リリエルの言う「お姉様が恋しい」は、お姉様がいないと不便だし、引き立て役がいないと私が輝けない、ぐらいの意味しかない。
自分に来た縁談を、既に決まっていた婚約を破棄してまで肩代わりしてくれた姉に、マウントをかまそうというのは、どういう神経なのだろうか。夫が用事で家を空けているというだけで、愛されていないお姉様カワイソ~。自分から婚家での生活について話を振っておいて、不幸な結婚話なんてできる筈がないよね、ゴメ~ン。
お姉様の私物を勝手に漁って、これはお姉様からの寄付なの、とエルザの株上げを図ったのも、お姉様のために頑張っている健気な自分に酔っていただけなんだろうな。ただ、リリエルは自分を善人だと思い込んでいるから、そういう後ろ暗い自分を、無意識にオブラートに包んで、綺麗事に仕立て上げていた。そのメッキが剥がれて、悪意が分かり易く透けているのが今。
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悪女は変化する
066話
第65話