5.0
切なく、悲しく、胸がキュッとなる
最初は話の分野的にあまり興味がなかったのですが、渡瀬悠宇さんの作品が大好きなので、読んでみることにしました。が、読み始めていくと、蒼麿が正崇に引き込まれていくように、私も話にどんどん引きこまれていき、気がつくと最後まで一気に読んでいました。
BLと言っている方もいますが、そういう分野でくくって欲しくないような、また別の次元の話のような気がします。
途中とても過激でしたが、渡瀬さんがここまで描写をする作品は初めてで、新鮮でした。このお方は、作品ごとに全く色を変えていて、本当に同一人物の作品?!と、思うくらい。読み手を飽きさせないところが素晴らしい。
最後は、なぜ佐藤がそんなことをしたのか?蒼麿はどうなったのか?正崇は…?!と考えることが止まない終わり方をしたので、その後数日、眠れませんでした。(笑) 後の解釈は読み手次第、という感じです。本当に悲しく、辛く、涙が溢れました。でも決して後味が悪いわけでもなく、最後の正崇の表示と桜が、心にある種の安心感を残してくれました。
渡瀬さんが以前ブログか何かで、絵が描きたいんじゃなくて、伝えたいことがあるから描く、というようなことをおっしゃっていました。まさに、伝えたいことー愛とは何か、を描いた、素晴らしい文学作品だと思います。
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