5.0
永遠のテーマ
主役のチャーリーは、天才科学者である男性と雌のチンパンジーの間に生まれたヒューマンジー。チャーリーは、運動能力が非常に高く人間離れしていて、知性も高い。性格は飄々としていて物事に対して淡白でかなりクール。現在、高校生で、同級生のルーシーという女友達と親しい。愛も芽生えていく。
オメラスはチャーリーの弟で、チャーリーとは別に育てられ、かなり気の毒な状態、心痛む環境のもとで生きてきた。その生い立ちは、オメラスの精神を尋常ならざるものと成すには十分だったのだろう。
チャーリーの養い親の方々が知性的かつ寛容な心の人格者で素晴らしい。最初の養い親の夫妻が亡くなった時は余りにも非情な事件で悲しく衝撃が大き過ぎて、もう読むのをやめてしまおうかと思った。優しかった養父母の命を奪ったのが弟オメラスだ、という事実は心が虚無になるほど辛い。
この作品では、地球上に生きている人類以外の生物と人類との関わり方、差別問題、テロなど様々な重い課題が絡み合って描かれている。永遠のテーマである。解決などは求められてはいないのだろうと思う。ただし、目を背けないで考えて欲しい、忘れないで! という熱い想いを感じている。
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