5.0
116話まで読みました
荒れ狂うビアンカ
表情に乏しいザカリー
対立するふたりと、ビアンカを冷ややかに見る城の人々
物語の出だしは、最悪です。
やがてビアンカは聖人に、ザカリーはその夫として国でも重要な人物となっていくわけですが、この物語は、ふたりのサクセスストーリーを描いたもの、というだけではないと思います。
タイトルの「結婚商売」とは何なのか。そこにどんな犠牲と危険が潜んでいるのか。夫婦となったふたりが直面する跡継ぎ問題。妊娠できるか否か。できたとしても、無事に出産できるのか。妊娠出産は病気ではないけれど、ひとつ間違えると死に直結する、危険と隣り合わせの命の奇跡なのだと。
冒頭の最悪な事態は、ビアンカがあと数年成長してからの結婚だったなら、避けられた事態だったのかも知れません。
余りに幼かった彼女が、聖人として大成できたのは、大きな懐で、温かな愛情をもってビアンカを守り育てたザカリーがいたからこそ。彼は最初から、ビアンカをとても大切にしていました。聖人となったのはビアンカだけど、彼の存在の大きさを考えると、彼もまた、聖人と呼ばれるに相応しいのではないかと思えます。
ふたりの人生を通して、作者の意図を理解できるようになったとき、結婚について、家族について考えさせられました。
大変意味深い、読み応えのある作品だと思います。
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結婚商売