3.0
とってつけた
復讐代行業者の話。
普通の復讐モノは世に溢れているから、何とかアイデンティティーを出そうともがいた感はある(その努力に免じて星をひとつ足した)。
復讐する側は読者の同情を誘う被害者で、復讐を遂げて終了、ではなく、復讐する側もろくでなしで、結局地獄行き、という展開があったのも、そこまでオリジナリティーがあるかは別として、一捻り加えようとした意向はわかる。
だが、残念ながら、作品の大部分は空回りである。
まず、復讐代行業者の目的(業者であるから目的は本来、利益のはずだが)やルールや信条みたいなものが、よくわからない。
このあたり、シビアにやっておかないとリアリティーもクソもなくなるが、圧倒的に設定が緩い。
極めつけは、おそらく本作の最大のアイデンティティーであるはずの、「物語が裏返ったわ…」である。
要するに、復讐のエピソードを、「シンデレラ」とか「かちかち山」とか、童話や昔話に不意になぞらえるのだが、これのとってつけた感が半端ではなく、完全にすべっている。
努力は認めるが、核のところでここまで失敗していると、高評価は難しい。
- 3