5.0
恩讐の彼方に
人間とは、かくも弱いもの?ヒロインリーザンは、両親の命と引き換えにヒーローエゼカイルの命を奪わんとする陰謀に手を貸し、無敗の英雄エゼカイルは視力を失ったことで酒と薬に溺れ、引きこもりの生活を送る日々…。そこには、正義も、理性も、常識さえも存在しません。
それでも、リーザンは償いのため、「ローズ」としてエゼカイルの側にいることを選び、エゼカイルは復讐のため、自分を陥れた「侍女」を探し出すことに全てをかけ始めます。ある意味、二人とも新たな一歩を踏み出した訳ですが、そのなんと皮肉なことか…。エゼカイルの視力が失われているからこそ成り立つこの関係は、砂上の楼閣よりも危ういものとしか感じられません。
この二人、どうすることが正解か…倫理的には、リーザンがいち早く自分の罪を告白して…なのでしょうが、それができる勇気があったなら、そもそも「ローズ」にはなっていないはず。ク◯兄アケナウスの末路なんざ興味はないし、エゼカイルの視力は、おそらく元に戻るのでしょう。そのとき「真実」を知ったエゼカイルは、どんな選択をするのか…今後の展開に興味は尽きません。
事情はどうあれ、罪は罪。「リバース」史上最高に拗れているこの二人ですが、それでも恩讐の彼方でリーザンとエゼカイルが見る景色は、幸せなものであってほしいと願う自分、脳内お花畑なのでしょうか。
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盲獣の終わらない夜