【ネタバレあり】[小説]恋獄の獣に愛されてのレビューと感想

重い…けど読み応えあり。

気軽に読み始めたのに、とても深い内容で驚いた。

主人公のあさぎを取り巻く環境が何ともやるせない。
家庭内ではさりげなく輪から外され、学校では半分押し付けられた様な形で生徒会長を務めている。
いじめられている訳ではないのがかえってタチが悪い。

そんなある日、あさぎは異世界へ堕ちてしまう。
魔物や鬼に襲われそうになったところを助けてくれたのは「鬼王」と呼ばれるソード。
ソードは過去のとある出来事であさぎに深い思い入れがあって…

ソードはひたすらにあさぎを守ってくれるのだけど他の堕ちて来た人間や鬼を無理矢理抱いたりと浅ましい鬼の性を抑えきれない。
そんな獣の様な姿を知りつつもソードに惹かれ、共にこの世界に在りたいと願うあさぎ。

そして鬼や餓鬼、魔物とまさに地獄のこの異世界の存在理由とは？

とにかくソードのあさぎに対する愛情が激し過ぎて苦しくなるほど。
片やあさぎの鈍感さにイライラするけれど、ソードの言葉が足りなさすぎなのも悪い。

それでもやっと想いが通じ合って、さぁこれからという時に思いも寄らず突然元の世界に戻ってしまうあさぎ。
全く心配もしていなかった家族。あり得ない。

愛するソードの元に戻ると決めた後のあさぎの行動力が凄かった。

刀鍛冶のおじいさんとの経緯とエピローグには感動。
弟妹があさぎの幸せな姿を知ってくれて良かった。
でも母親には一生後悔しながら生きて欲しいと思う。