赤い雲さんの投稿一覧

投稿
126
いいね獲得
466
評価5 81% 102
評価4 8% 10
評価3 7% 9
評価2 4% 5
評価1 0% 0
1 - 10件目/全112件
  1. 評価:5.000 5.0

    ルースの立ち位置が絶妙

    ネタバレ レビューを表示する

    多くのレビュアーの方が書いていらっしゃいますが、本当に絵が綺麗。特に、時とともに移りゆく空の色の変化を、下へのスクロールで堪能できるシーンなど素晴らしい。マクシーの髪型や宝石、ドレスのディテールも細やかで、毎回楽しみです。小説が先に発表されていることを知らなかったので、いい意味でこの漫画の絵と世界観に没入できました。(小説版の方の表紙を見て、「『ぼくの地球を守って』の木蓮と紫苑に似てるなあ」「マクシーはちょっぴり気が強そうな感じだな、なんか違う…」と。私の中では、漫画版の華奢で儚げなマクシーのイメージで脳内固定しています)また、小説版の表紙もですが、扉絵がウイーン世紀末に活躍した画家のクリムトぽくて、そこもまたロマンチックな中世のファンタジーにマッチして素敵だと思います。まだ22話までしか読んでませんが、(お城の改修が終わったあたり)ここまでの物語の感想は、わかっていてもハラハラしちゃって止められません。そしてこれだけは言いたい、リフタンのカッコ良さはやはり凄い。もうガチで男前大賞2024アワード決定。独占欲強すぎて、今だと「やばい夫」なところもありますが、「このヒトも色々あったんだろうなあ…」と思わせられます。バナー広告を見ると、これからルースとマクシーの仲を嫉妬して一悶着ありそうですので、チョット楽しみです。魔法使いのルースは嫌味や皮肉ばっかり言ってるけれど、リフタンに負けないくらい面倒見の良い、イイ人です。図書館住み付き仲間として本の話でマクシーと盛り上がることも出来そうですね。そして実は、マクシーが反抗的な態度を取ったり弱音を吐ける、つまり自分自身をさらけ出すことが出来るのは、今のところルースただ一人だけ。なぜかルースには初手から遠慮なく怖がることもなく言い争える🟰これって結構凄いことで、他人への恐怖心を持つマクシーにとって本当に稀有な存在です。でも、それってリフタンこそがそうなりたいと熱望していますよね。ここがマクシーの切なさで、「愛してる人には絶対に知られたくない」→リフタンにしてみたら「夫婦なんだから何でも話せよ」なんですけど、リフタンにはそれが出来ないマクシーの気持ち、よーくわかる。そう、ルースみたいな人には言えちゃうのよね。ルースも賢い人だから、その辺わかってるんだろうな。マクシーがどうリフタンに心を開いてゆくのか、これからとても楽しみです。

    • 50
  2. 評価:4.000 4.0

    心配りが出来るから「お構いなく」と言える

    はるさんは人をよーく見ている。そして智子も人をよーく見ている。2人ともお互いの良さにきちんと気づいてる。2人は変人でも何でもない。2人とも、他人というものを尊重する成熟した大人だ。2人の違いは、はるさんは「あなたは間違ってる、だからすぐにやめろ」と他人に主張することに全くためらいがない。智子は他人と波風を立てないことが最優先。自分さえ我慢すれば、と耐えてしまう。はるさんとは真逆のメンタルだ。(リアルでもこれが一番、無神経な奴を増長させてしまう原因なんだけど)ファッションや生活スタイルにも2人の性格はそのまま表れている。はるさんは智子のことを(恐らく他の人のことも)よーく見てるから、「あ、今日はメイクも洋服もいつもと違う。おめかししてるな」と気づいたら速攻でそのこと自体を賞賛する。それがどんな服やメイクだろうと、「いつもと違うことにチャレンジしてみよう」という智子の心意気こそを愛で、応援し、「素敵なコーディネート」と心から賛美するのがはるさんなのだ。まさにこれこそが「粋」というものである。もし智子のファッションが、同僚の2人の言う通り「オバ見え」なるものであったとしても、センスださいなーと心の底では思っていたとしても、智子がもっと魅力的に見える服装があると知っていたとしても、智子が自分に助言を求めるまでは、それを言わないでおくのが「大人」のやり方であり、心配りというものだ。そしてもし、彼女たちが友人なら、智子の性格を普段からよく見て、どういう風なエスコートなら彼女の心を尊重し傷つけないようにアドバイスできるかを考えることができるはずなのだ。新人との体型の違いの引き合いに2人を並ばせて笑いをとるなんて無神経な真似は、絶対に友人のすることではない。人の外見しか見てない薄っぺらな人間の言うことを、はるさんは鼻で笑い、切り捨てるだろう。智子もそんな人間たちの言葉に傷つくことはもうやめて、余計な忖度を手放して自由を得るべきだ。とまあ、そういう展開だと嬉しい。いつか「お構いなく」と笑って言える智子が見たいね。

    • 14
  3. 評価:5.000 5.0

    蘭丸くんの健やかさが割と救いです

    ネタバレ レビューを表示する

    とにかくヒロイン2人の格差がひどい。「お嬢さまのシオちゃんが没落と共に闇堕ちしてゆき、健気で貧乏なモエちゃんがスターダムにのし上がるの?」と思わせといて、実はモエちゃんの方が闇堕ち担当。貧乏になった直後、シオちゃんには超太客の若社長が近寄ってきて、金にモノ言わせて婚約者という名のパトロン契約をしてくれます。美しいけれども人に対して無関心無愛想だったシオちゃんは、逆境の中で少しずつ人の情けを知り、自分自身のドロドロの嫉妬心を知り、承認欲求の渇望も知り、プロとしてお金を稼ぐ厳しさも知り、叶わぬ恋の苦しさも知り…と、結果的に人間的に良い方へと成長してゆく。対してモエちゃんは成長というよりは、意地悪した人に仕返ししたり、シオちゃんに嫌味を言ったり、ドンドンすれていっちゃう。いや、この子はシングルマザーの母ちゃんが超アレだし、小さい頃からお金の苦労してて気の毒だとは思うんだけど、恋人にすると重すぎてめんどくせえ女じゃないかなあ。押し切られてやっちゃってましたけど若社長。「男ってこういうタイプの女に情で迷うこともあるもんなのよ」と一条先生に諭されてる気もします。にしてもな、この2人の留学先での雲泥の差よ。ホントに一条先生、残酷。モエちゃんのイタリア留学先は、下宿が手違いで住めない、大家はアバウトで責任取らずにモエちゃん放り出される、しかも下宿先手配した若社長んとこは完全シカト。これだけでも相当不運なのに、こっから更に…ちょっともう…言葉を失うほどの人間不信トラウマ確定コース。片やウイーンのシオちゃんは、若社長の秘書が同行して何もかも手配してくれて、特別枠の空席オーディションにも合格して、豪華なアパルトマンで留学生活のスタートを切るセレブコース。その後もなんやかんやで良い師匠に巡り合い、仲間もでき、チャンスを掴むために必死で努力し、報われてゆくとこは心があたたまります。
    しかし、問題は賛否両論のラストです…さすがはあの「デザイナー」の一条先生、「砂の城」の一条先生ですよ。一筋縄の単純なハッピーエンドにしていただける訳がございません。いーい感じにモヤモヤ〜っとする終わり方なんだよなあ。まさかのモエちゃん●●!私同様に驚嘆した読者も多かったことと思います。
    ちなみに私の推しは、蘭丸くんが弟子入りする境界性人格障害ぽい天才女性ピアニスト。こいつの性格マジ最悪笑 でもそこが好き笑

    • 6
  4. 評価:5.000 5.0

    彼の内面が小学生で止まっているのがいいね

    ネタバレ レビューを表示する

    「ジャングルの王者ターちゃん」にも「嘘喰い」にも、幼い頃から殺戮マシンとして育てられた男が出てくるけど、どちらも精神年齢が小学生あたりのピュアなところを残したままだったんだよね。最初に表紙を見た時はそういうキャラではないと思ってたけど、そうか島崎もそうだったか。漫画家の人が島崎に撮らせた「写真」と、島崎が描いたスケッチブックの「絵」の落差が凄い。写真を見た漫画家さんの表情で、かなりヤバいことがわかる。「暴力の前に芸術は何の役にも立たない」の言葉に対する島崎の解が、説得力ありすぎて、本当に切ない。あと、殺しても殺しても蘇っちゃうヒットマン(幼い娘のためにハッピーバースデーを歌いながら狙撃)が怖い。

    • 3
  5. 評価:5.000 5.0

    ネタバレ レビューを表示する

    大和和紀先生の描くモテモテの美青年っていいよね❤️ 光源氏、アラミス、竹千代、女性にとことん優しくて心遣いが出来て会話が洒落ている。志乃ちゃんもそのうちの1人だったはず、男として生まれていれば!大和和紀先生の描くハンサムウーマンもいいんだよな❤️環さん、万里子、朧月夜、そして志乃ちゃん。
    2人の初めての出会いのシーンがまるで絵のようにロマンチック。「その目 青く見えるのか?」「あなたの目 黒く見えますか?」のやりとりが好き。

    • 2
  6. 評価:5.000 5.0

    イクメン必読の書

    もちろんママにも読んで欲しい。育児中に心がささくれた時に読むと、少しだけでも落ち着くと思う。でもその「少しだけ」が大事。本当に大事。
    日本は育児や介護休暇の日数が法律で定められていない。男性は出世コースから外されるし女性は職場復帰しても元のポジションに戻れなかったりする。
    何でもかんでも育児ファーストにしたではおかしくなってくるのは間違いない。極端から極端にいくのではなく、皆が納得するまで話し合って、少しずつ、出産や育児が自分の仕事や人生の時間を有意義に過ごすひとつのプロセスとして生きていけるような制度にならないものかな。病院の電車の中でお母さんやお父さんが肩身の狭い思いをしない社会、(もちろん、おひとり様の人生も)皆が等しく己の人生の選択を楽しめる社会であって欲しい。何十年も前から少子化や高齢者の増加をわかっていながらほとんど何も手を打ってこなかった政府は,育児が苦手な日本のお父さんそのものだ。子供そのものをどう扱っていいかわからない役立たずだ。自分もおむつをかえてもらい、根気よく食べ物を口に運んでもらった乳児だったのに、今でもそのことは「他人事」なのだ。日本の歪みに声を上げるチャンスが、男性の育児参加増加の今なのだ。

    • 1
  7. 評価:5.000 5.0

    推しは婦警スタイルの梅鉢さん

    ネタバレ レビューを表示する

    悪魔がいかにもな外見で、ハロウィンの安いコスプレ感があるのがチョットだけ興醒めかな。この画力なら両目の目力と舌ピアスだけを悪魔の特徴として、あとは普通の燕尾服のおじさんの外見にしといても充分悪魔に見える。そして、壁や地面にうつる影だけ角や尻尾が映るとかの方が、リアルな気もする。
    畳み掛けるような緊迫感があって面白い。第一話のラスト近く、悪魔の真の意図というかやり口がよくわかって、なるほどと思った。こうやって悪魔に変わってしまった瞬間の人間が箱のボタンを押すとたぶん…なんだと思う。その後のまさかの2回戦、自分だけ助かろうとした瞬間、人はわずかに悪魔に近づく。せめて我が子だけは助けたい、という純粋な親の愛でさえも、突き詰めれば自分の子だけ助かればいいという利己主義に過ぎないのだと、悪魔に笑われている気がする。
    救いがあるとしたら、それでも最後まで力を尽くして国民を救おうとしている人々の真摯な姿も描かれていることだろう。善悪って、そうそう黒白キッパリと分けることなど本当は出来ない。だから善し悪しではなく、己が心に持つ信念がブレないことが大切なんだと思う。
    「一緒に記念に写真を撮りましょう」と言われて一度断った梅鉢さんの次のセリフがいい。生真面目で堅苦しい人なんだけど、彼女は信念の人だ。

    • 1
  8. 評価:5.000 5.0

    期待通りの華やかな世界

    ネタバレ レビューを表示する

    革命前のフランス王宮に咲いた華といえば、太陽王ルイ14世、マダム・ポンパドゥール、そしてマリー・アントワネット。この3人が豪華絢爛な宮廷文化のアイコンとして活躍し、そのファッションや流行の数々を作り出していきました。(国家予算を湯水のように使いまくって国民がブチ切れた一因にもなったわけですが)マダム・ボンバドゥールの半生を描いた小説を読んだことがありますが、その美貌と美的センスをもって王の愛妾として選ばれるべくして選ばれてゆく様が華麗。しかし、愛妾となるまでの内輪の経緯やしがらみ、ルイ15世の女好きっぷりに身も心も傷ついたりと、なかなか気苦労の多い女性だったように描かれていました。

    • 1
  9. 評価:5.000 5.0

    ザラザラしたタッチの筆の平安時代

    ネタバレ レビューを表示する

    まだ無料分の7話目までしか読んでませんが、これは面白いです。まずは在原業平というと、絶世の美男にして恋多き歌人、いかにも平安貴族然としたたおやかな優男を想像していたけれど、オトコっぽい渋ーいおじさまだったので意外でした。キラキラした美男美女の平安絵巻に見慣れた目には、かなりリアルさが迫ります。平安な時代と言いながら今巷で起きてる事件は同じようにその頃にもあったし、醜い政権争いも起きていた、当然不可解な事件を解決する謎解きストーリーの名作もこのように生まれるわけで…。「陰陽師」では鬼、雷神として登場する菅公が、門の上で子鬼と見紛う姿で現れるのがいい。それでありながら、妖しや怪異、魑魅魍魎の存在を全否定するのが面白いですね。ホームズが19世紀末の退廃的なロンドンに漂うオカルティズムの中で、幽霊だの呪いだののことごとくを徹底的な合理的思考で論破していったのと同様のカタルシスがあります。
    ただひとつ気になるのは、第一話、男たちが「女官が姿を消したらしい」云々と噂しているところなどの「女官」という言葉です。女官とは、宮廷、つまり天皇の住む内裏に勤めている女性のことをさします。宮中でも内親王家でもなく、臣下の藤原氏の屋敷に仕えている女性であればこの時代は「女房」、ごく身分の低いお手伝いさんなら別の呼称(下女など?)が適当でしょう。別に粗探しをするつもりはありませんが、かなり時代考証がきちんとなさっている漫画なので、逆に「これ、なぜ?」と気になってしまったというだけの話です。

    • 1
  10. 評価:5.000 5.0

    推しはやっぱり明石の上

    ネタバレ レビューを表示する

    紫の上をして「なんと高雅な」「あの奥ゆかしい方」と言わしめた佳人。(残念ながら不勉強で原作の中にも紫の上のこのような感嘆の声があるのかはわからないんだけど)藤壺の宮は別格としても、数多いる源氏の女人の中で、容色・品格・そして心映えの美しさが揃った、紫の上と互角に張り合える唯一無二の存在だと私は思っています。
    最初登場した時は、声と面影が六条御息所に少し似ているとあったので、「プライドの高いキッツイ女性なのかなー」と思ってました。が、子どもを産んでからのこの人の、その真の姿…海のような深い愛がとても美しいかたちであらわれます。胸を引き裂かれるような思いで最愛の我が子を紫の上の元へ送り出しながら、決して源氏を恨まず、我が身を卑下することもなく、ただただ娘の無事だけを願い続けるその愛の深さ。田舎の明石から大都会の京の都に出てきた時の、切なく寄る辺ない我が身を嘆きつつ、ちい姫への思い一つのみを胸に耐え忍ぶ姿。やっと対面できても、実の母とは名乗れない理不尽な立場(状況はわかるが結構源氏のやっとる事ヒドイと思う)なのに、何もかもその胸に全部おさめて、黙してちい姫を見守る。全てが明かされた後も、国母となったちい姫のことも若宮のことも全てにおいて紫の上を立て、自分は出しゃばらず裏方役で慎ましく控えている。その美しさに加えて教養の高さ、趣味の良さ、優しい心配り、こと琵琶においては名人級なのに、ひけらかすこともない。まことの貴婦人とはこのような人のことを言うのですね。紫の上と明石の上の初対面は、鳥肌モノでした。最後まで女の業から逃れられなかった紫の上に比べ、恋愛から一歩引いた立場で心安らかに過ごせた明石の上の生きざまがいいなーとつくづく思います。
    末摘花や花散里など、心清らかな女人の回は清々しくて好きだったな。
    あと、「空蝉」のやるせなさも良かった。人生は選択の連続だけれど、これを選ぶしかない、って時も確かにあるんだよね。源氏は生まれつき身分が高くてお金持ちで顔も良くて誰からも許されてきたから、なんだってやりたい放題で手に入らないモノなんかひとつもなかったおぼっちゃま育ちの傲慢さがある。そこがカッコ良さといえばそうなんだけど、年老いたオジサンの夫と比べたら、そりゃ…でも空蝉は信念と誇りがある。情ではなくて、もっと尊いものがある。しかしそれにつけてもうつせみというタイトルの素晴らしさよ。

    • 1

設定により、一部のジャンルや作品が非表示になっています