4.0
単なる勧善懲悪では収まらない
誰もが充分な教育を、受けられるわけではない
それは、貧しい民でも、王侯貴族であろうとも
この言葉が、ずしりと重い作品です。
国王カルヴァンと、番のユミル。民声を聞かず、贅沢三昧をする彼らと、そこへ王妃として嫁いできたエレミヤ。王と番が権力を握る王宮で、エレミヤは正式な王妃でありながら、冷遇された日々を送ります。
しかしエレミヤは、ねばり強く国の改革のために行動を起こしてゆくのです。
一見すると、王と番を断罪すれば事は解決するようですが、それだけでは根本解決にはなり得ない。再び同じことを繰り返さないためには、何が必要なのか。
エレミヤの行動は、実に分かりにくく、焦れったく、信じられないほど辛抱強くて、単なる教育云々の問題だけではないものを感じます。おそらく彼女の持つ、性格も大きく関与しているのでしょう。
目的のためなら命さえ惜しまないエレミヤを、影からひたすら支え続けているのが、ハク。強い魔力で彼女の手伝いをしつつ、誰よりもその身を案じ続ける、忠実なしもべです。時に怒り、時に泣きながら、エレミヤを守るその姿は、神に仕える敬虔な信徒のようにも見えます。
もう、ハクと一緒に逃げればいいじゃん。ハク、絶対エレミヤのこと大事にしてくれるじゃん。エレミヤだってハクとなら、嫌じゃないんでしょ?結婚して、どこかでひっそりと暮らしなよ、と、何度思ったことか。
献身的なエレミヤの、国全体に対する意識改革は、どこまで成功するのか。
無料分91話まで読みましたが、苦労はまだ続きそうで、先が思いやられます。とても興味深い作品ではありますが、わたしには少し展開が硬すぎたので、星を減らしてしまいました。
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運命の番?ならばその赤い糸とやら切り捨てて差し上げましょう@COMIC