5.0
生も死も、全ては愛のため
テレビアニメ化作品です。7巻刊行時点で累計130万部突破のヒット作。
愛する妻との平穏を得る為、忍を辞めようとして里長にハメられた最強の忍者、画眉丸。刑死するか、不死の仙薬を探し出して恩赦を得るかの二択から後者を選び、いずれ劣らぬ強者の罪人たち+お目付け役の山田浅エ門一派と仙薬探しの旅に出ます。
まず主人公の画眉丸が強い強い。先程刑死と書きましたが、命を簡単に落とさない訓練を受け続けていたので、一般人を想定した刑罰はどれもこれも通用しない怪物っぷりです。
ならゴリ押しになるかと思いきや、同道する者たちもそれぞれ別軸の強さと思惑を持っていて、一筋縄ではいきません。
さらに、仙薬と思われるものの持ち主たちはそもそも人間ではなく、環境もそこにいるだけで危険。
五体満足で帰る事すら難しいのに、お目付け役を罪人の人数分連れ帰らないと、差分の罪人は元の予定通り死罪という無理難題のオンパレードです。
トドメに、例え罪人もお目付け役も全員が戻れたとしても、御免状なる免罪符を得られるのは一人だけ。他の罪人は予定通り死罪という…
鬼ですね。何もかもが絶望的な状況で、それでも罪人たちも浅エ門たちも、どうにかこうにか活路を見出していきます。夥しい犠牲者を出しながら。
画眉丸の強さ、一途な愛が作品の軸ならば、面を作るのは他のキャラクターたちの多彩な個性。全員血肉が通い、絶対悪がいないように思います。ご都合を極力廃したストーリーも、確かな重厚感を持って作品を支えています。
アシスタントさんも編集さんもいたにせよ、これだけの話と絵を生み出した作者様に、ただただ感嘆を禁じ得ないです。
ヒット作でも、「結」の部分で失速とか巻いたとかいう悪評を受ける作品は珍しくないですが、この地獄楽は最後まで疾走し続ける漫画です。没頭する喜びを求める方におすすめします。
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地獄楽