【ネタバレあり】[小説]砂漠は罪に濡れてのレビューと感想

過去の過酷な出来事から、攻め様からの無体な仕打ちに健気に耐え続ける受け。怪しい動きを続ける脇役にも、自分のせいと耐える受けの姿がいじらしい。

途中までは本当に辛いけど

大学院の研究室で砂漠の緑地化の研究に没頭する篤史は、突然現れたハムシーン王国の若き軍事大臣ファイサルの示した多額の寄付金に対する人身御供の様に王国に渡ることになります。
10年前ハムシーン王国に留学していた篤史は、ファイサルの父カリムと自分の父親が友人だった縁でその屋敷に下宿しており、6歳下のファイサルも当時篤史のことをとても慕っていました。
ですが王国は内戦状態となり、ファイサルの両親は故あって命を落としてしまい、その場にいた篤史をファイサルは親の仇と憎み続けていたのです。
篤史を屋敷に閉じ込めて毎日性的に責め苛みます。
篤史もある負い目があって、二人の死を自分のせいだと苦しんでいたので、ファイサルの仕打ちを全て受け入れて耐え忍びます。
もう、篤史に対するファイサルが初めのうちは酷すぎて。
裸に手枷足枷で閉じ込めてワイヤー入り鞭打ちまで。
「悪いのは自分」と何をされても文句ひとつ言わない篤史が健気過ぎて可哀想で痛そうで。
「この後にハッピーエンドが待ってるはず！」と思わなきゃ読んでいられませんでした。
ファイサルは元々篤史のことを愛していて、だからこその可愛さ余って憎さ100倍って感じだったんでしょうけどね。
そんな中で色々と事件が起こり、二人の間の緊迫感も少ーしずつ和らいでいく過程は救いでした。
もちろん、最後には全ての真実が明らかになって大団円。ちょっとご都合主義だとは思う部分もありますが、BLはファンタジーですもんね。
でもファイサルっ！
あれだけ辛い目に合わせたんだから篤史を大切に大切にしまくらないと許さないから！

・互いに思違いをしていた結果、前半は受けが酷い目にあいますが、『そうじゃないのに！』と思った部分は、全てきっちり回収され、誤解がとけるのでスッキリします。

・前半鬼畜な攻めですが、誤解していた理由が理由なのと、その後とても反省し、受けを傷つけてしまった事への後悔がしっかり書かれているので、良い！
（あれだけしといてなんなん？この攻めは？反省しとんのか？みたいな気分にはならないと言うか…）

・誤解がとけた後のラブラブパートも充分あるので、とても満足です。

良かったです

お互いの勘違いと言うか、思い違いから最初はとても辛い状況をただただ受け入れるだけの主人公なんですけど、徐々に自分の気持ちにも気付いて、でも過去の過ちと思い違いから伝えられなくて、読んでいてとてももどかしかったです。その分も最後はラブラブなので良かったです。

もうとにかく、途中までは篤史への扱いが酷くて、それでも自分を責めて受け入れているのが辛くて切なすぎて涙涙でした。
辛いことがいっぱいあったけど、でもサイファルが大切にしてくれて、最後はちゃんと真実が分かり、ハッピーエンドで終わって本当に良かったです！これから、辛かった二人には本当に幸せになってほしいです！