井澤詩織インタビュー(前編): 子どもの頃、貴重なお小遣いで漫画を買うために考えた「失敗しない選び方」や声優を目指すきっかけになった漫画とは?
更新日:2018/12/12 10:00
タブレットに700冊以上も漫画をダウンロードしているという、生粋の漫画好き・井澤詩織さん。人生で初めて読んだ漫画から声優という職業に導いてくれた漫画「Wジュリエット」、グサリと心に刺さった厳選のオススメの漫画を紹介してくれました!
初めて読んだ漫画は? 井澤さんの漫画変遷をたどる
――いつ頃から漫画を読むようになりましたか?
初めて漫画を読んだのは小学校4年生の頃です。友達と本屋さんに出かけたときに「ぴくぴく仙太郎」(布浦翼/講談社)という、可愛いウサギが登場する漫画を買いました。そのとき初めて漫画を読んで「なんて面白いコンテンツがあるんだ!」と思ったんです。小さい頃、病弱だったので入院したことがあったんですけど、両親が「暇だろうから」と「ぴくぴく仙太郎」(布浦翼/講談社)の既刊を全部買ってきてくれたのは嬉しかったですね。
井澤詩織
――そこから漫画を読むようになったんですか?
そうですね。その後は「りぼん」(集英社)等の少女漫画にハマりました。小学校5年生になると「週刊少年ジャンプ」(集英社)と出会って少年漫画を読むようになりました。少年漫画の登場人物の中に、美形じゃない人が出てくることに、当時はすごく衝撃を受けたんです。「おじさんが出てくる!」って(笑)。小学生が読むような少女漫画には、あんまりおじさんキャラは登場しないじゃないですか。
――そのとき出会ったおじさんキャラは誰だったんですか?
最初に買った少年漫画が「ONE PIECE」 (尾田栄一郎/集英社) だったので…おじさんではないけど、バギーちゃんですね。当時はあのキャラの存在がすごく衝撃的だったんですよね。
- 少年漫画 ONE PIECE
- 4.4 (6897件)
――確かに、かっこいいというよりかはコミカルなキャラですよね。
それまではずっとキラキラした恋愛のお話を読んでいたので、新たに「冒険」という漫画ジャンルに出会ったときは、すごく驚きました。
井澤詩織
――そこから「週刊少年ジャンプ」(集英社)のような少年漫画にはまっていったんですか?
そうですね。「ONE PIECE」 (尾田栄一郎/集英社) から「HUNTER×HUNTER」 (POT(冨樫義博)1998-2018年) 、「SHAMAN KING」 (武井宏之/講談社) 、「ヒカルの碁」 (ほったゆみ・小畑健/集英社) …といった流れで読んでいたのを覚えています。
- 少年漫画 HUNTER×HUNTER
- 4.4 (2858件)
父と同じハンターになるため、そして父に会うため、ゴンの旅が始まった。同じようにハンターになるた...
――結構いろいろな少年漫画を読んでいますね。
あとは同じ漫画家さんの作品を集めたりしました。漫画単行本のあいだに、今月の新刊を知らせるチラシが挟まってるじゃないですか。その裏側が、現在発売している既刊の一覧になってるんですよね。そこから「ONE PIECE」 (尾田栄一郎/集英社) の作者さんが前に描いた短編集はこれだ!という感じで、同じ漫画家さんの過去作品を探して読んでいました。
――そんな小さな頃から作者買いをしてたんですか?
子どもの頃って、お小遣いが限られているから、漫画を買おうとしたときにあまり失敗できないじゃないですか。できるだけ面白いのがいい、となると「面白かった作品を描いていた、この作者さんの前作を読んでみよう」となるんですよね。
井澤詩織
作者買いで出会った「妖怪アパートの幽雅な日常」
――作者買いからハマった作品はありますか?
「妖怪アパートの幽雅な日常」 (杉野享・深山和香/講談社) は、作者買いから出会いました。もともと原作者の香月日輪先生が、児童書の執筆でご活躍されていた方だったんです。私が最初に出会ったのは、多分小学校の図書室だったと思います。そのとき読んだのは「地獄堂霊界通信」(香月日輪/講談社)だったかな。こちらもコミカライズされているんですけど、原作と漫画どちらも大好きでした。
――「妖怪アパートの幽雅な日常」 (杉野享・深山和香/講談社) で、何か印象深いエピソードはありますか?
高校3年生くらいの時に、ふと「地獄堂霊界通信」(香月日輪/講談社)を思い出して読みたい、となったのがきっかけで、自分でまた集めだしたんです。そのタイミングで原作の「妖怪アパートの幽雅な日常」(香月日輪/講談社)の1巻が出ていて、読んだらやっぱりすごく面白くて…。声優になったとき、香月先生の作品がメディア化したら、どういう形でもいいから関わりたいなと思っていたんです。でも、そのうちに病気でお亡くなりになってしまって…。先生がまだご存命の時に「妖怪アパートの幽雅な日常」 (杉野享・深山和香/講談社) の単行本特装版付録でドラマCDがあったんですけど、そのキャストのままアニメ化すると聞いたときは「うわー、出たい!!」とすごく羨ましい思いでした。そしたら本当に運良く、関わらせていただくことができて…夢は叶うんだなと思えた作品でした。
- 少年漫画 妖怪アパートの幽雅な日常
- 4.2 (891件)
妖怪と幽霊と人間が仲良く同居? ――3年前に両親が他界し、伯父の家に引き取られた稲葉夕士(いな...
「Wジュリエット」で“高校演劇”への夢を膨らませた
井澤詩織
――「Wジュリエット」 (絵夢羅/白泉社) は、少女漫画にハマっていた頃に読まれた漫画なんですか?
「Wジュリエット」 (絵夢羅/白泉社) は演劇部に所属している男女の恋物語なんです。実は私、もともとすごく緊張しいで、人前で話すだけで泣いちゃう子どもだったんです。でも、小学生のときに学園祭で演劇クラブの発表を見て、同じ子どもなのにお芝居をしてる、ということに衝撃を受けて演劇クラブに入ったんです。
井澤詩織
初めて「Wジュリエット」 (絵夢羅/白泉社) を読んだのは中学生のときでした。中学でも演劇部に入るつもりだったんですけど、私の通っていた中学校には演劇部がなかったんです。それで「高校生になったら絶対演劇部に入るぞ」と思いました。
「Wジュリエット」 (絵夢羅/白泉社) の演劇部は、学校の中でも花形部活で、憧れの存在なんですよ。それを漫画で読んでるから、高校の演劇部に対してどんどん夢が膨らんでいきました。やっぱり小学生のクラブ活動だと、できることは限られてるじゃないですか。でも、高校の部活だったらきっともっとすごいんだろうな…って。
- 少女漫画 Wジュリエット
- 4.4 (235件)
男勝りの女子高生・三浦糸が所属する演劇部に入部して来た超美人転校生・天野真琴。そのずば抜けた美...
――高校では「Wジュリエット」 (絵夢羅/白泉社) のような部活ライフを送れたんですか?
高校はちゃんと演劇部があるところを調べて受験したんですけど、なんと3人しかメンバーがいなかったんです。思い描いていた「Wジュリエット」 (絵夢羅/白泉社) の世界とは程遠かったので、結局演劇部には入りませんでした。でも代わりに放送部に入部して、それがきっかけで声優になっているので、ある意味「Wジュリエット」 (絵夢羅/白泉社) は人生のルーツかもしれないですね。
井澤詩織
写真:原恵美子
プロフィール
井澤詩織(いざわ しおり)
埼玉県出身の声優。「銀の匙 Silver Spoon」(2013-2014年)、「クズの本懐」(2017年)、「メイドインアビス」(2017年)などの漫画原作作品を始め、「ガールズ&パンツァー」(2012年)や「学戦都市アスタリスク」(2015年)と多くの話題アニメ作品に出演する。趣味・特技はイラスト、カメラ、肩もみ、足つぼ。
◆EARLY WING 井澤詩織 公式プロフィール
http://earlywing.co.jp/sp/talent_w/izawashiori.html
◆井澤詩織 公式Twitter
https://twitter.com/shiori_izawa
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