子供は一人だけ、ってデミアンが言った以上、後継者がいないんだから離婚は当然、愛する父を騙すように鉱山の価値を黙って持参金として土地を譲り受けた事を知って怒っている事、嘘だらけだったと気づいた時、お腹の我が子は彼女を支えてくれた、たった一つの真実だったのに結局デミアンに同意して口移しで薬を飲んで一人生き残った自分を責めている事も、全部クロエはぶつけられた。
離婚の言葉に動揺しつつ、どんな手を使っても手に入れたかったし、その秘密を知られる事も怖くなかった、そんな俺の元を簡単に去るな、これが俺の愛だ、クロエ•フォン•ティセと言う、ダミアン。クロエだって、俺が好きなはずだ、一人にしておくべきじゃなかった、俺のミスだ、と愛撫し始める。
以前、受け止め切れない人は愛せない、と言ったはずなのに、愛してしまい、今はその人を憎んでもいる。愛と憎悪を同時に抱えきれなくなったら、どうしたらいいんだろう、と頭の中ぐちゃぐちゃのクロエ。
スワンの市民暴動を放り出しヨハネス王子が逃亡した報告を受けたデミアン。一緒に連れて行って欲しい、というクロエに留守中離婚届を教会に出されてはまずい、とクロエの外出を禁じて出ていった。妊娠から流産で、ホルモンの変化が激しく、我が子を失った悲しみも加わって不安定なクロエ。一人にしておくべきじゃなかった、俺のミスだ、とかさっき言ったばかりなのに、また同じ事を躊躇なく繰り返す。傲慢だな。だいたい彼女は大人しく囲われるような人間ではなく、領主としても、周りの信頼を受け行動できる人。暴動で危なくても彼女ならパートナーとして支えられるだろうし、デミアンの役に立てばクロエの精神も安定するはず。なぜ人形みたいに閉じ込めるの。
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その品格に反抗を
046話
第46話