4.0
流氷の話
「あの事件」をモチーフにした第一話を読んだときは、印象は悪かった。
少年の実像に迫るようなリアリティーを感じなかったし、異常な事件を扱ってセンセーショナルな作品にするぜ、というあざとさすら覚えて、気に入らなかった。
しかし、第四話の「流氷」の話まで読んで、感想が変わった。
「子どもたちの犯罪」をテーマにしたこの漫画に流れている一貫した悲しみみたいなものに触れた気がした。
それは、本当は別の未来があり得たかもしれないのに、様々な不運や愚かさから、自らその未来を手放してしまった子どもたちを思っての、悲しみではないかと感じた。
作品は、そんな子どもたちを擁護するでも非難するでもなく、ただ、見つめている。
そのスタンスは、嫌いではなかった。
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9
罪の花束