解説:10周年「コンレボ」は怪作だった 昭和を総括した超人幻想
配信日:2026/06/21 10:41
テレビアニメ「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~(コンレボ)」の10周年を記念したイベント「『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』神化101年だョ!全員集合」が6月19日、新宿ロフトプラスワン(東京都新宿区)で開催された。商業的に大成功したわけでもない作品ということもあり、コアなファンはいるかもしれないが、どれだけ集まるのか……などとも考えていたが、杞憂に終わった。チケットは完売し、会場には熱いファンがあふれかえっていた。「コンレボ」は10年以上たった今も色あせない魅力に満ちた怪作だった。
◇“お祭りアニメ”ではない
「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~」は、これまで数々のフィクションで描かれてきた、数々の超人たちがもし全て同時に実在していたとしたら……というテーマのアニメ。“神化”という架空の年代、高度成長によって発展する戦後20余年の“もう一つの日本”が舞台となった。水島精二さんが監督を務め、會川昇さんがシリーズ構成・脚本を担当。ボンズが制作するなど豪華スタッフが集結したことも話題になった。テレビアニメ第1期が2015年10~12月、第2期が2016年4~6月に放送された。
宇宙人やサイボーグ、ロボット、妖怪、魔法使いなど多彩な超人たちが登場する。昭和の特撮やアニメへのオマージュの要素が強く、懐かしの作品をリスペクトした“お祭りアニメ”のように見えるが、本質はそこにはない。
例えば、アースちゃんは、製造者不明の人間衛星で、危機に陥った人の脳波に反応し、現場に急行し、人々を助ける。見た目は可愛らしいが、強い力を持ち、正義や悪がはっきりしない事件では、アースちゃんが味方をすると“善”であるという認識が世に広まっている。アースちゃんのモデルは一つではないが、會川さんは10周年記念イベントで「マンガの神様の葛藤を描いている」とも明かしていた。
アースちゃんだけではない。ほかの超人も表面をなぞっているだけではなく、作品が誕生した背景、生み出したクリエーターの精神を内包している。既存のキャラクターをそのまま使うと、権利の問題で表現できないことがあるかもしれないが、エッセンスや設定を抽出しつつ、新しいキャラクターとして昇華することで、超人たちがなぜ生まれ、社会からどう扱われているのかを深く掘り下げた。モデルとなった作品では描けなかったタブーや矛盾を限界まで描き切ることにも成功している。
◇複雑な構成と重厚なテーマ
作品の公式サイトで公開されている「神化年表」を見ても分かるように、時系列がシャッフルされているのもポイントだ。その複雑さに初見では戸惑うかもしれないが、バラバラに見えたパズルのピースにはすべて必然性があり、次第に点と点がつながって線になっていく。
イベントで水島監督は「自分たちの昭和を総括しようとした」、會川さんは「当時の新聞記事や映像などを参考にして、真面目に昭和をやろうとした」と振り返っていた。高度経済成長や政治、公害、学生運動、ベトナム戦争といった現実の社会問題と、多様なルーツを持つ架空のキャラクターが巧みにリンクし、多層的な物語が展開される。単に昭和を描くのではなく、昭和が生み出した特撮やマンガ、アニメといったフィクションを通して、時代を解剖しようとした作品だった。
時系列が錯綜する複雑な構成と重厚なテーマこそが大きな魅力であり、見るたびに新しい発見がある怪作だ。それこそが、放送開始から10年以上が経過した今もなお、コアなファンを魅了し続けている理由なのだろう。
現在、各配信サービスで視聴できるので、当時リアルタイムで追いかけていた人はもちろん、まだ見たことがないという人も、10周年の節目を迎えた今こそ、この濃密な“超人幻想”の世界に飛び込んでみてほしい。(阿仁間満/MANTANWEB)
提供元:MANTANWEB



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