みんなのレビューと感想「サユリ1号」(ネタバレ非表示)

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- 全61話完結(42~58pt)
みんなの評価
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5.0
これが本物でなくて、何なのだ
今でこそ「サークルクラッシャー」という言葉はそれなりに人口に膾炙するものになったが、本作は二十年も前の漫画で、おそらくそんな言い回しすら存在しなかった時代の話だ。
これはちょっと、すごいと思う。
基本的には、大学生の男女の恋愛模様を描いた作品であるが、その筆致は実にパワフルで、ぐいぐい読ませる。
特に、本作の核である大橋ユキの撒き散らす躍動的な不穏さと嫌悪感のインパクトは突出している。
また、大橋さんがかつてウィンタースポーツサークルを崩壊させた回想エピソードなんかは、かなりサスペンスフルでもあり、どうなるかはわかっているにも関わらず、非常にハラハラさせられた。
まあ、はっきり言って、結構、難点もある。
大橋さんの造形は、いくら何でもネジが外れすぎていてリアリティーも何もあったものではないし、女性に対する洞察の鋭さに比して、男性の描き込みは甘いとも思った。
男性の読者(私もそうだが)が読めば、「これ、作者どうせ女だろ」とあっさり看破されてしまう程度には。
私は作品の結末をものすごく重視する人間だが、その点も正直、どうかと思う。
しかし、本作が描き出したものの中には、間違いなく普遍があった。
私自身はサークルに属してもいなかったし、したがってサークルがクラッシュされたという経験もない。
だが、本作を読みながら、私は、胸が痛くなるくらいに、あの頃を思い出した。
主人公の言う「毎日の些末な大事件」に大騒ぎしながら、何かつかまなくちゃ、もっと楽しまなくちゃ、もう少ししたら、俺は何かにならなくちゃいけないんだから、何にもなりたくなんかないのにと、そんな不安と焦燥を抱きながら、ただ、時が過ぎてゆくのを眺めているしかなかったような、でも、そのこと自体が意味もなく愛しかったような、あの頃のことを。
大橋ユキという悪魔のようなファム・ファタールは絶対にどこにもいない女の子だとしても、本作の中に生きていたのは、紛れもなく、あの頃の僕らであり、私たちだった。
戻りたいと思ったことなど、私には一度もない。
あの頃より今の方が幸せだと、断言もできる。
なのに、駄目だ、何だか泣けてきてしょうがない。
嗚呼、これが本物でなくて、何なのだ。by roka-
3
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4.0
若さは残酷
「青春の痛み」を描かせたら、この人の右に出る人はいなかったと思います。
短編作品の方がそこらへんのうまさが出ていて、初の長編であるこの作品は後半ちょっと迷走した感じはしますね。
セリフを一つ一つかみしめながら読むタイプの漫画だと思います。by ジーン・ハワード-
0
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5.0
懐かしい
昔、マンガ喫茶で夢中になって読んだ作品。人間って、程度の差はあれ、残酷で邪悪で汚いもの、例外はない。女性の見た目が天使のようだからって、中身もすべて天使のようだと勘違いして、振り回される男が滑稽に見える。
by yanayana-
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5.0
表現がいい
無料から読み進めてます。
さゆりという名の架空の人物が気になって読み始めました。
青春時代の微妙な感情の表現が凄く良くて引き込まれました。
表に出せない感情がヤキモキします。
この後どう進展するのか楽しみです。by oskar-
0
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4.0
この方デビュー当初に読み切りや6話くらいの中編を描いてらっしゃってそれがいちいち当時若かった自分に刺さる内容で、その後しばらく作品が出てこなくて待ちきれなくなって編集部に電話してしまうという後にも先にもないことをしてしまったのですが、その際に編集者から言われたのが「来週から連載が始まりますよ」というものでした。それがこの作品です。いい話じゃないですか?
by 匿名希望-
3
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