幽麗塔
- タップ
- スクロール
あらすじ
時は昭和29年、舞台は神戸。ニートの天野は、幽霊塔と呼ばれる時計塔で、白い何者かに襲われ死の寸前、謎の美青年・テツオに救われる。テツオは曰く「幽霊塔の財宝探しを手伝えば、金も名誉も手に入る」。しかしテツオの正体は、男を装う女であり、その名も偽名であった・・・・・・・・
入荷お知らせ設定
?機能について入荷お知らせをONにした作品の続話/作家の新着入荷をお知らせする便利な機能です。ご利用にはログインが必要です。
ユーザーレビュー
-
地獄を抱えて
普通のサスペンスは、あくまでスリルや謎解きがメインで、それを彩るための「道具」や「舞台」を用意する。
その道具や舞台が不気味だったり特異だったりすれば、それがサスペンスを飾るカラーやムードになる。
そういう意味で、この漫画は完全に異色。
度肝を抜かれた。
主要な登場人物のほとんど誰もが少なからず「倒錯」しており、確かに、一種異様な雰囲気はある。
でもそれは、サスペンスの雰囲気作りのための「装飾」ではない。
トランスジェンダーを「イロモノ」扱いして、「一風変わった曲者たちが活躍するサスペンス」として描いたほうが、よほどノーマルだったろう。
繰り返し、この漫画の着地点は、そこではない。
むしろ、サスペンスを「道具」にしながら、何とか運命を切り開こうともがく人間の姿を描くことこそが、主眼なのではないかと感じた。
登場人物たちは、皆、屈折している。
倒錯している。
一面を見れば、そうだ。
でも、よくよく考えてみれば、私たちの誰もが、自分の内に地獄のひとつや二つ、抱えているのではなかろうか。
それが、時代性や社会性の中で、特殊なものとしてクローズアップされるかどうかの違いがあるだけで。
その地獄を抱えて、それでも地獄には落ちまいと、懸命に運命に抗う人間たちの姿に、胸が熱くなった。
本作の財宝は、その地獄に光を当てるための手段なのだ。
これほど美しく、価値ある「宝」を、私は他に知らない。
この漫画は、サスペンスの姿をした、人間讃歌だと思う。
ここまで書いて気づいたが、何かそれって、「ジョジョ」みたいじゃん。by roka- 50
-
5.0
男装した女性が本当の性別がバレて
男主人公と良い感じになるのは漫画ではよくありますが
この漫画の場合そうはいかない理由が素晴らしいです
始めはミステリーものだと思い読み進めてましたがジェンダー、人の命の価値など生きていくうえで考えさせられる内容に惹かれました
見所は金なし職なし女なし自分の人生を悔やんだ男天野がテツオとの冒険を通して
一生をかけてでも現実したい夢を掴み、人として成長する場面が気持ちいいほど描かれてます
最近漫画を実写化にしたものを観ますが
私のなかではここ一番実写化して欲しい作品です
面白ければ何でも好きな方、新しいジャンルを見たい人にとっては丁度良いかもしれませんby 武者小路篤史- 35
-
5.0
泣けました
夏目アラタの結婚からこの作品を知ったのですが、
本格的なミステリーでホラー、戦後、思想、倫理、ジェンダーなど大きなテーマをとても綺麗に、おぞましく、正面から向き合って描かれた作品だなと感じました。後暗いテーマを光に導くエンディングで感動しました。主人公の変わりっぷり、テツオの中性的で頭脳明晰な魅力、ホラー・サスペンス要素もインパクトが強くてかなり完成された素晴らしい作品だと思います。
主人公太一の変わっていく様、恋愛でなく友情にフォーカスを当てている所…共に乗り越えた2人のジェンダーを超えた関係性、強く美しくて本当に魅力的でした。つい一気に一晩で読んでしまった位の中毒性がありました!これは紙媒体でぜひ買って大切に保存しておきたい漫画だと思いました!濃厚です。by 匿名希望- 19
-
5.0
読後スッキリ!
昭和初期の時代感がよく出ていて、ノスタルジックな中に謎解きや猟奇的なものがでてきて、ドキドキワクワクしながらあっと言う間に読んでしまいました。
登場人物は気持ちがいいくらいの変態なので嫌〜な読後感はなくところどころにでるグロシーンもそんなに辛くなかったです。
しかし、時計塔内部があんなに広いとはおどろきました。
二人の今後の事知りたいです。素敵なラストでした。by 風鈴きんぎょ- 14
-
5.0
イッキ読み
冒険活劇、乱歩風倒錯的世界観、美しいけれどイキイキしたタッチ、開かれた社会観、出版界の魅力や可能性。盛りだくさんだけれど崩壊せずにちゃんと詰め込まれてる。
何よりも先がヨミタイヨミタイと思わせるストーリー展開と、ずっと一緒にいたいと思わせるようなキャラクターの魅力は大きい。読み終わった後、一時代生ききったような充実感があった。by しょこらまま- 15
同じ作家の作品
Loading
関連する作品
Loading
5.0