鬼の花嫁:梅原裕一郎インタビュー 玲夜の器の大きな優しさを表現 甘さとクールさを両立

配信日:2026/07/04 12:31

アニメ「鬼の花嫁」に出演する梅原裕一郎さん
アニメ「鬼の花嫁」に出演する梅原裕一郎さん

 小説やマンガが人気の「鬼の花嫁」のテレビアニメが、7月4日からTOKYO MX、BS11ほかで放送される。2023年1月に「コミックシーモアみんなが選ぶ!!電子コミック大賞2023」で大賞に選ばれ、2022、23年の「コミックシーモア年間ランキング」の少女マンガ編で2年連続1位に輝いた人気作。あやかしの頂点に立つ鬼の一族の次期当主・鬼龍院玲夜を演じるのが人気声優の梅原裕一郎さんだ。“魅惑の低音ボイス”とも呼ばれる梅原さんは、原作でも人気の玲夜をいかに演じたのか。梅原さんに聞いた。

 ◇不器用なところもある玲夜

 「鬼の花嫁」は、人間とあやかしが共存する世界で、不遇な人生を歩む平凡な高校生・東雲柚子が、あやかしの頂点に立つ鬼の鬼龍院玲夜と出会い、花嫁に見出される……という“和風あやかしシンデレラストーリー”。シリーズ累計発行部数は750万部以上。アニメは大宮一仁さんが監督を務め、Colored Pencil Animation Japanが制作する。早見沙織さんが柚子を演じる。

 梅原さんが演じる玲夜は、あやかしの頂点に立つ鬼の一族の次期当主。崇高なカリスマ性を持つ。

 「あやかしの中でも、鬼の一族は一番能力が高いという背景があり、次期当主でもあるので、絶対的な力を持っています。オーラみたいなものを出せたらとまず意識していました。柚子にとっては、安心できる場所であろうとしているところもあり、懐の深さも意識しています。柚子に対するときは、ほかのキャラクターに対するときと明らかに表情が違います。その優しさをどこまで出すのかを収録しながら微調整していました。テストで少し足りなくて『もう少し優しさを』となることもありましたし、甘いセリフもあるのですが『クールさを残してほしい』とも言われていたので、優男的な優しさではなく、器の大きな優しさを大切にしようとしました」

 キャラクターの説明には「いつも無表情、感情に乏しい」とも紹介されている。クールな印象も受けるが、それだけではない魅力もある。

 「当主としての姿であったり、ほかのあやかしや部下に対するときは、一族を背負っていますし、表情も少なくなります。ただ、それは対外的な印象で、柚子に対してはよく笑います。特に序盤は、運命的な出会いを果たし、玲夜自身は人を好きになることに慣れていないから、戸惑ってもいます。モノローグで少し動揺していたり、細かい感情の機微はあるにはあるんです。ただ、基本的なラインとしては、そんなに表には出しません。拾えるところは拾っていこうとしています」

 演じる前と後では玲夜の印象が変わったところもあった。

 「圧倒的な強い部分が第一印象としてありましたが、演じていると不器用なところもあるように感じていました。恋愛に関しては真っすぐで、言ってしまえば愛情表現が重めなんです。真面目さもあるとは思いますけど、第三者目線では、もうちょっと表現の仕方があるんじゃないかなと(笑)。彼としては真っすぐに柚子に伝えていますし、全く嘘はない。ある種の素直さを感じます」

 玲夜は、柚子に対して“甘く”接することもある。“甘さ”もポイントになる。

 「特に序盤は、甘さをどこまで出したらいいのかが難しいところもありました。甘いとはいえ、やはり玲夜ではあるので。ヘラヘラしてはいけない。軸はどっしりとしつつも、柚子に対して甘くする。その切り替えをどの程度やるかが最初は難しかったです。音響監督からその都度、『このセリフはもっと甘く』『ここは少しフラットにしよう』と細かくディレクションいただけたので、挑戦できました。各話数に一度は柚子との甘いセリフがあるので、そこは基本的には甘くしていました」

 ◇柚子の両親が気になって…

 柚子は成長するキャラクターだ。梅原さんは柚子役の早見さんと共演する中で、柚子の成長を直に感じていた。

 「柚子は玲夜という絶対的に安心できる場所を獲得したことによって、どんどん自信をつけていきます。元々、強い人間ではあると思うのですが、蓋をしていたものを外に出せるようになっていく。お話が進むにつれ、自己を肯定できるようになっていっていると感じるところもあります。この作品で一番成長するのは柚子で、そこが見どころの一つではあります。早見さんがその変化を細かく演じられています。例えば、序盤は、かわいそうな状況に置かれていますが、柚子自身に被害者意識みたいなものはない。そこが強さでもありますし、早見さんのお声とお芝居の芯の強さがなせることだと感じていました。玲夜としては、自分は鬼、柚子は人間ということもあり、序盤はコントロールしようとする意識も若干ありますが、ただ単純に守ってあげたい、柚子のことが好きだという恋愛感情になっていきます。どんどん対等になって横に並んでいるような関係性に変わっていきます」

 柚子と玲夜以外のキャラクターも魅力的だ。梅原さんは気になるキャラクターがいるという。

 「柚子と玲夜のお話が主軸にはなりますが、柚子の妹の花梨も重要です。そして、花梨とご両親ですね。この3人は、なかなかに生々しい人間の感情がありまして、花梨が花嫁に選ばれた後のご両親の変わりようを見ていると、人間はこういうところあるんだよなと感じさせるシーンがリアルで面白かったですね。ご両親の役者の方のお芝居も相まって。僕は個人的には嫌いにはなれないんです(笑)。もし自分が同じ立場になったら、こうならないとは言い切れない。人間の弱さをさらけ出してくれるキャラクターなんです」

 収録でも柚子の両親の演技がどうしても気になってしまったようだ。

 「ご両親は本当にダメな人間ですから。それが素晴らしく演じられていて。腹が立つ人物ではありますが、人間らしくて愛おしさも感じるんですよね。僕自身は演じたことがないタイプのキャラクターですし、いつかできたらいいなと思います。」

 「鬼の花嫁」はさまざまな人間模様も魅力になる。

 「主軸として玲夜と柚子の恋愛を楽しめる作品ですが、“圧倒的に自分の味方になってくれる人がいたらいいな”という目線でも見られると思います。家族のお話だったり、少しドロドロした人間模様もあって、さまざまな楽しみ方ができます。つらいと思う描写もありますが、最後はスッキリした気持ちになれるはずです」

 ◇発声を見直したきっかけ

 梅原さんと言えば低音ボイスが魅力だ。玲夜を演じる中で「声が低いけど、線の細さは維持していました。どっしりとしているけど太くはならないようにしようとしています。僕自身、声は低いですが、太くはないですし」と意識していた。

 梅原さんが“魅惑の低音ボイス”をどのように維持しているかも気になるところだ。

 「僕は喉が強くはない方なんです。加湿も意識しているのですが、最近、発声を見直す機会があったんです。自分でいろいろ調べて、発声練習をする中で、前よりは喉が壊れにくくなりました。今後、さらに活動していく中でやっぱり日々鍛錬しないといけないと感じています」

 発声を見直そうとしたのには、きっかけがあった。

 「ラジオで1年間かけて小説を朗読するお仕事をいただいたのですが、1日の収録で4、5時間ずっとしゃべることになり、このままだと喉を壊してしまうと思い、負担をかけないように発声を見直したのがきっかけです。変なところで力んでしまうと、それが喉を直撃するのですが、分散できるような発声を目指しました。最初は喉がつらかったのですが、トレーニングを重ねるほど、ダメージが少なくなってきました。やってよかったなと思っています。最初はあんまり信じていなかったんです(笑)。でも、こんなに違うんだと実感できるレベルで変わりました。もっと早くやっておけばよかったと今さら思っています」

 「鬼の花嫁」で描かれる玲夜と柚子のドラマチックな和風ファンタジーの世界観。その中心でどっしりと作品を支える梅原さんの“魅惑の低音ボイス”は、玲夜というキャラクターに圧倒的なカリスマ性と、奥深い優しさを与えている。日々鍛錬を重ねる梅原さんの“魅惑の低音ボイス”をぜひ五感を通して堪能してほしい。(阿仁間満/MANTANWEB)

提供元:MANTANWEB

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