独占有名人インタビュー:ディーン・フジオカ「僕の半生を作った冒険漫画」
更新日:2017/01/27 10:00
NHKの朝ドラ出演で一躍人気者になったディーン・フジオカさん。
俳優としてだけでなく、ミュージシャン、モデルなど多彩な才能を持つ彼のルーツには、どうやら“あの漫画”が関係しているみたいです!
ディーン・フジオカ
壮大な冒険に魅せられて海外へ
――グローバルな視野を持つディーンさんは、日本の漫画についてどう思いますか?
日本が誇る強力なコンテンツだと思います。海外に住んでいた時、日本の人気作を読みたくてもなかなか流通していなかったので、見付けるのに苦労しました。でも最近は電子書籍で手軽に読めるようになって、本当に便利ですね。海外にも高いクオリティーのアニメーションなどを作る人たちはいるけど、とりわけ日本の漫画には圧倒的なものを感じます。今もそうだけど、さらに世界に広まっていってほしいですね。
――色々な漫画を読まれている中で、特に好きな作品は何ですか?
「ジョジョの奇妙な冒険 第3部~PART3 スターダストクルセイダース~」 (荒木飛呂彦/集英社) です。ジョジョを初めて読んだのは第2部の途中からで、当初は手探り状態で読んでいました。次の第3部は最初から追って読めたのでさらにハマっていき、単行本を第1部から全部揃えるくらい好きになりました。
ディーン・フジオカ
――ジョジョの第3部はファンの間でも根強い人気がありますよね。特にお気に入りのキャラクターはいますか?
やっぱり第3部の主人公・空条承太郎(くうじょう じょうたろう)がカッコイイです。硬派、男の中の男という感じで憧れますね。あと、敵キャラも一人ひとり際立っているので読んでいてワクワクしました。「エンプレス(スタンド)」とか、エンヤ婆も強烈だったし、その息子J・ガイルのスタンド「吊られた男(ハングドマン)」も好きだったなあ。
――ズバリ、ディーンさんが思うジョジョの魅力とは?
3部の特徴の一つとして、承太郎たちがエジプトにいるディオを倒すため日本から世界各地を旅するという大きな器がありますよね。彼らの冒険を通して、行く先々の国の文化や生活を知ることができ、壮大さや生命力を感じさせてくれる作品だと思いました。
僕が日本を出たのがもう10年以上前になるんですけど、今振り返るとジョジョ3部に影響された部分もあるかなって。日本を出た大きな理由の一つとして、花粉症を避けるため、というのがありました。でもそれとは別に、日本の外の国々に「なんだか面白そうだな」という冒険心を掻き立てられました。ジョジョ3部のおかげで、僕の半生が出来上がったと言っても良いかもしれません。
――ディーンさんが旅に出たキッカケの一つに「ジョジョ」があったのは意外でした。
長年人気のジョジョシリーズですが、最近では第4部の実写化も話題になりましたね。もし、第3部が実写化されることがあった場合、演じたいキャラクターはいますか?
第3部の世界観を実写化するとなったら、やはりハリウッドくらいの規模が必要になりそうですよね。となると、リアリティを求めるうえで僕はアジア人なのでピュア・ジャパニーズの花京院典明(かきょういんのりあき)ですかね。もちろん好きなキャラクターだし、是非演じてみたいです。そのほかだと、ほとんど西洋系かアラブ系か動物ですからね。承太郎も日本人とアメリカ人のハーフだし。
――動物は、イギーのことですね(笑)。
イギーも良いキャラクターだったなあ。最初に登場した時はすごくリアルな描写でモロ犬だったんですけど、最後に方になるにつれて、どんどん男前のカッコイイ顔になっていきましたね。
ポジティブなメッセージを発信し続けたい
――ディーンさんと花京院、なかなかハマりそうですね! 実写化といえば、「ダメな私に恋してください」 (中原アヤ/集英社) のTVドラマ版で、ディーンさんが演じた主人公・ミチコの元上司・黒沢歩(くろさわ あゆむ)もハマリ役でしたね。
原作ファンの期待を裏切らないよう、物語はもちろん黒沢主任の持っているイメージを大前提に、実写版ではさらにどう面白く魅力的に見せるか、という点を意識して演じました。
――ドSな黒沢主任にキュンときた女性が多かったようですが、演じてみてご自身と黒沢で共通する部分はありましたか?
“ドS”はキャッチーで使いやすい言葉だから、自分も含め多くの人がそういうラベルを貼るんですけど、ただドSなだけじゃなくて、黒沢が厳しいことを言うのはミチコを真っ当な人間に導くという愛も込められているんだと思います。
その点では、自分もポジティブなメッセージを発信し続ける存在でいたいですね。また、音楽活動は俳優業よりも自分の気持ちをストレートに表現できるものなので、黒沢を演じた経験やそこで得たインスピレーションが、自分が作る曲の一部分に活かされるかもしれないって考えています。
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――2017年冬に放映される実写映画『鋼の錬金術師』で、ロイ・マスタング大佐を演じるそうですが、役作りのための工夫や苦労したことはありますか?
軍人らしい所作ですね。敬礼の仕方から歩き方まで、実際に自衛官の方にも指導していただきました。体型的にも少しビルドアップするためにトレーニングもしました。
ディーン・フジオカ
俳優、ミュージシャンとして…柔軟に変化を
――めちゃコミ10周年にちなんで……ディーンさんとしては“10年”を超えて俳優活動をされてきましたが、振り返ってどんな思いがありますか?
最初に俳優をスタートしたのが香港で、そこから台湾などの中華圏や北米、行ったことのない場所へ行き、その度に色んなものや人との出会いがあって、自分の世界がどんどん広がっていきました。僕はもともと「将来こうなりたい」とか具体的な目標があまりなくて、むしろ「こういう風になっちゃダメ」「これをやったらいけない」という決まりだけ自分の中に持っていました。でも、10年以上一つのことを続けてこられたのは、「今の自分が間違った道にはいない」という証明になるのかなって。
――それでは、この先の道をどう見据えていますか?
別の言い方にすると、まだ10年しか経っていない。俳優業を20年も30年もやっている先輩方はいくらでもいて、そういう蓄積や時間の試練みたいなものには全然到達していないので、今後もどんどんチャレンジしていきます。
ただ、映画やドラマは観てくれる人、音楽は聴いてくれる人、必要とされて成り立つものだから、求めてもらえなくなったら自分で悟って辞めるべきだと思います。一生俳優だけと決めているわけではないし、一生音楽だけでもないと思うので、そこは良い意味で柔軟に変化していきたいですね。
ディーン・フジオカ
俳優業や音楽活動など、型にこだわらず進化し続けたいというディーン・フジオカさん。10年後、20年後、彼の旅はどんな軌跡を描いているのでしょうか。とても楽しみです!
写真:原 恵美子
ヘアメイク:新宮利彦(Surge)
スタイリスト:カワダ イソン(impannatore)
プロフィール
ディーン・フジオカ
2004年に香港でモデルとしてデビュー。以降、台湾を中心に中華圏や北米で俳優として活躍、インドネシアで制作したアルバム『Cycle』は自らが作詞・作曲・プロデュースを務め、2016年に発売された。日本ではNHK連続テレビ小説『あさが来た』(2015年~2016年放送)で一躍脚光を浴びる。その後、数々の映画やテレビドラマ、CMなどに出演。ドラマ『ダメな私に恋してください』(2016年/TBS系)、配信ドラマ『はぴまり〜Happy Marriage!?〜』(2016年/Amazon プライム・ビデオ)、映画『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』(2017年冬公開)など、漫画原作の作品でも引っ張りだこの人気俳優。
◆ディーン・フジオカさん公式サイト
※上記リンクは外部サイトに接続します
https://twitter.com/DEANFUJIOKA
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作者
小山喜崇
昼は編集者、夜はイラストレーターとして働く。好きな漫画は、吉田戦車や和田ラヂヲ、漫☆画太郎などのギャグ作品。記事タグ
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