4.0
槙生の言葉が胸を打つ
小説家の高代槙生は不仲だった姉の急死により一人娘の朝と一緒に暮らす事に。
人とずっと一緒にいるという事が苦痛でしかない槙生ですが、朝に対する態度には思い遣りが…
病院で会った朝に温かい食べ物をと気遣う心に槙生の優しさが表れていると思いました。
朝に対して朝の欲しい言葉を言ってあげるのではなく、一見突き放している様な槙生の言葉も朝に誠実でこんな風に言葉をかけてあげられる人になりたいと思います。
序盤は槙生の事を悪く言う祖母、槙生の欠点に対して無遠慮な事を言う朝、勝手に学校に連絡し口を出してくるエミリの母親にいらっとしましたが、それぞれの立場が丁寧に描かれていてあの時はこういう気持ちだったのねと思い直しました。
朝はお姉さんに愛されて守られて育ってきたから無垢だし遠慮のない未熟な子供でしたが、両親の死を時間をかけて受け入れ、成長していく様が見事に描かれていました。
ラストの朝に宛てた夜明けは朝への愛情に溢れていて感動しました!
素晴らしい作品に出会えて幸せでした!
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違国日記