4.0
レビュー
昭和初期の軍港の街を舞台にした、若き夫婦の慎ましくも温かい日常が非常に丁寧に描かれています。見合い結婚から始まる二人の関係ですが、少しずつ歩み寄り、お互いを思いやる心の機微が繊細に表現されていて、読んでいてとても優しい気持ちになれました。
当時の食卓や街並みの描写も美しく、懐かしく穏やかな空気が画面越しに伝わってくるようです。大きな事件が次々と起きるわけではありませんが、日々の何気ない会話や季節の移ろいの中に、確かな幸せを感じさせてくれる作品です。主人公の純粋な反応や、夫の不器用ながらも深い愛情には、思わず口角が上がってしまいます。
唯一、物語の展開が非常にゆったりとしているため、刺激的な展開を求める人には少し物足りなく感じるかもしれませんが、この「静かな時間」こそが本作の最大の魅力だと思います。忙しい日常を忘れて、心から癒やされたい時にぴったりの一冊です。これからの二人の距離がどう縮まっていくのか、ゆっくりと見守っていきたくなるような、素敵な物語です。
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波うららかに、めおと日和