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【ネタバレあり】推しが辞めたのレビューと感想

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3.8 評価:3.8 9件
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  1. 評価:4.000 4.0

    偶像を思う

    賛否はあるだろうが、「推し」がいてそれを追いかけるという現象はもう、ひとつの文化と言って差し支えない時代なのではなかろうか。
    私には縁遠い世界の話だが、実に興味深く読んだ。

    作品を支えているのは、「推し」文化に関する圧倒的な情報量とディテールである。
    それは「推し」を持つ人々の活動の詳細な描写だけではなく、「夢」と現実の間で浮遊する彼らの心情の機微、そして、エスカレートした執着がいつの間にか一線を踏み越えてゆく危うさ、そういったものを鮮明に描き出すことであって、その細部の克明さとリアリティーは素晴らしい。

    一方で、漫画の大枠であるところのサスペンス的な部分は、最終的にはあまり腑に落ちなかった。
    微妙な言い方になるが、結末として、あまりに綺麗に過ぎる。
    本作の魅力は、何かに執着する人間の生々しさ、極度に「好き」であるということは決して綺麗ごとでは済まないというある種のおぞましさ、そういうものを炙り出した点にあると感じていたので、人間の美しさみたいなものに依存したサスペンス部分の結末は、「推しのいる私たちのリアル」という文脈から乖離してしまっているように感じた次第である。
    ただまあ、読み進めていく過程では、このサスペンス要素に吸引力があったことも確かであるし、作者はどこかで、汚れたものの中で汚れずにいる存在を作品に残したかったのかもしれない。
    そう思うと、それを否定するのも酷である。

    人間というのは、何かに夢中でありたい存在だ、と私は思っている。
    時にはその夢中が、執着が、狂気を孕んで、自らの人生がばらばらになることさえあるほどに。
    「推し」現象は、その「何か」が本質的に手の届かない場所にあるにも関わらず、そうではないと人々に錯覚させることで成り立つ文化であり、それを利用した一大ビジネスでもある。
    私はずっとそれを好きになれなかったし、今でもそうだ。
    しかし、それでも彼が、彼女が、「これが私の幸せ」と大量の握手券を握りしめて微笑むとき、それを否定できる根拠を私は持てない。
    多かれ少なかれ、誰しもが偶像を追っている。
    それが誰かによって作られたものなのか、自分で作り出したものなのか、おそらくその違いがあるだけだ。
    この作品を読みながら、私はずっとそんなことを考え続けていた。

    by roka
    • 5
  2. 評価:4.000 4.0

    推しがやめたらどんななのかとかそういう話じゃない!とりあえず想像以上に全員黒い!重い!でも読んじゃう!

    • 0

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