5.0
戦争という狂気
人間兵器として子ども達を育てるという設定は時々あって虫唾が走りますが、恐らくそういう状態でなくても、戦争で心を病む普通の人たちが今も尚たくさん存在するという事実に心が痛む。
ここでは、むしろヒトの心を教えられなかったから罪の意識や悲惨な状況に対して心が壊れなかったように描かれているので、その点だけは良かった。
最初の設定がそもそもヒ人道的過ぎるので、現実では起こり得ないであろうが、戦争に寄って歪んだものを、献身という愛が救っていくというこの流れは、読んでいて救われる。
救う側の必死さが笑える場面もあり、なかなか楽しく読み進められる。
皇族が訪ねてきて好意的に見守ってくれたりというちょっと不思議な場面もあるが、狂犬を世話している司祭さまが、彼に対してどのように気持ちが変化していくのか、そして、とにかく絵が綺麗で、楽しみな作品。
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狂犬な彼を貴公子に変えてみせます!