5.0
私も顔に青いアザを持って生まれました
この作品に出会った時、中を見るのが怖くてしばらくキープしたまま過ごしました。
私自身、生まれつき主人公と同じように額の半分に大きな青いアザを持って生まれたからです。これまでの長い年月、ここには書ききれない記憶が沢山あります。だから、作品の中でアザについてどんな風に描かれているのかを知るのが怖かったのです。不幸の根源のような暗い話だと(これまでの自分の人生が否定されるようで)嫌だし、かといって、明るく“個性だから”なんて言葉で軽く描いて欲しくもない。
勇気を出して読み始めたこの物語は、そのどちらでもありませんでした。もちろん、このアザを持たずに生きている人が見たら不幸な話に見えるでしょうし、親に“なんとかしてあげろ”と責めたくもなるのでしょう。内面を強くするんじゃなくて、化粧で隠せと言いたくなるのも分かります。でも。当事者からすると、このお話はどこまでもリアルで、そして救いのある温かいお話です!主人公が、心の葛藤をしながら歩む姿もリアルで、この姿が正解なのだと思わせてくれます。
レーザーによる治療は、私が社会人何年目かでようやく保険適用に。私はようやく治療を開始する事が出来ました。(ただ、痛みが強く最後まで通う事なく治療を終えることにしました。)
それまでにももちろん何度も手術の話が出たのは間違いありません。ただ、それは非常に高額で、何度も何度も通い続けないといけない上、強い痛みを伴います。当時私の住む地域ではまだそのような技術を持つ病院も少なく、他県まで通うとなるとその労力は計り知れませんでした、気軽に治療をしようということには決してならなかった。
また、メイクで隠すなんてありえないです。青色のアザは、強いコンシーラーをどれだけ塗り重ねても消えるものではない。それに、そんな隠し方をしたらどんな不自然な状態になるかは容易に想像できます。
アザを顔面に大きく持って生まれるというのは、心の内側にどれだけの勇気と優しさを持たないと生きていけないか、なぜご両親がそういうアドバイスをしたのか、それはこの作品がきっと多くの人に伝えてくださるのだろうと思っています。
この作品は、悲しい物語ではありません。アザを持つ人には自分の良い面を見つめ直す機会を与えてくれますし、そうでない方には、これまでと違った視点を与えてくれるはずです。世界が広がる物語です。
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4
青に、ふれる。