4.0
新しい恐怖
普通に、と言うと失礼かもしれませんが、本当に普通に楽しんで読めました。
他人の家の鍵を勝手にコピーしてさりげなく戻し、家主の外出時間を把握して、その留守中に侵入。
我が家の様に利用する「ヒル」という存在。
その発想が自分にはまったくないものだったので、私って善良wと思ったりしました。
リアルにヒルがいたら、めちゃめちゃ怖いし腹立たしいし、きっと恥ずかしさまで生まれてしまうし、これって何の罰ゲームやねんって感じですよね。
新しい恐怖だと思います。
まぁ、そんなに都合良く複数の鍵が手に入るわけないやんとか、シャワー浴びた後の水滴とかどうすんのいちいち拭くのとか、細かいツッコミどころはあるんですが、全体的にスリリングで面白かったです。
ハコは普通の女の子だけど、ほどよくお人好しでほどよく自分勝手でほどよく悲劇のヒロイン思考で、なんかヒルになりそうだなと思わせられてしまう人物像です。
彼女には、個人的に特に大きな魅力が感じられなかった事が少し残念なんですが、そのちょっと残念な子が徐々に変化していく様がこの作品のテーマなので、彼女が主人公なのは正解なんだと思います。
対照的にカラはなんだかとても魅力的です。
なぜか男の色気が半端ないです。
悪い事してるのにかっこいいとかダメです。
人間、あんなに変わってしまうものかなぁという疑問はありますが…。
ラストは、なんかレビューでご立腹なほど気に入らない!って方が多くてびっくりしたんですが、ヒルという存在のイメージそのものな雰囲気で私は好きでした。
行間を楽しむとか、余白を楽しむとか、そんな感覚で読むといいかもしれません。
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ヒル