4.0
クスリは人の脆さと表裏一体
この作品では、クスリに手を出すきっかけは些細な日常にあること、そこに手を出す人間の弱さや魔が差すタイミングを淡々と描いている。
「なんで人生を失うのにクスリをやるんだろうか」と常々思っているが、どの話も、誰もがそれはわかっていながら、最初は「ちょっとだけ」「自分は今は正常に戻っているからジャンキーとは違う、大丈夫」と自身を正当化して沼っていっているようだ。
そうなると、「なぜクスリをやるのか」ではなく、自分の脆さに対して「どうクスリに手を出さずに生きていくか」という見方になるんじゃないかと思った。それはかなり忍耐力の要ることで、文字通り理性との闘いになると思う。
読み手に「人間は脆いよ。脆さに負けてクスリに手を出すと末路はこうなるよ」と淡々と知らしめ、そうなるかもと読み手に留意させて無知の知とさせる反面教師作品ともとれるのではないか。
何はともあれ、知らない世界の話は想像も掻き立てられ、面白い。
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