漫画で理解「発達障害とは?」特徴や症状を学べるエピソードをまとめました
更新日:2016/07/04 10:00
最近よく耳にする「発達障害」という言葉。症状や特徴を誤解している方も多いのです。
発達障害とは“平均的な発達から逸脱している”いわゆる発達に凹凸があることで、脳に大きな障害があるわけではありません。種類として有名なもので、自閉症やアスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)などがあり、同じ障害でも症状の重度はさまざま。
子どもに多く見られますが最近では「大人の発達障害」も話題になっています。
発達障害の子どもを持つ、筆者の知人である教育職の方がおっしゃるには、発達障害児は「天才予備軍」だそうです。社会で生きていくうえでのコミュニケーションが難しいという問題もありますが、特性を生かして各方面で大活躍する方も多く見られます。
発達障害は必ずしもネガティブではありません。正しい理解に役立つおすすめの漫画をご紹介します。
発達障害とは
発達障害は、発達に凹凸があること。
『発達障害とは、共通した特定の障害が脳にあるわけではない。発達が、平均的な軌跡と異なるプロセスを示すことが特徴である。』
※引用:山口真美、発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ、講談社 (ブルーバックス)、2016、30ページ
単純に「劣っている」ということではなく、現段階では発達が平均通りではないがこの先脳の発達によってどうなるか予測がつかない、ということなのです。
発達障害には「広汎性発達障害」に分類される「自閉症」や「アスペルガー症候群」など、加えて「学習障害(LD)」「注意欠陥多動性障害(ADHD)」という種類があり、種類だけではなく重度によっても特徴や症状は大きく変わってきます。
「自閉症」と聞くと「自分の殻に閉じこもってしまう病気」と思い込んでいる方もおられますが、それは誤解です。
子どもの3歳児検診で言葉の発達の遅れが見られる場合は「自閉症の疑い」として市区町村の発達支援を紹介されることがあり、母親がうろたえてしまう…なんてこともあります。しかし、軽度の場合は徐々に言葉の発達も進み、普通の学校生活を送ることができる子もたくさんいるのです。
自閉症でも言葉の遅れがない場合は「アスペルガー症候群」とされ、独自なコミュニケーションや思考を持っていることが特徴です。
アスペルガー症候群の性格は「積極奇異型」「受身型」「孤立型」の3つに分類されていて、その分類によって特徴は大きく異なります。
アスペルガー症候群の共通する特徴としては「相手の心情を読み取る能力が低い」ということ。社交辞令や本音と建前を理解できず社会でのコミュニケーションに苦しむ方が多いようです。
しかし、得意分野に集中しやすく、専門職で活躍されている方も多くいらっしゃいます。あの天才発明家「エジソン」もアスペルガー症候群だったと言われているのです。
『発達障害とは、刻々と変化するのが最大の特徴だ。リハビリによって壊れた脳は再び作り替えられるが、発達初期の脳はより柔軟で多様な変化を見せるので、発達上の障害は、その状態が一貫しないのである』
※引用:山口真美、発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ、講談社 (ブルーバックス)、2016、30ページ
つまり、リハビリによって脳の成長は大きく変化し、苦手を克服することも可能ということなのです。
漫画で学ぶ・知る、発達障害
簡単に発達障害についてご説明してきましたが、いかがでしたか?
文字で読むより漫画の方がより理解が進みます。もっと詳しく知りたい方や、自分の子どもや妻・夫・彼氏・彼女などパートナー、友達や自分自身が「もしかして発達障害?」と気になる方にもぜひ読んでいただきたい漫画をご紹介します。
アスペルガーをテーマにした「ますます毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で」 (沖田×華)
作家さんご本人がアスペルガー症候群・注意欠陥多動性障害(ADHD)・学習障害(LD)を併発して持ち、毎日「やらかし」をしながらの生活をコミカルに描いた異色の漫画です。
発達障害という重いテーマからは考えられないほどの笑いを届けつつ、発達障害の特徴をさまざまなシーンから紹介してくれています。
印象に残る話は「アスペルガー症候群のせいか、料理のレシピの意味が分からない」という話。
確かにアスペルガー症候群の方は言葉の裏や奥の意味を理解しにくいという特徴があります。レシピには細かい解説がないので理解しづらいのかも知れませんね。
彼に手料理をふるまおうとチャレンジした結果大爆発を起こします。主人公のレシピ解釈法からアスペルガー症候群の特徴に納得しつつ…腹筋が痛いくらい笑ったエピソードでした。
他にもアスペルガー症候群やADHDの特徴を分かりやすく漫画で紹介してくれています。
発達障害とは?を超分かりやすく解説「マンガで分かる心療内科」 (ゆうきゆう、ソウ) 34話
うつやパニック障害など心療内科ネタを医師の視点で解説する「マンガで分かる心療内科」 (ゆうきゆう、ソウ/少年画報社) の34話は発達障害について。発達障害におけるコミュニケーション障害を分かりやすく解説してくれています。
例えば、アスペルガー障害を例にあげ、「もうちょっとソフトに対応してくれないか?」という上司の要望に対し「ソフトってどういうことですか?」と返ってくるシーン。とても分かりやすいですね。
そして、アスペルガー障害の“いいところ”として「一つに脇目もふらず集中する」ことで想像もつかなかった成果が出るという特徴もあげています。
この漫画のいいところは「対策」を医師の目線で教えてくれているところ。コミュニケーションに障害がある方との関わり方のヒントをくれます。
発達障害児の“落とし穴”を、実話を元に解説「はざまのコドモ 息子は知的ボーダーで発達障害児」 (沖田×華、君影草)
知的ボーダーという言葉があります。いわゆる、IQなどの数値でグレーゾーンである方のことです。知的障害の症状があり、明らかに日常生活が困難であるにも関わらず、精神科での診断で「問題なし」と出てしまったら、行政のサポートや学校の支援が受けられません。
その「落とし穴」を、先に紹介したアスペルガーで漫画家の沖田×華先生がアシスタントの君さんから聞いた実話を元に描いた漫画が「はざまのコドモ 息子は知的ボーダーで発達障害児」 (沖田×華、君影草/ぶんか社) 。
診断を受けても結果サポートを受けられないがゆえに、大変な困難に遭遇していく母子の姿に多くのことを考えさせられます。行政や学校の在り方についても疑問を持ったお話でした。発達障害のお子様を持つご両親に読んで頂きたい漫画です。
自閉症の息子を持つ母親がテーマ「必ず泣ける読者体験20代のリアル」 (水月ひかる・えび) 5-6話「みんなのうた。」
1歳後半ごろから簡単なコミュニケーションが取れるようになってくるはずが、登場する男の子のつばさくんは抱っこも完全拒否、公園でも一切手をつなぎません。
「どこか普通の子と違う」という漠然とした不安抱えていたところ、3歳児検診で医師から自閉症の可能性を指摘されショックを受けるママ。
ママ友の情報から子育て支援保育園の存在を知り通い始めながら、育て方を学び始めます。自分の子どもとコミュニケーションを取れないつらさを乗り越え、息子のつばさくんが歌う“歌”に寄り添い強く前向きに子育て奮闘する、まっすぐな母親の姿に涙が止まりません。
いくつか紹介してきましたが、いかがでしたか?
発達障害について詳しく知ることができる漫画ばかりです。参考になれば幸いです。
発達障害の検査・支援・治療について
子どもに関しては行政の支援も手厚く、気になることがあったら気軽に相談することができます。お住まいの地域+発達支援でインターネット検索すると行政の発達支援センターが表示されますので、そこからご相談・ご予約をしましょう。
診断の多くはカウンセリングや問診、IQテストなどによる検査・診断になります。
治療については診断後に検討され、臨床心理士によるカウンセリングやトレーニング、行動療法などその方法はさまざまです。
いずれにしても、行政の発達支援・病院とカウンセリングを行いながら進めるものになるので、まずは行政の発達支援への相談からになります。診断方法などについても、「毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で」 (沖田×華/ぶんか社) で詳しく描かれているのでぜひ読んでみてください。
参考図書:山口真美(2016)、発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ、講談社 (ブルーバックス)
「発達障害」は重く受け止められがちですが、個性の一つ。特性・能力の凸凹なのです。
正しい知識を持つことが大切ですね。ご紹介した漫画は、ADHD予備軍の息子を育てる筆者がイチオシのお話ばかりです。よかったら読んでみてくださいね。
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作者
おゆきまる
兵庫県姫路市出身。多動ヤンチャボーイを育てながらウェブマーケッターとして働く兼業主婦、サンデーライター。趣味はスノーボード、温泉。温泉ソムリエ認定資格保有。 好きなマンガは、コウノドリ、宇宙兄弟、NARUTOなど青年・少年漫画。記事タグ
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