5.0
なかなか他に例を見ない秀作
良いと聞いて読み始めましたが、正直最初はなかなか世界観に入り込めず読むのを挫折しそうにもなりました。
良くも悪くも独特の雰囲気で始まり、主人公の槙生と両親を事故で亡くした姪っ子の朝との生活の様子を、ゆっくりと丁寧に描き始められています。
児童小説家の槙生は、自分の生育環境の中で特に姉とはうまくいってはいなかった。その過去の記憶が度々思い出されます。
一方の朝は、これまでさほど関わりの無かった叔母に、両親を失ったことで引き取られる事になり一緒の生活が始まるけれど、母親が残した日記や、槙生からの話、父親のことを知りたいという気持ち、自分は愛されていたのか?という疑問など、色々な心情が描かれています。
主にこの2人の関わりを中心に物語は進みますが、2人をとりまく人々もまた心にそれぞれ抱えているものがあって、そこも丁寧に描かれています。
槙生の主に朝にかける言葉達の意味が、すごくすごく深くて、なかなかそのような発言が出来る人は現実では私の周りには思い当たらないので、この作品を読めて良かったです。
その槙生とのやり取りで多感な朝が、どんどん成長していく姿は本当に感慨深いものがあります。
朝が両親を失ったことは本当に悲しく残念なことではあるけれど、1人になった朝を引き取って一緒に生活してくれたのが槙生で本当に良かったなと思いました。
気付いたら一気に読み進んでいました〜。
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違国日記