4.0
一読の価値あり(引きこもり女)
バナー広告でよく見かけていた引きこもり女の話を読みました。
「美緒〇歳 優香〇歳…」と出てきて淡々と話が進んでいくのですが、
明るい家庭だった車があった頃の家と
現在の老朽化した家の対比などが要所要所に描写されており
美緒の末路の悲惨さがよく表現されていると感じました。
最後はこれから生きていくすべも教えられることなく
荷物共々アパートに追い出されますが
美緒30歳の頃の包丁を突き立てた件が決め手だったのでは。
それまでは美緒に赤ちゃんを見せに来たりと交流はあったようですから。
散々手を尽くしたにも関わらず、包丁で恩を仇で返された結果があの結末だったのでしょう。
商品名は変えてありますが、実在する商品、
例えば懐かしいゲーム機やパソコンのOS、
携帯電話のインターネット接続サービスの名前
(Lモードは実際にiモードの固定電話版として存在していた)
が多数出てきて90年代に青春を過ごした方はクスッとするのではないかと思います。
最近製造中止が発表されたあのお菓子も出てきますよ~
一方で1983年の家にあった車がセレナ?エルグランド?最新のミニバンだったり、
1992年に美緒が食べていたエビピラフが割と新しいパッケージだったり
母の葬儀に来ていた弟の娘のヘアスタイルが2017年にも関わらず
バブル期のようなものだったりとか年代的におかしい描写が見受けられたので
時代考証はしっかりして欲しかったですね。
あとの2作はまだ読んでいませんが、この話は一読の価値ありです。
色んな意味で面白いし考えさせられます。
家族の繋がりの大切さとか。
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