幽麗塔

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あらすじ
時は昭和29年、舞台は神戸。ニートの天野は、幽霊塔と呼ばれる時計塔で、白い何者かに襲われ死の寸前、謎の美青年・テツオに救われる。テツオは曰く「幽霊塔の財宝探しを手伝えば、金も名誉も手に入る」。しかしテツオの正体は、男を装う女であり、その名も偽名であった・・・・・・・・
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みんなのレビュー
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5.0
地獄を抱えて
普通のサスペンスは、あくまでスリルや謎解きがメインで、それを彩るための「道具」や「舞台」を用意する。
その道具や舞台が不気味だったり特異だったりすれば、それがサスペンスを飾るカラーやムードになる。
そういう意味で、この漫画は完全に異色。
度肝を抜かれた。
主要な登場人物のほとんど誰もが少なからず「倒錯」しており、確かに、一種異様な雰囲気はある。
でもそれは、サスペンスの雰囲気作りのための「装飾」ではない。
トランスジェンダーを「イロモノ」扱いして、「一風変わった曲者たちが活躍するサスペンス」として描いたほうが、よほどノーマルだったろう。
繰り返し、この漫画の着地点は、そこではない。
むしろ、サスペンスを「道具」にしながら、何とか運命を切り開こうともがく人間の姿を描くことこそが、主眼なのではないかと感じた。
登場人物たちは、皆、屈折している。
倒錯している。
一面を見れば、そうだ。
でも、よくよく考えてみれば、私たちの誰もが、自分の内に地獄のひとつや二つ、抱えているのではなかろうか。
それが、時代性や社会性の中で、特殊なものとしてクローズアップされるかどうかの違いがあるだけで。
その地獄を抱えて、それでも地獄には落ちまいと、懸命に運命に抗う人間たちの姿に、胸が熱くなった。
本作の財宝は、その地獄に光を当てるための手段なのだ。
これほど美しく、価値ある「宝」を、私は他に知らない。
この漫画は、サスペンスの姿をした、人間讃歌だと思う。
ここまで書いて気づいたが、何かそれって、「ジョジョ」みたいじゃん。by roka-
52
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5.0
男装した女性が本当の性別がバレて
男主人公と良い感じになるのは漫画ではよくありますが
この漫画の場合そうはいかない理由が素晴らしいです
始めはミステリーものだと思い読み進めてましたがジェンダー、人の命の価値など生きていくうえで考えさせられる内容に惹かれました
見所は金なし職なし女なし自分の人生を悔やんだ男天野がテツオとの冒険を通して
一生をかけてでも現実したい夢を掴み、人として成長する場面が気持ちいいほど描かれてます
最近漫画を実写化にしたものを観ますが
私のなかではここ一番実写化して欲しい作品です
面白ければ何でも好きな方、新しいジャンルを見たい人にとっては丁度良いかもしれませんby 武者小路篤史-
36
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5.0
泣けました
夏目アラタの結婚からこの作品を知ったのですが、
本格的なミステリーでホラー、戦後、思想、倫理、ジェンダーなど大きなテーマをとても綺麗に、おぞましく、正面から向き合って描かれた作品だなと感じました。後暗いテーマを光に導くエンディングで感動しました。主人公の変わりっぷり、テツオの中性的で頭脳明晰な魅力、ホラー・サスペンス要素もインパクトが強くてかなり完成された素晴らしい作品だと思います。
主人公太一の変わっていく様、恋愛でなく友情にフォーカスを当てている所…共に乗り越えた2人のジェンダーを超えた関係性、強く美しくて本当に魅力的でした。つい一気に一晩で読んでしまった位の中毒性がありました!これは紙媒体でぜひ買って大切に保存しておきたい漫画だと思いました!濃厚です。by 匿名希望-
19
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5.0
強く心惹かれた作品です!
終戦後の神戸を舞台に、善人ではあるがウダツの上がらない太一と、女性として生まれながら男性の心を持つ男装の麗人テツオという異色のコンビが幽霊塔の財宝を求めて展開する冒険譚。
昭和レトロなエキゾチックな街を背景に、展開するサスペンスストーリーには、時に身の毛もよだつ恐ろしく残虐な場面もありますが、それさえも作者の美意識の高さ故か、グロテスクにならず美的に表現されています。
太一がテツオとの冒険を経て、人として成長し変わっていく姿も好ましく、二人が幾多の困難を共に乗り越えたのちの友情にも賛辞を贈りたいと思います。
ところで、ストーリーの終盤で、負傷した太一たちが入院しましたね。その病院の全貌のカットがありましたが、あれは神戸市東灘区鴨子ヶ原にある甲南病院の開院当初の写真を参照して描かれたものです。昭和9年に開院した病院は高名な建築家の設計によるもので、昭和の名建築の一つとされていました。映画のロケ地などとしても使われ、「涼宮ハルヒの消失」のシーンにもなりました。しかし残念ながら、その建物は惜しまれつつ建て替えために取り壊されてしまいました。
何でそんなことがわかるというと、そこは、実は神戸っ子の私が生まれ、父が勤めていた病院だったからです。その建物が失われたのは悲しい限りですが、この作品の中に変わらぬ姿を留めてくれていると思うと慰められます。作品の大筋とは関係ないことですが、どうしても書かせていただきたいと思いました。by 深澤麗子-
13
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5.0
読後スッキリ!
昭和初期の時代感がよく出ていて、ノスタルジックな中に謎解きや猟奇的なものがでてきて、ドキドキワクワクしながらあっと言う間に読んでしまいました。
登場人物は気持ちがいいくらいの変態なので嫌〜な読後感はなくところどころにでるグロシーンもそんなに辛くなかったです。
しかし、時計塔内部があんなに広いとはおどろきました。
二人の今後の事知りたいです。素敵なラストでした。by 風鈴きんぎょ-
14
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作家:乃木坂太郎 の作品

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レーベル:ビッグコミック・スペリオール の作品

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出版社:小学館 の作品

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