赤い雲さんの投稿一覧

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1 - 10件目/全135件
  1. 評価:5.000 5.0

    ルースの立ち位置が絶妙

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    多くのレビュアーの方が書いていらっしゃいますが、本当に絵が綺麗。特に、時とともに移りゆく空の色の変化を、下へのスクロールで堪能できるシーンなど素晴らしい。マクシーの髪型や宝石、ドレスのディテールも細やかで、毎回楽しみです。小説が先に発表されていることを知らなかったので、いい意味でこの漫画の絵と世界観に没入できました。(小説版の方の表紙を見て、「『ぼくの地球を守って』の木蓮と紫苑に似てるなあ」「マクシーはちょっぴり気が強そうな感じだな、なんか違う…」と。私の中では、漫画版の華奢で儚げなマクシーのイメージで脳内固定しています)また、小説版の表紙もですが、扉絵がウイーン世紀末に活躍した画家のクリムトぽくて、そこもまたロマンチックな中世のファンタジーにマッチして素敵だと思います。まだ22話までしか読んでませんが、(お城の改修が終わったあたり)ここまでの物語の感想は、わかっていてもハラハラしちゃって止められません。そしてこれだけは言いたい、リフタンのカッコ良さはやはり凄い。もうガチで男前大賞2024アワード決定。独占欲強すぎて、今だと「やばい夫」なところもありますが、「このヒトも色々あったんだろうなあ…」と思わせられます。バナー広告を見ると、これからルースとマクシーの仲を嫉妬して一悶着ありそうですので、チョット楽しみです。魔法使いのルースは嫌味や皮肉ばっかり言ってるけれど、リフタンに負けないくらい面倒見の良い、イイ人です。図書館住み付き仲間として本の話でマクシーと盛り上がることも出来そうですね。そして実は、マクシーが反抗的な態度を取ったり弱音を吐ける、つまり自分自身をさらけ出すことが出来るのは、今のところルースただ一人だけ。なぜかルースには初手から遠慮なく怖がることもなく言い争える🟰これって結構凄いことで、他人への恐怖心を持つマクシーにとって本当に稀有な存在です。でも、それってリフタンこそがそうなりたいと熱望していますよね。ここがマクシーの切なさで、「愛してる人には絶対に知られたくない」→リフタンにしてみたら「夫婦なんだから何でも話せよ」なんですけど、リフタンにはそれが出来ないマクシーの気持ち、よーくわかる。そう、ルースみたいな人には言えちゃうのよね。ルースも賢い人だから、その辺わかってるんだろうな。マクシーがどうリフタンに心を開いてゆくのか、これからとても楽しみです。

    • 57
  2. 評価:4.000 4.0

    心配りが出来るから「お構いなく」と言える

    はるさんは人をよーく見ている。そして智子も人をよーく見ている。2人ともお互いの良さにきちんと気づいてる。2人は変人でも何でもない。2人とも、他人というものを尊重する成熟した大人だ。2人の違いは、はるさんは「あなたは間違ってる、だからすぐにやめろ」と他人に主張することに全くためらいがない。智子は他人と波風を立てないことが最優先。自分さえ我慢すれば、と耐えてしまう。はるさんとは真逆のメンタルだ。(リアルでもこれが一番、無神経な奴を増長させてしまう原因なんだけど)ファッションや生活スタイルにも2人の性格はそのまま表れている。はるさんは智子のことを(恐らく他の人のことも)よーく見てるから、「あ、今日はメイクも洋服もいつもと違う。おめかししてるな」と気づいたら速攻でそのこと自体を賞賛する。それがどんな服やメイクだろうと、「いつもと違うことにチャレンジしてみよう」という智子の心意気こそを愛で、応援し、「素敵なコーディネート」と心から賛美するのがはるさんなのだ。まさにこれこそが「粋」というものである。もし智子のファッションが、同僚の2人の言う通り「オバ見え」なるものであったとしても、センスださいなーと心の底では思っていたとしても、智子がもっと魅力的に見える服装があると知っていたとしても、智子が自分に助言を求めるまでは、それを言わないでおくのが「大人」のやり方であり、心配りというものだ。そしてもし、彼女たちが友人なら、智子の性格を普段からよく見て、どういう風なエスコートなら彼女の心を尊重し傷つけないようにアドバイスできるかを考えることができるはずなのだ。新人との体型の違いの引き合いに2人を並ばせて笑いをとるなんて無神経な真似は、絶対に友人のすることではない。人の外見しか見てない薄っぺらな人間の言うことを、はるさんは鼻で笑い、切り捨てるだろう。智子もそんな人間たちの言葉に傷つくことはもうやめて、余計な忖度を手放して自由を得るべきだ。とまあ、そういう展開だと嬉しい。いつか「お構いなく」と笑って言える智子が見たいね。

    • 18
  3. 評価:5.000 5.0

    蘭丸くんの健やかさが割と救いです

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    とにかくヒロイン2人の格差がひどい。「お嬢さまのシオちゃんが没落と共に闇堕ちしてゆき、健気で貧乏なモエちゃんがスターダムにのし上がるの?」と思わせといて、実はモエちゃんの方が闇堕ち担当。貧乏になった直後、シオちゃんには超太客の若社長が近寄ってきて、金にモノ言わせて婚約者という名のパトロン契約をしてくれます。美しいけれども人に対して無関心無愛想だったシオちゃんは、逆境の中で少しずつ人の情けを知り、自分自身のドロドロの嫉妬心を知り、承認欲求の渇望も知り、プロとしてお金を稼ぐ厳しさも知り、叶わぬ恋の苦しさも知り…と、結果的に人間的に良い方へと成長してゆく。対してモエちゃんは成長というよりは、意地悪した人に仕返ししたり、シオちゃんに嫌味を言ったり、ドンドンすれていっちゃう。いや、この子はシングルマザーの母ちゃんが超アレだし、小さい頃からお金の苦労してて気の毒だとは思うんだけど、恋人にすると重すぎてめんどくせえ女じゃないかなあ。押し切られてやっちゃってましたけど若社長。「男ってこういうタイプの女に情で迷うこともあるもんなのよ」と一条先生に諭されてる気もします。にしてもな、この2人の留学先での雲泥の差よ。ホントに一条先生、残酷。モエちゃんのイタリア留学先は、下宿が手違いで住めない、大家はアバウトで責任取らずにモエちゃん放り出される、しかも下宿先手配した若社長んとこは完全シカト。これだけでも相当不運なのに、こっから更に…ちょっともう…言葉を失うほどの人間不信トラウマ確定コース。片やウイーンのシオちゃんは、若社長の秘書が同行して何もかも手配してくれて、特別枠の空席オーディションにも合格して、豪華なアパルトマンで留学生活のスタートを切るセレブコース。その後もなんやかんやで良い師匠に巡り合い、仲間もでき、チャンスを掴むために必死で努力し、報われてゆくとこは心があたたまります。
    しかし、問題は賛否両論のラストです…さすがはあの「デザイナー」の一条先生、「砂の城」の一条先生ですよ。一筋縄の単純なハッピーエンドにしていただける訳がございません。いーい感じにモヤモヤ〜っとする終わり方なんだよなあ。まさかのモエちゃん●●!私同様に驚嘆した読者も多かったことと思います。
    ちなみに私の推しは、蘭丸くんが弟子入りする境界性人格障害ぽい天才女性ピアニスト。こいつの性格マジ最悪笑 でもそこが好き笑

    • 8
  4. 評価:5.000 5.0

    臨場感半端ない

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    初めてこの手の漫画を読んだけど、面白い。恐怖やパニックの描き方が素晴らしい。極限状況に追い詰められた人々のやりとりは醜いが、時々、ほんのわずかな希望や信頼や友情が垣間見える時がある。地獄だからこそ、ほんのわずかな光が闇にを照らす。
    しかし、水も食物も装備もなく何時間もきつい登山で疲労しきっている上に、ナタや弓を持った猿がいつ襲ってくるかわからないという、異常な状況。これは実際にその場にいたら、おそらくとんでもなく現実感がないと感じるだろう。山頂から街の灯りが見えて、主人公が「あそこで今のんきにビール飲んでる奴もいるのになー」って思うモノローグが凄いリアル。街の灯り、遠いんだけど自分からちゃんと見える距離ってのが、リアル。見えるだけなんだよね。あの街へ向かって自分たちの状況を伝える手段がないし、今すぐ戻りたいのに絶対にそれが出来ない。臨場感がある凄い漫画。

    • 4
  5. 評価:4.000 4.0

    参考にならんかもしれないが書いてみました

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    我が国の憲法では「異世界転生ジャンルの漫画の書名はサブタイトルを含めて20文字以上(上限なし)」と定められておりますが、その点については本作はクリアしていますね。一見表紙絵とタイトルだけでは転生モノとは分からないのですが、「冒頭、目が覚めた主人公が状況把握のためにモノローグで転生前の自己紹介and転生後の自分を語り出す」というセオリーをちゃんと踏襲しています。「ここたぶん異世界だし」とド直球発言も出ました。この、誰に聞かれてもないのに説明しちゃう読者への親切さこそが、異世界転生モノ漫画の醍醐味と言えましょう。
    冗談はこれくらいにして、ざっと読んだ印象は「色んなモンが混ざってるなあ」ということ。表紙の絵、金髪で青緑色の服の「小人さん」を見て、一瞬、りぼん黄金期の名作「銀曜日のおとぎばなし」の主人公を重ねてしまったのは私だけでしょうか。千尋と言えばまんまジブ●のアレだし、金色の髪に何か不思議な力がある赤ちゃんが拉致されるってのも、デ●ズニーのアレでは。
    なんか、惜しい。
    千尋という名前や、ラプンツェルの金髪という既知の設定に、私のような読者がつい引っ張っられてしまうのはもったいない。この作者さんなら、ちゃんと自分のオリジナルのものに咀嚼して送り出す力があると思います。このお話、転生した主人公が前世の記憶や知識を元に、厨房を舞台に料理で活躍する、というのは今までの転生モノになく新しい展開ではないかなと。2、3歳の幼児の中身が実はアラサーのOL。現代日本から中世あたりのヨーロッパの王族の城へとタイムトラベル的な転生の利点が生かされてます。絵は可愛いし、主人公を最初に助けた見習いコックさんをはじめ、人物の表情、とても優しくて良いですね。転生モノはなぜか悪役の表情や台詞の鬼畜っぷりに全精力を集中してるかのよーな作品が多いので疲れることがあります(それ読んで主人公のリベンジ見てスカッとする、という読者もいるだろうから一概に良い悪いは言えないのですが)。これは今のところ優しい世界線で安心して読めますね。ほんの小さなたったひとコマの顔の表情だけでも、作者の人間性はちゃんと出ると私は思ってるんですね。必死で食べる子どもを前にした見習いコックさんの表情、これを見て私はこの作品のレビューを書きました。

    • 4
  6. 評価:5.000 5.0

    耽美の極致

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    残酷描写かなり多め。まるで中世ヨーロッパの宗教画を見ているようです。(ルーブル美術館にある中世〜ルネサンス期の豪華絢爛な宗教画コレクションには、斬首されたり矢を射られたりしている殉教者や、聖書なら「嬰児虐●」の一節など、目を覆いたくなるような血生臭い絵が山ほどあります)血、糞尿、唾液、人体の熱いエキスが迸るような生々しい画でありながら、繊細で華奢で優美なロココの時代を描くのに、これ以上の漫画家はいないと言い切れる美麗な描写。ベルばら世代には嬉しいことこの上ない、そして尚且つ思い切り旧来のイメージを裏切る衝撃のキャラクター設定!えっ、まさかあのデュ・バリー夫人とシャルルが?!えっ、まさかあのジャンヌとマリーが?!オリジナルキャラ感の強いマリーについては賛否両論ありますが、どう考えても幼児への折檻の仕方がやばすぎるドS婆さんを「ババア!」と罵倒した瞬間から、私はマリーの虜になりました。(史実に即してないというご意見もご尤もですが、それを言っちゃったらオスカル様だって架空の人物ですからね笑)でも本作品の主人公はシャルルのはずなのに、マリーに完全に食われちゃった感は否めません。
    美しいだけでなく、貧困層のモブの絵がまた異常にリアルなところも凄い漫画家さんです。貴族のまとう美しい袖口のレースと同じくらいの精密さとリアリティをもって、パリの最下層の男たちの歯の抜けた汚い口元を描く、その視座が素晴らしい。
    あと、シャルルが路地を馬車で回ってコンドームを夜の女性たちに配ってるところとか、とても良いシーンだったと思います。そこに幼い息子(イノセントだったシャルルの息子もまたイノセント。象徴的)を同行して回ってるところが良いんだな。

    • 3
  7. 評価:5.000 5.0

    彼の内面が小学生で止まっているのがいいね

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    「ジャングルの王者ターちゃん」にも「嘘喰い」にも、幼い頃から殺戮マシンとして育てられた男が出てくるけど、どちらも精神年齢が小学生あたりのピュアなところを残したままだったんだよね。最初に表紙を見た時はそういうキャラではないと思ってたけど、そうか島崎もそうだったか。漫画家の人が島崎に撮らせた「写真」と、島崎が描いたスケッチブックの「絵」の落差が凄い。写真を見た漫画家さんの表情で、かなりヤバいことがわかる。「暴力の前に芸術は何の役にも立たない」の言葉に対する島崎の解が、説得力ありすぎて、本当に切ない。あと、殺しても殺しても蘇っちゃうヒットマン(幼い娘のためにハッピーバースデーを歌いながら狙撃)が怖い。

    • 3
  8. 評価:5.000 5.0

    リメイクで迫力が増した

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    最初、「なぜここに美白した鯉登少尉がいる!?」と思ったけど、王子といえばこの顔ですよね。他にも「これゴールデン…に出てきたあの人」がわんさかいるけど、それもまた楽しいです。個人的にはパックに乗って前進するシーンが好き。カッコ悪いんだけど、ルール違反ではないし、よく考えたら凄い運動神経!

    • 7
  9. 評価:5.000 5.0

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    大和和紀先生の描くモテモテの美青年っていいよね❤️ 光源氏、アラミス、竹千代、女性にとことん優しくて心遣いが出来て会話が洒落ている。志乃ちゃんもそのうちの1人だったはず、男として生まれていれば!大和和紀先生の描くハンサムウーマンもいいんだよな❤️環さん、万里子、朧月夜、そして志乃ちゃん。
    2人の初めての出会いのシーンがまるで絵のようにロマンチック。「その目 青く見えるのか?」「あなたの目 黒く見えますか?」のやりとりが好き。

    • 2
  10. 評価:5.000 5.0

    推しは婦警スタイルの梅鉢さん

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    悪魔がいかにもな外見で、ハロウィンの安いコスプレ感があるのがチョットだけ興醒めかな。この画力なら両目の目力と舌ピアスだけを悪魔の特徴として、あとは普通の燕尾服のおじさんの外見にしといても充分悪魔に見える。そして、壁や地面にうつる影だけ角や尻尾が映るとかの方が、リアルな気もする。
    畳み掛けるような緊迫感があって面白い。第一話のラスト近く、悪魔の真の意図というかやり口がよくわかって、なるほどと思った。こうやって悪魔に変わってしまった瞬間の人間が箱のボタンを押すとたぶん…なんだと思う。その後のまさかの2回戦、自分だけ助かろうとした瞬間、人はわずかに悪魔に近づく。せめて我が子だけは助けたい、という純粋な親の愛でさえも、突き詰めれば自分の子だけ助かればいいという利己主義に過ぎないのだと、悪魔に笑われている気がする。
    救いがあるとしたら、それでも最後まで力を尽くして国民を救おうとしている人々の真摯な姿も描かれていることだろう。善悪って、そうそう黒白キッパリと分けることなど本当は出来ない。だから善し悪しではなく、己が心に持つ信念がブレないことが大切なんだと思う。
    「一緒に記念に写真を撮りましょう」と言われて一度断った梅鉢さんの次のセリフがいい。生真面目で堅苦しい人なんだけど、彼女は信念の人だ。

    • 2

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