた読者ならピントときたかと思うが、「アタック・オブ・ザ・キラー・トマト」や「アタック・オブ・ザ・キラー・ドーナツ」あたりを意識したものと思われる。
    しかしまあ、ザシキチルドレンときたか。
    このセンス。

    他にも、作中、主人公がやっているソシャゲのガチャのレアキャラが「悪魔のいけにえ」のレザーフェイスだったり、第一話の冒頭で出てくる引越社の名前が「人間椅子引越社」だったりと、作者は完全に「その筋」の人と思われる。

    いずれも、「そんなの普通、読者に伝わらないだろ」というネタを恐れることなくねじ込む、その心意気やよし。
    ただ、個人的には、もっと「そっち系」で突っ走ってほしかった気もする。

    • 6
  6. 評価:2.000 2.0

    悪女の違和感

    従妹にたちの悪い女を持ってしまった主人公の話。
    たちの悪い、というのは、主人公の恋人を奪い、悪びれることもなくその男といる場に主人公を呼ぶような女である。
    そして、主人公についてきた男友達に露骨に色目を使うような女である。
    おいおい。

    いわゆる「悪女」モノだが、何やらしっくりこなかった。
    悪女の定義みたいなものは人それぞれあるにせよ、その条件というのは、可愛くて、強かで、賢くて、怖い、そして、「可愛い」以外の要素を外には見せない、ということではなかろうか。

    その点、この漫画の従妹は、まずもって頭が悪すぎる。
    馬鹿な女のフリが出来るのが悪女なのであって、本当の馬鹿では悪女の魅力にも迫力にも欠ける。
    怖さはまあ、ないこともないが、それはチャーミングな笑みを浮かべて平気で背後から刺すような怖さではなく、デーモン閣下みたいなのが「グハハハハハ」と笑うような類の怖さなのである。
    読んだ人には、何となく伝わるんじゃないかと思う。
    このあたりはまあ、正直、漫画としての表現の稚拙さもある。

    また、主人公のキャラクター設定も甚だ疑問で、お人好しにも限度があるだろう。
    ここまで間抜けだと、はっきり言って同情の余地がない。
    ときどき、詐欺被害に遭った人に対して「騙される方も悪い」という残酷な攻撃がなされるが、私は主人公に対して、それと似たような感情しか抱けなかった。

    主人公を応援できない、かといって悪女の側にも魅力はない。
    それだともう、作品についてゆくことは難しい。

    • 8
  7. 評価:2.000 2.0

    何だそのピュアさは

    ネタバレ レビューを表示する

    家族に取り入り、家族を乗っ取ろうとする男の話。
    とだけ書くと、現実にありそうだが、実際には猛烈な嘘臭さが漂う。

    例えば悪名高い北九州の事件なんかは、ある種の家族乗っ取り事件だが、当然、本来の目的は、金だ。
    そこに、サディズムとか過剰なコントロールへの欲求とか、異常な要素は絡むとしても、極めて現実的な目的がある。
    また、仮にだが、家族を崩壊させることが目的だ、というのも、現実にそんな事件があるかは別として、まだギリギリ理解できる。

    しかし、本作の主人公(?)は、全く違う。
    自身は恵まれない家庭に育ち、幸せな家庭を築くために、他の家族を乗っ取ろう、というのである。

    そんなタコな。

    何だ、そのピュアさは。
    それだけの目的なら、普通に自分の家族を一から作った方が早いだろ。
    他の家族を乗っ取るために、まずターゲットを探し、その隣人になり(そのために家族向けのアパートの一室を借り)、身分を偽り、家族の問題や秘密を把握し、周辺でトラブルを起こし(あるいは助長し)、次にそれを解決し信頼を得て…とかもう、気が遠くなる。
    そのコストとバイタリティーを、婚活に使えよ婚活に。

    まあ、色々書いたが、仮に非現実的な人物像であっても、漫画においては、強引に面白くすることは可能である。
    それがフィクションの強みだ。
    だが本作は、悲しいほどに盛り上がらない。
    それはやはり、漫画としての表現の拙さが最大の理由という他にない。

    • 8
  8. 評価:3.000 3.0

    シリアルキラーの都合

    社会的に裁かれない悪人に、残忍な方法で私刑を加えるサイコ警察官を主人公にしたサスペンス。

    グロテスクな表現が多いが、作画は綺麗で、安定感がある。

    ただ、悪人を始末するサイコキラーという設定は、どうにも都合がよすぎる気がして、イマイチ入り込めなかった。

    あとは、スピンオフと知らずに、元の作品を読む前に読んでしまったので、主人公のキャラクターが余計にわかりにくかったことはあるかもしれない。

    • 7
  9. 評価:5.000 5.0

    異形の傑作

    作品を支えるバックグラウンドの知識量、情報量が圧倒的である。
    考古学、民俗学、宗教学、あと何なのか知らないが、漫画としてはほとんど常軌を逸したレベルだと思う。

    正直、あまりに情報量が多すぎるゆえ、どうしても「文字」に頼った説明が過多になっている感はあり、「漫画」としてはどうなんだ、と感じるところもあった。
    そういう点で言えば、例えば「ギャラリーフェイク」という漫画なんかは、確かな含蓄がありながら、マニアックに走りすぎないバランス感覚があった。
    本作は、違う。
    ひたすらマニアックに、振り切っている。
    しかし、ここまで徹底されると、一種の敬意を込めて、「あり」と認めるしかないとも思った。

    絵の表現は、決してわかりやすい上手さではないが、有無を言わさぬ妙な迫力と説得力があり、作品のトーンには、非常によくマッチしていると思う。

    ずば抜けた含蓄に裏打ちされて、もはや漫画ではない別の何かであるかのような妖気の漂う、異形の傑作。

    • 5
  10. 評価:5.000 5.0

    マサルの純真、ジャガーの悪意

    「マサルさん」と「ジャガー」の違いは、と考えると、それは「悪意」の所在なのではないかと思う。

    花中島マサルは、いわば「天然」系の主人公だった。
    というか、「マサルさん」の登場人物は、誰も彼も天然みたいなものだった。
    あれは、誰にも悪意のない、誰も傷つかない、実に優しいギャグ漫画だった。
    そういう意味でも、他人を貶して笑いに変えることがまかり通るこの世の中で、「マサルさん」は偉大な作品だったと思う。

    しかし、ジャガーさんは全く違う。
    彼は、悪意に満ちている。
    ジャガーさんどころか、ハマーにも、ロボットのハミィにすら、悪意がある。
    「ジャガー」は、「マサルさん」に比べて、かなりの毒を含む漫画であると思う。

    しかし、その悪意や毒を、読者に全く「毒」とは感じさせない。
    ジャガーさんがどれほど悪意に満ちた悪行をはたらこうとも、あくまでそれは、漫画の中では、優しく、マニアックでありながら妙にポップで、爽やかですらあるギャグへと昇華されている。
    このあたりが、うすた京介の稀有な才能なのではないかと思う。

    • 5
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