5.0
異世界とタイムスリップの傑作!
単なる恋愛ファンタジーとは一線を画す、絵もストーリーも素晴らしい傑作です。主人公アサヒは普通の女の子だけど意思が強くて美しい、水神様は感情もなく冷徹だったのが、アサヒのおかげで感情が芽生え、愛や痛みや悲しみを知っていく。その過程が水神様の表情の変化が細やかな絵で描かれていきます。スバル君はアサヒをずっと救って愛し守り続け、最終的にはアサヒと水神様が幸せになることを願う。人間の勝手な神頼みや欲や哀れさが登場人物の背景とともに描写され、思い当たる節があるなと思わされました。最後の闇との戦いのストーリー展開は、ジブリのもののけ姫やゲド戦記を彷彿とさせる壮大さ。ジブリでアニメ化できるのでは?水神様に感情が芽生えてからの優しい微笑み、別離が待っていても相手の幸せを求める気持ち、水神様と一緒にいたい気持ちと元の世界に帰りたい気持ちに揺れるアサヒ。それを見守るスバル。ラスト、水神様の目線で進むストーリーでの伏線回収がものすごい!ああ、そうだったんだーと膝を打つ感じ。そして、永い永い年月を経て、やっと出会えた二人。最後のひとコマの幸福に包まれた美しい二人…。読後感が心地よく、世界が美しく見えます。何度も何度も読み返してしまいます。この作品に出会えて幸せです。
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