読むだけで年収650万達成!?労働者が中流の幸せを得るために読むべき漫画5選
更新日:2018/12/28 10:00
みなさん、金持ちですか!?我が家は貧乏です!聞かないで!
一説によると、年収UPと人生の幸福度は必ずしも比例せず、最も幸福度が高いのは年収650万円の人なんだそうです。むしろこれを超える人は比例して仕事が忙しくなったり、税金など出ていくお金も増えたりするから「年収は高いけどそんなに幸せではない」みたいな事態に陥るらしい。ほんまかいな。というか年収650万ってけっこう高くないかい…?
いっぽう、最近よく「マネーリテラシー」なる言葉も耳にしませんか?要するにお金の知識とそれを活用する力ですが、じゃ活用ってなんぞ?とわたくし考えましたところ、
・お金を稼ぐ力
・お金を増やす力
・お金を必要以上に使わない力
の3つに分類できるのではないかと。つまりこれらのスキルがバランスよく備わっていれば、お金のせいで不幸になってしまう事態を回避できるのではないかと(逆もまたしかり)。
というわけで、今回は、読むだけでお金を稼げる・増やせる・無駄遣いしないそんな人間になれる漫画を紹介したいと思います。
めざせ年収650万!
①株はギャンブル!?女相場師の体を張った勝負が見もの
「銭華」
(和気一作/倉科遼/グループ・ゼロ)
ベンチマークを理解しただけでは上がらないのが年収というもの。サラリーマンだと特に。ならば、自ら増やすしかない!
だけどそもそも投資の世界がさっぱりワカラナーイと言う方にオススメなのがこの漫画。
主人公・坂本千尋(さかもと ちひろ)は17歳。土佐の富豪・山之内家に母と一緒に暮らしています。実は、千尋の母は山之内の妾。千尋が2歳の時に父が交通事故で亡くなり、母が妾になることを暗黙の了解とし、母ともども山之内家に引き取られたのです。
母の弄ばれる姿を幼いころから見せつけられて育った千尋…。
いつしか、「大金を掴み、金に翻弄される地獄から抜け出してやる」と決意します。
その後、病気の母を助けることを条件に、山之内の息子に体を差し出した千尋。にも関わらず、手当てが間に合わずに母を失ってしまいます…。天涯孤独となった千尋は、山之内から巻き上げた慰謝料とともに、東京は兜町に身を移し、女相場師として生きていくことを誓うのです。
そのためには、自分の体を張ることもいとわない!という強い覚悟で…!
と、開始早々から濃厚エピソードの応酬で息継ぎができません。この疾走感は和気&倉科の大御所コンビのなせる技!スピーディかつエモーショナルな展開に引き込まれます。
マネー漫画としては、千尋が金融業界の素人ということもあり、マネー用語の解説が丁寧にされています。知識を得たい読者に、嬉しいポイントですね。
また、相場師という仕事への考え方について、ひいては金というもののありかたについても、哲学がはさまれ、考えさせられます。
マネーの世界はだましあい…。
そこに、文字通り裸一貫で飛び込んだ千尋は、果たして大金をつかみ、復讐を果たすことができるのでしょうか?
さて、千尋は復讐のために金を掴みたいという明確な目標があるわけですが、「なんとなくいい暮らしがしたい」という程度の私は、イマイチ金を得るためのモチベーションが弱い気がします。っていうか自分の体が高く売れるとも思わないしね…17歳の千尋と違ってもうアレだし。
もし、金の使い道を知らない人が大金を掴んだらどうなるんでしょうか?
正直、大金を手にしたことのない私にはわかりません。というわけで、こちらで疑似体験をしてみたいなと。
②金を掴むと世界は曲がって見える…ではその先に何が見える?
「銀と金」
(福本伸行/highstone, Inc.)
ギャンブル中毒の青年・森田鉄雄(もりた てつお)が、裏社会のフィクサー・平井銀二(ひらい ぎんじ)との命を懸けた数々の「仕事」で通常では考えられない大金を手にし、のし上がっていく物語。駆け引きの中で森田は大きく成長し、また、作中には様々なギャンブルやマネーゲームが登場します。
もちろん、株取引についての話も。この梅谷哲(うめや てつ)もその一人。
かつては株で50億円もの財を築き不動産王として名を馳せました。しかし、株を担保に新たな株を買い、それを担保に金を借り…を繰り返し、ついには300億もの借金を抱えることに。
ついには自転車操業に終わりが見え、実質的に銀二にその株を買い取ってもらうこととなりました。
つまり梅谷は、せっかくあった50億を、新たな勝負で失ったというわけ。
じゃ、そもそもなんのために稼いだの!?解せない森田。
50億もあれば、金利だけで食べていけるじゃない!?(私もそう思う)
そう言う森田に、
し、死人の考え…!!!いやいやいや、ほとんどの人の夢なんじゃないの!?
バブル崩壊後の金利は、梅谷に言わせると「詐欺みたいなもの」(この作品が描かれた1992年は今では考えられない超超~高金利だったわけですが…)。普通の人間が金を手にしたら、損していくのを黙ってみていることなどできなくなる、と言うのです。
そ、そういうものなの…?
大富豪の思考回路はわからない…、大富豪っていうか成金かもしれませんが。
しかし、森田自身、大金を手にすると内面が大きく変化します。
銀二に頼らずとも億の金をつくれるまでに成長し、しかも金のありかを嗅ぎ付けられるまでに…!元が凡庸な青年だけに、こちらはつい森田に感情移入しちゃいます。あんた、成長したね…!!
で、肝心の大金の使い道は?と言うと…
贅沢どころか、ほとんど使わないんですよ!
いっぽう作品には、金にモノを言わせてやりたい放題する人物も出てきます。
彼はカネで人の心を操り、非合法ペット(詳しくは作品を読むべし)を飼育したりやりたい放題。ほかにも資産を守るために殺しあいになる一族、金を持たないせいで人間扱いされない者、金を持ちすぎたせいで人間の心を失ってしまう者、人間扱いされないことを理由に人間であることを自ら放棄する者…。さまざまな金で人生を変えてしまった人物が登場します。
あるとき銀二は、金のために人殺しするのは嫌だ、と仕事を拒む森田に「その気持ちをよく覚えておけ」と語ります。銀二は森田に「金を掴んでみろ、世界が曲がって見えるぞ」と言うのですが、だからといって金のためなら何でもするという卑しい奴はこの世界で一流にはなれないことを見抜いているのです。
- 青年漫画 銀と金
- 4.5 (102件)
より大きな大金を掴もうとする、より高いところを目指そうとする…その行為そのものが銀二の言う夢であり、人生なのかもしれません。
しかし大金を手にしても使わなかったり、イリーガルな遊びにブッ込むんだったら、大金を稼ぐ意味ってなんなんでしょうね?それを考えさせてくれる漫画がコチラ。
③お金は幸せをもたらすのか?ストレートに描いた作品
「ビリオネアガール」
(支倉凍砂・桂明日香/講談社)
いまいちパッとしない毎日を送る男子大学生・高遠恵(たかとお けい)に突然降ってわいた、「家庭教師、時給1万円。しかも相手は美少女」という超好条件バイト。その雇い主・藤岡紫(ふじおか ゆかり)は、なんと、デイトレードで大成功した人物でした!
天才投資家・紫がデイトレードで稼ぎ出した資産はなんと170億円…! 現在は一等地のタワマンに住み、絵にかいたような「投資長者」の生活を送っています。
しかし内気で引きこもり、加えて数分でお金が動く市場から目が離せない紫は、同年代の友達を作ることができませんでした。根がコミュ障ということもあり、ビミョーに空気も読めてません。
所々で紫が披露する投資豆知識はとても勉強になりますが…現実にこれやられたら引くかもね…。
さらに、紫はトレーダーなりの葛藤を持っていました。
紫は、株式で利益を受け取ることの正当性を、頭では理解していても、どこかでお金を得る権利を納得できていないのです。
ある金融ショックがもとで市場が乱高下し、そのドサクサで儲かった紫。でもそのことを自ら「火事場泥棒」と評します。
自分の稼ぎは自分が実直に働いて得たものではない、そのことが彼女のコンプレックスになっていました。また、成功する投資家はあえてみんなと逆のことをする、いわば「逆張り」が上手な人と言えます。読みが当たった時の快感も大きいでしょう。
けれど、ふとした時に、みんなとは違うことばかり考え、誰とも協力しあえない自分に対して孤独を味わうこともあるのかもしれません。
紫は、言わば稼ぐゲームの才能があり、大きなリターンを手にしました。けれど得た配当を「どう楽しく、有意義に使うか」というのは苦手。だからそんな自分に自信を持てずにいました。
しかし普通の人である恵との関係を通して「普通の女子らしい内面」を育んでゆきます。二人と大金の行方は必読です。
続いて、築いた資産の使い道が考察できる一作を紹介します。
④巨額のマネーと実体経済の関連が垣間見られる
「サラリーマン金太郎 マネーウォーズ編」
(本宮ひろ志/サード・ライン)
サラリーマンのバイブルとも言える大人気シリーズの2作目。物語は、前作でヤマト建設を後にした主人公・矢島金太郎(やじま きんたろう)が、外資系銀行の日本支社に転職したところから始まります。
舞台がファンド業界ということもあり、作中には金融用語がバンバン飛びかいます。金融の素人である金太郎もなれない環境に悪戦苦闘しますが持ち前の人間力、交渉力を武器に、ファンド業界でも大成を収め、「金太郎ファンド」を立ち上げサラリーマンとしては破格の3兆円という富を手にします。
なんと長者番付に載るほどの富を手にしてしまいます!
しかし、それだけの富を築いているのにあろうことか長男・竜太郎に「バカバカしくなる」とまで言われるしまつ…。
竜太郎から、なんと「高校中退で暴走族上がりのわけわかんねえサラリーマンがよォ…なんなんだよ、こういう金の稼ぎ方って…」など、とんでもなく生意気なクチをたたかれてしまうのです。
しかし、当の金太郎が「お前の言う通りだよ」と認めてしまいます。
私はここに、この作品の主張が描かれているように感じました。作品はファンド業全てを否定するものではありません。連載当時の時事を反映してか、円の乱高下、円が世界から見放されてしまいそうになる窮地と、それをまた多額の金が救うシーンもあります。
しかし、最終的にはそれを動かすのは人であり、人の感情…心だということもまた、描かれているのです。
その後金太郎はファンド業を離れ、漁師として高知に戻りますが、そこで町民をないがしろにする町政を目の当たりにします。それを打開すべく、先のマネーウォーズで得た資金をもとに新たな電気事業施設を作ります。
マネーウォーズ編プロローグで、外資系証券会社に就職した矢島金太郎。中東のナビリアを舞台にしたマ...
一貫して、金太郎の興味は「金そのもの」にはありませんでした。彼の視線の先にはいつも、その富を使って何をし、どれだけの人を幸せにできるか?という問いがありました。
金が金を産む仕組みを勉強しても、その仕組みが肚落ちせずに、投資に否定的ではなくても、どこか漠然とした不信感を抱いてしまう人は少なくないと思います。私もその一人です。
金が金を産むという連鎖に終始せず、マネーゲームで得た金を実体経済にどう還元すべきか?考えさせられる作品です。
ここまでで、最初に述べたマネーリテラシーのうち
・金を稼ぐ力
・金を増やす力
について考えました。最後に、
・お金を必要以上に使わない力
について考察してみたいと思います。
⑤浪費では味わえない!工夫で得られるカタルシス
「節約ロック」
(大久保ヒロミ/講談社)
都内の広告代理店勤務。就職して7年目。一人暮らし。平凡なサラリーマン、松本タカオ、30歳。そして昨日、彼女に振られた…。
振られた理由は、金がないから。フツーに働いているのに金がなく、金が足りなくなるとちょいちょい彼女に無心していました。サイテーですね。クズです。ダメ男です。タカオ自身も、本当はわかっているんです。彼女に振られた理由を。そして、なぜ自分に金がないのかを。
そう、なにも考えずにお金を使ってきたからなんです。外食ばかりで自炊せず、光熱費、通信費、タクシー代…何も考えずに気ままに使っていました。そして、一番の大物はこれ。
ギター!
バンドマンでもある(売れてないけど)タカオは、後先考えずにギターを買い、それがもとで彼女とケンカしたこともありました。
でも彼女は、決して「ギターを買ったから」「お金がないから」怒っているんじゃないんです。彼女が怒っていたのは、タカオのマインドに対して、です。
タカオは、なにかをごまかすためにお金を使っていました。嫌なことが起きると、それを解決するのではなく、何かを買うことで「解消した気分」になっていました。
また、どこかで浪費そのものを「ロックっぽい自己表現」だとも思っていたのです。彼女はそのことにキレていたのですね。しかし、彼女に振られ、現実的に金も底をつき、食事もとれなくなったタカオは、家にあった食材だけで工夫して自炊を試みます。
すると、
…なんということでしょう!
今まで味わったことのない達成感と、カタルシスを得るのです。その価値は…プライスレス!!(自炊した分、逆にプライスが浮いているのですが)
こうしてタカオは、節約することや工夫して生きていくことの面白さに目覚めていきます。
本作を読むと、身の丈に合った生活をすることと、その工夫の中から自分なりの楽しみを見つけることの重要性について考えさせられます。あまりに切り詰めた生活は、苦しくみじめな気持ちになります。しかし、楽しんで節約すればオトクな気分を味わうことができ、実際にもお金も貯まるし、結果的に豊かな生活を送ることができるのです。生活を豊かにするには、必ずしも収入だけが大事ではない、と思わせてくれる作品です。
以上5作品を通じ、マネーリテラシーについて考えてみました。
お金を稼ぐ・増やす・必要以上に使わない。どれもお金と上手に付き合うために必要なスキルです。まずは自分に合ったスキルから伸ばして、自分なりの幸せを模索してみてはいかがでしょうか!
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作者
pacho40
10代以前は『りぼん』『花とゆめ』で育ってきた、アラフォー派遣社員。 もとは読書の間の緩衝材として、ライトでフワフワしたような漫画を読んでいましたが、最近は、夫(40代)と息子(10代)の影響で、未知だった分野にも手をだしつつあります。記事タグ
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