侍女の言うことを鵜呑みにして悪女に仕立てあげられたと言うけれど、幼少期アリアは純粋だけど正義感のある普通の下町娘だった。
享楽に耽り、不興を覚悟して諌めたジェシーを拷/問して舌を抜くような女になったのは貴族の富と権力という甘い毒をアリア自身が愉しんでいたから。
前世ではミエールの悪意でアリアが踊り、今世ではアリアの企みでミエールが踊りきった。
これはただそれだけのこと。
けれど人生をやり直す機会は平等ではなく。
善悪や信仰心の問題ですらなく、ミエールがいうように「尊い血筋に生まれた人間」だけがそれを享受できるというこの皮肉。
ミエールの毒殺魔的な性癖はおいといて、母の死から始まる家庭環境の変化からアリアの手を取れなかったのは責めれないと思うんですよ。この展開から先妻の娘が虐められるパターンよくあるし。
自分の夢の中のアリアにさえ否定されても、その死の際まで「人形のように美しい貴族令嬢」の仮面を捨てなかったのは、完遂したなという感もある。
自分で生き方を決められない高位貴族の令嬢たちはみんな本質的に哀れなのだ。
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悪女は砂時計をひっくり返す
098話
悪女は砂時計をひっくり返す(98)