遺書、公開。

あらすじ

灰嶺中学2年D組は新学期に「2-D序列」と題したクラス全員の序列が記してあるメールが届く。しかし、“序列1位”の姫山椿はクラスの不穏な空気を打ち破る。姫山のおかげで普通のクラスになったかと思われた11月──。姫山が校内で自殺してしまう…。葬儀の帰りに教室に戻ったクラスメイト達の机に姫山椿から「遺書」が置かれていた! 死者からの「遺書」を巡り2年D組の闇が暴かれる!?※本商品は、デジタル版限定カバーのデザインを表紙・特典に収録した特装版です。

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みんなのレビュー

  1. 評価:4.000 4.0

    振り回されるだけのミステリ

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    はっきり言って、この設定はずるいと思う。
    遺書が深読みやら裏読みやらいくらでも出来てしまうものである以上、後づけでいくらでも話が作れてしまうからである。
    その上、遺書は活字で書かれているわけで、偽造・捏造可能となると、そもそも遺書が本人によって書かれたものではないかもしれないとか、自殺ですらないかもしれないとか、そういうレベルのことまで何でもありになってくる。
    おそらく、連載開始時点ではそれほど今後の展開が緻密に練られていたわけではないだろう、という気がする。
    別にそれ自体を非難する気もないのだが、ここまで何でもありだと、読者に「推理」の余地というものがほとんどない。
    つまり本作は、「考えるだけ無駄」なミステリなのであり、それはもう、ミステリ漫画としては致命的だと思う。

    ただ、こんなこと言っておいて何だけれど、面白かった。
    プロットとしては変化がなく、三十人くらいの生徒たちがただただ自らに宛てられた遺書を公開していく、というだけの内容、ほとんど「何も起きていない」といっていい話であるにも関わらず、私は読むのを止められなかった。
    「彼女に何が起こったのか」という謎の一点でここまで引っ張れるのは、それなりに作品に力があるということなのだろう。
    また、「こういう系」の作品は、往々にして人が死にまくったり、人間離れしたサイコ学生が出てきたり、何かと「起こりすぎる」ことで興が削がれるが、そういうことがなかったのも、ポイントが高かったのかもしれない。
    要するに、「何も起きない」ということが、奏功したのかとも思われる。
    そう考えてみると、この「やったもん勝ち」のずるい設定を考案した時点で、本作はある部分、既に成功していたのかもしれない。

    読者の推理に対して排他的である、というミステリとしての致命傷を負っている作品ではあるが、「推理を楽しむ」ミステリではなく、「ただ振り回されるだけのミステリ」として、私はそれなりに楽しんだ。
    それを邪道と呼ぶかどうかは、微妙なところなのだけれど。

    by roka
    • 25
  2. 評価:4.000 4.0

    ネタバレ レビューを表示する

    スクールカーストの序列が送られてくるのもなんだか怖いし、そんな少し不穏な空気をカースト1位の姫山さんが変えてくれて、平穏な日々がすぎていた所で、唐突に自殺…。
    最初からこれは何故?ってかんがえる端から事件が起きる感じが、次は…次は…と読み進めたくなります。

    亡くなった子はあたりまえながらもう居ない訳ですが、葬儀から戻って教室に行くと各自の机に各自宛の遺書が置かれていて…それをやったのは果たして誰なのか?カーストの序列を作って送った人は?が気になるところです。遺書の公開を止めた先生や一度も学校に来てきない生徒、遺書公開について先生と交渉(?)した千陰くんも、何気ない顔して過ごしていた一人もみんな怪しく思えて来てしまう…
    終焉に近づくのも寂しいと思う反面、早くスッキリしたいと言う思いもあるのて複雑な気分ですね(ヽ´ω`)

    • 3
  3. 評価:5.000 5.0

    結末が秀逸

    何故か2-Dクラスにだけ流れてきた謎の「序列」
    クラス一位の女子が自殺をしてしまい、亡くなった後にクラス一人ひとりに遺書が残される。
    それを解明するために遺書を公開し始める。

    平凡なクラスだったはずなのに、一人ひとりに人間らしい闇があって、気になって全話購入しました。

    自分の感想は「結末が秀逸」です。
    が、最後の一話は好みが分かれる結末だと思っています。

    嘘くさい、蛇足だと思う人もいるかもしれないですし、私のように「最後があるからこそ物語の余韻が強烈なものなっている」と思う人もいるとは思います。
    ここは好みかなぁ。
    私はお金出して読んでよかったと思っています。

    • 0
  4. 評価:4.000 4.0

    気になるところもありつつ

    ネタバレ レビューを表示する

    一気に最後まで読んでしまいました。ストーリーが進むごとに明らかになる事実に、クラスメイトたちがいかに序列に対し翻弄されていたのかがわかり、空恐ろしかったです。
    個人的に気になったのは、自殺した椿の母に対し序盤で虐待疑惑が出た後、すぐ誤解だとわかったにも関わらずクラスメイトの誰も椿の母に家庭内での彼女の様子について聞きに行こうとしなかったのは不思議だなと感じました。(遺書公開がメインだとしても、何故彼女が自殺したのか突き止める話だと思ってたので)
    あと赤城くんと横山くんの髪型が似すぎて最後まで区別がつかなかったので、どっちかに目立つホクロとかあってもよかったかなと思いました。

    色々気になったところはありますが、漫画でよくある学校ものの話でいじめだったり過激な性描写を抜きに、ひたすら全員の遺書を公開していくだけのストーリーでここまで描けるのは単純にすごいなと思いました。
    ラスト、一連の出来事を反省し全員平等な負担でやっていこうと決意しても、結局黒幕によって作られた新たな序列に翻弄されそうな未来を暗示して終わりましたが、黒幕が手を下さなくてもこのクラス結局崩壊しそうだなと思いました。あんだけ皆裏の顔出しまくって、ギスギスした後に前と同じように仲良く過ごすのはそりゃあ無理よ。

    • 1
  5. 評価:5.000 5.0

    一気読み

    ネタバレ レビューを表示する

    随分前になりますが、自分の中学時代を久しぶりに思い出しました。舞台は私立中学2年D組。このクラスだけに生徒のランキングが送られてきます。それから半年後にランキング1位の女子生徒が自殺、3日後にクラスメート全員に各々遺書が届きます。その遺書を順番に公開していく中で謎は深まり、という内容で、一気に最新話まで読みました。
    私も共学の私立中高に通っていたので、同じ空気間を感じながら、とにかく早く続きが読みたくて夢中になりました。

    • 0

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