石田彰:「鬼滅の刃」 猗窩座への思い 演じられて「ありがたい」
配信日:2025/09/23 21:10

吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんの人気マンガが原作のアニメ「鬼滅の刃」の新作劇場版アニメ「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」が7月18日に公開された。「無限城編」は、竈門炭治郎ら鬼殺隊と、鬼舞辻無惨率いる鬼たちとの決戦が描かれる。第一章では、炭治郎と水柱の冨岡義勇が上弦の参の猗窩座と激闘を繰り広げ、猗窩座の過去も描かれる。猗窩座を演じる声優の石田彰さんに収録の裏側、猗窩座の魅力を聞いた。
◇若い狛治を演じた「収録現場は、みんなが自分のやるべきことに向き合っていた」
「鬼滅の刃」は、家族を鬼に殺された竈門炭治郎が、鬼に変異した妹・禰豆子を人間に戻すために鬼殺隊へ入隊する……というストーリー。原作は、2016~20年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された。コミックスの全世界累計発行部数は2億2000万部以上。テレビアニメ「竈門炭治郎 立志編」が2019年4~9月に放送され、2020年10月公開の劇場版「無限列車編」は国内来場者数が2897万人を突破し、国内歴代興行収入1位となる約404億円を記録した。「遊郭編」が2021年12月~2022年2月、「刀鍛冶の里編」が2023年4~6月、「柱稽古編」が2024年5~6月に放送された。「無限城編」は三部作。
第一章では、炭治郎と義勇との戦いの中で、猗窩座が自身の過去を徐々に思い出していく。猗窩座が人間だった頃の名前は、狛治(はくじ)で、病に伏せる父親に薬を買うためにすりを繰り返していたが、それを苦にした父は自ら死を選んでしまう。その後、慶蔵と恋雪の親子に出会い、救われていく。
石田さんは、現在の猗窩座と11歳の狛治、18歳の狛治を演じた。演じる中で、挑戦や新たな発見になったことはあったのか聞いてみると、「過去にさかのぼって、狛治の11歳当時から18歳くらいまでを演じるということで少し心配していましたが、完成したものを見て『あ、心配していたよりも聞いていられる』と思って」と語る。
「お話自体にちゃんと連続性があり、破綻のない流れに感じられたので、収録しているうちに心配も薄れていき、いつの間にか忘れられて。そういう意味では、苦労することなくやれるお話でしたね」
収録現場も良い環境だったという。終盤の狛治と恋雪のシーンの収録について「そのシーンに限った話ではないんですけれど、収録中はみんな真剣なので、ピリッとした空気感がスタジオの中には漂っていた」と振り返る。
「当該シーンのメンバーしかいないという少人数の構成の収録だったので、作品の収録を行う上では、僕としてはすごく真っ当なというか。誰も他人事として見ていない、みんなが自分のやるべきことをやるのにきちっと向き合っているという空間で、とても収録状態として、よかったんじゃないんでしょうか」
◇猗窩座の人気の理由 “気付けた”からこそ
猗窩座、狛治を演じた石田さんは、改めてキャラクターにどのような思いを抱いたのだろうか。
「猗窩座は環境のせいで、世間を敵視するような人生を歩むところからスタートしましたが、そんな生き方だけではないんだということに気がつけたことが、彼の人生の一番大きな収穫だったはずです。気持ちの中でそういう実りができて、もうすぐ収穫だという手前で泥棒に盗まれてしまうようなことになり、怒り爆発で元の木阿弥になってしまう。そこから鬼の道に落ちていく。人間の時の『強くならなければ』というのは親父の命を守るためで、それが後年、恋雪を守るため、自分を救い上げてくれた素流道場を継ぐためにも、自分は強くならなきゃいけないんだとなっても、発想の基本は『誰かを守るために強くなる』という構図だった」と語る。
「彼が見失ったもの、一番大事なもの、一旦記憶をなくして失ってしまったものを、自分の気づきでもう一度手にすることができて、見ている人が『よかったね』と思える。そういうところ全体を含めて猗窩座というキャラクターに対して、『ああ、こいつは推せる』と思えるのではないかと思います」
最後に、猗窩座を演じたからこそ得られたものについて聞いた。
「この作品に参加する前から、『猗窩座って人気あるんですよ』と言われていて、『おいおい、そんなプレッシャーをかけるなよ』と思いながら臨んだんです。でも、なんで人気があるんだろう?というのが、今回のストーリーの展開で、少し分かったような気にもなりました。声優として、キャラクターに声を当てるという仕事で、キャラごとに愛してくださっている方がいるのは確実なのですが、その度合いがこれだけ大きいものに出会える、そういう機会をもらえるのはそんなに多くはないので。そこをやらせていただけたのは、ありがたいことだったなと今思っています」
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