5.0
地方の家族の問題が大体入ってる
「恩返し」「家族の義務」という建前で、認知症の祖父の介護要員として家族に搾取され続けた主人公。幼馴染との再会を契機に、家を抜け出せるかどうか、という深刻な導入です。かわいい絵なので面食らう読者もいるでしょうね。
職を失い(介護に従事したせいで)学歴もない、という描写が「さっさと逃げなよ」という安易な放言を封じる手になっていて秀逸。読む方も「え、この子どうするの…」という気分になってくる。
祖父を施設に入れようと提案すると「女が3人もいるのに」「薄情」、判断の基準が「近所に知られても恥ずかしくないか」、離職を黙っていると「嘘つき」…地方の一般家庭の解像度が高くて、何やら胸が苦しくなります。
万人向けではありませんが、評価されるべき作品です。気になった方はぜひ読んでください。
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この雪原で君が笑っていられるように